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スバル WRX S4 STI Sport R EX(VBH)’21を本音で評価――速いが優等生すぎる現代スバル

■ 基本スペック (ノーマル時)

項目スペック
メーカースバル
駆動方式4WD
エンジンFA24F 水平対向4-気筒 ターボ
総排気量2,387cc
最高出力275ps / 5,600rpm
最大トルク38.2kgf・m / 2,000-4,800rpm
全長×全幅×全高4,670×1,825×1,465mm
車両重量1,600kg
トランスミッションCVT (スバルパフォーマンストランスミッション)

STIの不在を埋める車ではなく、“今のスバルなりの答え”として見るべき一台

WRX S4 STI Sport R EX(VBH)’21を見てまず感じるのは、昔のWRX STIの代役として見ると少しズレる、ということです。
見た目はちゃんとWRXです。ボンネットのエアインテークもある。ワイド感もある。いかにも速そうな顔をしている。
けれど中身まで含めて見ると、この車は昔の荒々しいWRX STIの後継というより、スバルが現代の安全性・快適性・速さを全部まとめて出した高性能セダンです。

そこがこの車の強みであり、同時に賛否の中心でもあります。


2021年のVBHは、WRX S4そのものを新世代へ作り直したモデルだった

VBH型WRX S4は2021年11月に発表された。SUBARUはこの世代を、単なる先代S4の改良ではなく「AWDパフォーマンスを象徴するモデル」と位置づけ、エンジン、変速機、車体骨格、電子制御をまとめて刷新した。

エンジンは新開発2.4L直噴ターボFA24。先代2.0Lから400cc拡大し、低回転域から太いトルクを出しつつ、高回転でもトルクの落ち込みを抑える方向へ特性を変更した。275PSという数字だけなら旧STIより控えめだが、日常域から高速域まで途切れず使える出力特性を狙ったエンジンだった。

SPTは“ただのCVT”ではなく、WRX用に応答性を詰めた新しい変速機

VBHで議論になりやすいのがスバルパフォーマンストランスミッション(SPT)だ。基本方式はCVTだが、SUBARUは従来のスポーツリニアトロニックからレシオカバレージを広げ、変速制御を新開発し、加速レスポンスと8速マニュアルモードの反応を大きく高めた。

昔のWRX STIにあった6MTの機械的な手応えとは別物だが、狙いも違う。VBHは“ドライバーが車に合わせる競技ベース”ではなく、日常から高速道路、ワインディングまで同じ車で高い性能を使えることを優先している。SPTはその思想に合わせた変速機だった。

フルインナーフレーム+電子制御ダンパーで、速さと乗り心地を両立

車体にはスバルグローバルプラットフォームとフルインナーフレーム構造を採用し、構造用接着剤の使用範囲も拡大。ボディ全体の一体感を高め、ステアリング操作に対する反応と乗り心地を同時に改善した。

さらにSTI Sport R/R EXにはドライブモードセレクトを装備。パワーユニット、AWD、電子制御ダンパー、パワーステアリング、アイサイトの追従加速度、エアコンまで統合制御し、スポーツカー寄りから高級セダン寄りまで性格を変えられる。

だからVBHが“優等生すぎる”のは偶然ではない。荒々しさを残すより、車体・駆動・足・安全装備を電子制御でまとめ、誰が乗っても高い性能を使いやすくする方向へSUBARU自身が明確に舵を切った世代だった。

“速いスポーツセダン”ではある。でも“昔のSTI”ではない

このVBH型S4は、2.4LターボとAWDを持つ時点で、遅い車ではありません。
踏めばちゃんと速いし、トルクの厚みもある。しかもスバルらしく、天候や路面が悪い場面でも安心感が強い。
要するに、速さを神経質に引き出す車ではなく、最初からかなり高いところで安心して使える車なんです。

ただ、ここで昔のWRX STIを期待すると、少し気分がズレます。
あの頃のSTIには、もっと機械っぽくて、もっと少し無骨で、もっと“乗り手が車に合わせる感じ”がありました。
一方でS4 STI Sport R EXは、乗り手を選ぶ尖った車というより、かなり上手にまとめられた現代的な速いセダンです。

だからこの車は、STIの穴をそのまま埋める存在ではありません。
むしろ、STIがいない時代のスバルが出した、現実的で上級志向のWRXとして見るべきです。


この車の良さは“速さ”より“破綻のなさ”

VBHの良いところは、たぶん絶対性能そのものより、全部がきれいにまとまっていることです。

  • ターボの力感は十分ある
  • AWDの安心感も強い
  • セダンとしての実用性もある
  • しかもグレード名通り、少し上質さまで意識している

この車には、明確な弱点が出にくい。
昔のスポーツセダンみたいに、速い代わりに騒がしいとか、楽しい代わりに普段使いがしんどいとか、そういう極端さが薄いんです。

ここはかなり現代的です。
そして、この**“破綻のなさ”こそがVBH型S4の完成度**だと思います。


しかし、優等生すぎて少し物足りない

忖度なしで言えば、VBH型WRX S4 STI Sport R EXの弱点はここです。
良くできすぎている。

昔のインプレッサやランエボのような、少し危うくて、少し荒くて、でもそこがたまらない、という感じはかなり薄い。
この車は、速いし安定しているし快適です。
でもその分、
“心を雑に揺さぶる感じ”は少し弱い。

STIの名前を連想させるグレード名も、期待値を上げすぎる部分があります。
見た目や名前はかなりやる気なのに、実際にはかなり礼儀正しい。
ここは人によっては長所ですが、昔のスバルの濃さが好きな人には少し足りなく見えるでしょう。


スバルらしいのに、昔のスバルではない

この車は確かにスバルらしいです。
ボクサーターボ、AWD、悪天候に強い安心感、実用性のある速さ。
このあたりは今でもきちんとスバルです。

ただし、昔のような“ラリー屋の匂い”はかなり薄い。
VBH型S4は、もっと舗装路寄りで、もっと上級志向で、もっと一般ユーザーに優しい。
つまり、
**“戦うスバル”というより“上質な速いスバル”**なんです。

ここを進化と見るか、薄味と見るかで、この車の評価はかなり分かれます。


総評

スバル WRX S4 STI Sport R EX(VBH)’21は、昔のWRX STIの代わりとして期待すると少し違うが、現代の高性能AWDセダンとして見るとかなり出来のいい一台です。

速い。
安定している。
実用性もある。
しかも上質さまで意識している。
その意味で、車としての完成度はかなり高い。

忖度なしで言えば、
昔のSTIのような荒々しさは薄いです。
優等生すぎて、少し物足りなさもあります。
でもそれでも、
“今の時代に乗るWRX”としてはかなり現実的で強い答えになっている。

要するにこの車は、
**“最後のWRX STIの代役”ではなく、“STI不在時代のスバルが出した完成度重視のWRX”**です。
そう見ると、この車の立ち位置はかなり納得しやすいと思います。

首都高バトル内のWRX系チューンドカーと比較するなら、B-033 紅の悪魔の解説もあわせてどうぞ。VBH世代の実車志向の完成度と、VA系ボディを極端に強化したゲーム内仕様の違いを比較できます。

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