CUSTOMIZED CAR

MS.YOKOHAMAは“かわいい顔で619psを出す、かなり物騒なGRヤリス”だった

MS.YOKOHAMAとは

MS.YOKOHAMA。
名前だけ見ると、横浜のちょっと綺麗な店にいそうだ。
だが出てくる車は、白とピンクのかわいいラッピングをまとったGRヤリス。しかも中身は619ps、87kgm、4WDというかなり凶暴な仕様である。

ベース車は、見た目からしてトヨタ GRヤリス RZ(GXPA16)'20と思われる。
実車のGRヤリスRZは、G16E-GTS型1.6L直列3気筒ターボ、272ps、37.7kgm、4WD、6MTという内容。前サスペンションはストラット、後ろはダブルウィッシュボーン、タイヤは225/40R18。小さいボディに、かなり本気の中身を詰めた車だ。

ゲーム内では1,779cc、619ps、87kgm、4WD、1,091kg
つまり、G16E-GTSを1.8L級まで拡大し、タービン、燃料、冷却、駆動系まで全部やったような仕様である。

見た目はかわいい。
でも中身は全然かわいくない。
この車、たぶん「CUTIE」と書いてあるのに、踏んだら相手の心を折りにくる。


ベース車としてのGRヤリスRZ

GRヤリスは、普通のヤリスに羽を付けた車ではない。

トヨタはGRヤリスを「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発したモデルとして説明しており、WRCの現場からのフィードバックを踏まえて、高剛性ボディ、GR-FOUR、アルミ製のエンジンフード・ドアパネル・トランクリッド、CFRPルーフなどを採用している。

つまり、最初からかなり特殊な車だ。
見た目はコンパクトハッチ。
だが中身は、ラリー由来の血が濃いスポーツ4WD。

ここが面白い。
GRヤリスは小さい。
でも軽自動車みたいな小ささではない。
ボディも駆動もエンジンも、かなり詰め込まれている。

その素材に619psを入れる。
これはもう「ホットハッチ」ではない。
ホットを通り越して、鍋ごと燃えている。


見た目は甘い。だが甘く見たら終わる

MS.YOKOHAMAの外装はかなりポップだ。

白ベースにピンクの模様。
ボンネットには「CUTIE」系のグラフィック。
サイドにも淡い色のラッピング。
一見すると、かなりかわいい方向のカスタムである。

ただ、ベースがGRヤリスなので顔つきは強い。
大きなフロントグリル、張ったフェンダー、短い全長、厚いリアまわり。
かわいいラッピングをしても、車体そのものは全然かわいくない。

このギャップは悪くない。
むしろキャラは立っている。

ただし、辛口で言えばボンネットの主張は少し強い。
GRヤリスは造形だけで十分に戦闘力がある。
そこに「CUTIE」と書かれると、少し説明過多になる。

話し言葉で言えば、
「かわいいって自分で言った瞬間、ちょっと怖さが減るんだよな」
という感じだ。

でも、ゲーム内カスタムとしてはかなり覚えやすい。
白ピンクのGRヤリス。
かわいい顔して619ps。
この落差は強い。


619psは実車で可能か

方向性としては可能。
ただし、完全に本気仕様だ。

ノーマルのG16E-GTSは1.6L 3気筒ターボで272ps。
ここから619psにするなら、吸排気とECUだけでは届かない。
エンジン内部、大容量タービン、燃料、冷却、駆動系、ボディ補強まで全部見る必要がある。

HKSはGRヤリス向けにG16E-GTSの1.75L排気量アップキットを展開しており、大容量タービンでも低回転から過給圧を立ち上げやすくする狙いのキットとして紹介している。
また、HKSのGRヤリス用Super Turbo Mufflerは、純正比で排気圧を30%低減し、約500ps対応をうたっている。

つまり、G16E-GTSを高出力化する土台はある。
ただし、MS.YOKOHAMAの619psはさらに上。
ライトチューンではなく、エンジンまで作る領域だ。


1.8L級という設定がかなり本気

ゲーム内の排気量は1,779cc
実車のG16E-GTSは1,618ccなので、これは排気量アップ仕様と見るのが自然だ。

現実に近づけるなら、1.75L〜1.8L級のビルドになる。

必要な内容は以下。

  • 排気量アップキット
  • 鍛造ピストン
  • 鍛造コンロッド
  • 強化メタル
  • 強化ヘッドガスケット
  • ヘッドスタッド
  • 強化バルブスプリング
  • カムシャフト
  • 強化オイルポンプ
  • エンジンバランス取り
  • 現車合わせECU

この排気量アップの意味は、ピークパワーだけではない。
大容量タービンを入れた時に、下からトルクを出しやすくするためだ。

小排気量ターボで大きなタービンを回すと、下が眠くなりやすい。
そこで排気量アップ。
小さな車で、低中速から太く押す。
GRヤリスにはかなり合う方向だ。


87kgmはかなり危ない数字

この車で本当に怖いのは619psより87kgmだ。

GRヤリスは4WD。
だから踏める。
だが、4WDだから駆動系に逃げ場が少ない。

87kgmを四輪で受けるとなると、クラッチ、ミッション、トランスファー、前後デフ、ドライブシャフト、ハブ、ブッシュ、ボディに全部負担が行く。

この仕様で一番ダメなのは、エンジンだけ作って「GRヤリスだから大丈夫」と思うこと。
GRヤリスは強い。
でも、619ps・87kgmを雑に受け止めるほど甘くはない。

かわいいラッピングで誤魔化せる話ではない。
中身は完全に筋トレが必要だ。


実車で作るなら、まず300〜400ps級

実車で楽しむなら、最初は300〜400ps級がかなり良い。

必要な内容は以下。

  • スポーツマフラー
  • 高効率エアクリーナー
  • インタークーラー
  • パイピング
  • ECUセッティング
  • ブースト管理
  • オイルクーラー
  • ラジエーター強化
  • 強化クラッチ
  • 高性能タイヤ
  • ブレーキパッド・フルード強化

HKSはGXPA16用の前置きインタークーラーキットを設定しており、コアサイズ645×205×105mmの純正置換タイプとして案内している。

このあたりをきっちりやるだけでも、GRヤリスは相当速い。
元が軽くて4WDだから、300ps台でもかなり鋭い。

いきなり619psを目指すより、まず踏める400ps前後。
その方が車としてまとまりやすい。


MS.YOKOHAMA再現の619ps仕様

ゲーム内の数字に寄せるなら、かなり大掛かりになる。

必要な内容は以下。

  • 1.75L〜1.8L級排気量アップ
  • 鍛造ピストン
  • 鍛造コンロッド
  • 強化ヘッドガスケット
  • ヘッドスタッド
  • 大容量タービン
  • 強化エキマニ
  • 高効率フロントパイプ
  • スポーツキャタライザー
  • 大容量インタークーラー
  • 強化パイピング
  • 大容量燃料ポンプ
  • 大容量インジェクター
  • フルコンまたは高性能ECU
  • 強化クラッチ
  • 駆動系強化
  • 冷却系総強化
  • 足回り・ブレーキ強化
  • ボディ補強

ここまでやるなら、もう普通のGRヤリスではない。
見た目はポップ。
中身は完全に競技車両寄り。

619psという数字は魅力的だ。
でも、それを使える車にするには、エンジンよりも周辺作りが大事になる。


タービン・吸排気

619psを狙うなら、タービンは大容量化が前提になる。

必要なパーツは以下。

  • 大容量タービン
  • 強化アクチュエーター
  • 強化エキマニ
  • フロントパイプ
  • メタルキャタライザー
  • 大容量インタークーラー
  • 強化パイピング
  • 低排圧マフラー
  • ブーストコントローラー
  • 現車合わせECU

ただし、GRヤリスは小さい。
巨大タービンで上だけ狙うと、低回転が眠くなりやすい。

MS.YOKOHAMAのキャラなら、ただ上で伸びるより、低中速から太く出る方が合う。
見た目はかわいいが、立ち上がりで相手を引き離す。
その方が嫌らしくていい。


冷却系

高出力GRヤリスで冷却を甘く見るのはかなり怖い。

必要な内容は以下。

  • 大容量ラジエーター
  • 大容量インタークーラー
  • オイルクーラー
  • 強化ラジエーターホース
  • ローテンプサーモ
  • ラジエタークーリングプレート
  • 吸気温管理
  • 水温計
  • 油温計
  • 油圧計
  • 排気温計

小さい車に大パワー。
つまり熱が厳しい。

この車は「かわいいから熱くならない」なんて都合のいい話ではない。
白ピンクのラッピングでは油温は下がらない。
冷やすのは色ではなく部品だ。


燃料系

619psなら燃料系は完全に強化対象だ。

必要なものは以下。

  • 大容量燃料ポンプ
  • 大容量インジェクター
  • 燃圧レギュレーター
  • 燃料ライン見直し
  • 空燃比管理
  • ノック対策
  • 高オクタン燃料前提のセッティング

G16E-GTSは高効率なエンジンだが、燃料不足には勝てない。
薄い燃調で高ブースト。
それはチューニングではなく、エンジンへの嫌がらせである。


駆動系

87kgmを受けるなら、駆動系はかなり重要。

必要な内容は以下。

  • ツインプレートクラッチ
  • 強化フライホイール
  • 強化エンジンマウント
  • 強化ミッションマウント
  • フロントデフ強化
  • リアLSD
  • トランスファー点検
  • ドライブシャフト点検
  • ハブベアリング点検
  • ミッションオイル管理
  • デフオイル管理

GRヤリスはGR-FOURでかなり優秀な4WDだ。
だが、619ps級では駆動系の負担が一気に増える。

4WDは前に進む。
そのぶん、壊れる時もきっちり力が入って壊れる。
逃げ場のない速さには、逃げ場のない整備費がついてくる。


足回り

GRヤリスは小さいが、足はかなり大事だ。

必要なパーツは以下。

  • 全長調整式車高調
  • 減衰調整付きダンパー
  • ピロアッパー
  • 強化スタビライザー
  • 調整式アーム
  • ピロブッシュ
  • ハイグリップタイヤ
  • アライメント調整
  • コーナーウェイト調整

CUSCOのGRヤリス特集では、GXPA16向けにリヤサスペンションアーム、リヤアッパーコントロールアーム、リヤナックルのピロボールブッシュなどが設定されている。

狙うべきは、硬い足ではない。
踏める足だ。

フロントが入り、リアが粘り、4WDが立ち上がりで車を前へ押す。
その状態を作らないと、619psは数字だけで終わる。


ブレーキ

この仕様でブレーキが弱いのはかなりまずい。

必要な内容は以下。

  • 6pot級フロントキャリパー
  • 4pot級リアキャリパー
  • 大径ローター
  • スポーツパッド
  • ステンメッシュホース
  • 高沸点ブレーキフルード
  • ブレーキ導風板
  • ABSとの相性確認

CUSCOのGRヤリス向けパーツには、純正ブレーキダクトより吹出口断面積を2倍に拡張する大容量ブレーキダクトも設定されている。高出力化するなら、制動力だけでなく冷却も見るべきだ。

速いけど止まらない車は、本当に格好悪い。
かわいいラッピングで突っ込んでくる619psは、見た目よりだいぶ怖い。


ボディ補強

MS.YOKOHAMAでかなり重要なのがボディ補強だ。

GRヤリスは純正で高剛性ボディを狙って作られている。
だが、619ps、87kgm、ハイグリップタイヤ、強いブレーキ、場合によってはロールケージまで入れるなら、補強はかなり効く。

フロントまわり

  • フロントストラットタワーバー
  • フロントロアブレース
  • フロントメンバーブレース
  • ステアリングラック周辺点検
  • フロントサスペンションブッシュ強化

フロントは操舵と駆動の両方を受け持つ。
ここがヨレると、ステアリングの初期反応が薄くなる。

GRヤリスは短くて反応が速い車だから、フロントの剛性感はかなり大事だ。

センター・フロアまわり

  • フロアブレース
  • センターブレース
  • トンネル補強
  • サイドシル補強
  • ジャッキアップポイント確認
  • アンダーパネル固定部確認

床下の一体感が出ると、足がきちんと仕事をする。
小さい車ほど、ボディの動きが分かりやすい。

見た目のステッカーより、床下の補強の方が速さには効く。
地味だが、ここが本物感の差になる。

リアまわり

  • リアタワーバー
  • リアメンバーブレース
  • リアデフマウント強化
  • サブフレームブッシュ強化
  • リアサスペンションアーム周辺補強
  • リアゲート開口部まわりの補強

GRヤリスはリアの安定感もかなり大事だ。
4WDなので、リアが落ち着いていないと踏めない。
619psならなおさらである。

リアが暴れると、かわいい車ではなく、ただ落ち着きのない小型爆弾になる。

ロールケージ

本気で走るならロールケージも選択肢に入る。

CUSCOはGXPA16向けにSAFETY21ロールケージ、D1ロールバー、ASN公認ロールケージを設定しており、リヤ4点式からダッシュ貫通10点式まで複数タイプを用意している。

入れるなら以下。

  • 4点式
  • 6点式
  • 8点式
  • 10点式
  • サイドバー追加
  • ダッシュ逃げ
  • ダッシュ貫通

街乗り兼用なら4点〜6点。
競技寄りなら8点以上。
本気で車を作るなら、ボディ補強と安全性の両方でかなり効く。

ただし、内装や乗降性は落ちる。
かわいい見た目で乗り降りが修行になる。
そのギャップもまた、GRヤリスらしいと言えばらしい。


軽量化

ゲーム内の車重は1,091kg。
実車のGRヤリスRZから考えると、かなり大胆な軽量化になる。

近づけるなら以下。

  • カーボンボンネット
  • 軽量リアゲート
  • 軽量バッテリー
  • フルバケットシート
  • リアシート撤去
  • 内装撤去
  • 防音材撤去
  • 軽量マフラー
  • 鍛造ホイール
  • アクリルウインドウ
  • エアコン撤去

ただし、街乗りもするなら1,091kg狙いはかなり割り切りが必要だ。
GRヤリスは元々軽いが、そこからさらに削るとなると快適性はかなり消える。

現実的には、1,200kg台前半を狙いつつ、冷却・駆動系・ブレーキを優先した方がバランスはいい。

軽いだけで踏めない車より、少し重くても安心して踏める車の方が速い。


外装を実車で再現するなら

MS.YOKOHAMA風にするなら、必要な外装パーツは以下。

  • ホワイト系ラッピングまたは塗装
  • ピンク系グラフィック
  • ボンネットデカール
  • フロントリップ
  • サイドステップ
  • リアディフューザー
  • ワイドフェンダー
  • 鍛造ホイール
  • ローダウン

この外装は、ゲーム内ではかなり映える。
実車でもイベント車としてなら十分アリだ。

ただし、普段乗りまで考えるなら少し引き算した方がいい。
白ベース、ピンクは差し色、文字は控えめ。
これくらいがちょうどいい。

GRヤリスは車体そのものが強い。
全部をラッピングで説明しなくても、顔だけで十分に速そうだ。


辛口総評

MS.YOKOHAMAは、かなり面白いGRヤリス風カスタムだ。

見た目は白とピンクでかわいい。
でも中身は1.8L級G16E-GTS、619ps、87kgm、4WD。
このギャップはかなり強い。

ただし、実車でやるなら完全に本気仕様。
エンジン内部、タービン、燃料、冷却、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強。
全部やって初めて成立する。

辛口で言えば、見た目は少し喋りすぎ。
だが方向性は悪くない。
GRヤリスの小さなボディに、かわいい外装と凶暴な中身を合わせるのはかなりキャラが立つ。

要するにこの車は、
かわいいラッピングをまとった、かなり危ないGRヤリス系ハイパワー4WDカスタムだ。

雑に作れば、ただの派手なヤリス。
きっちり作れば、小さくて速くてかなり怖い一台になる。

そしてMS.YOKOHAMAという名前。
上品そうに聞こえるが、中身は619ps。
横浜の夜景みたいな顔をして、踏んだら中身は完全にラリーの悪魔である。

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