
SNAKE HOLICとは
SNAKE HOLIC。
名前からして、もう普通に走る気がない。
蛇中毒。かなり危ない名前だ。
ベース車は、見た目と構成から見てトヨタ スープラ 2.5GT TWIN TURBO R(JZA70)'93と思われる。
リトラクタブルライト、角ばったロングノーズ、低い車高、リアウイング、そしてフロントに見える「2.5 Twin Turbo」の雰囲気。
完全に70スープラ系の空気だ。
実車の2.5GTツインターボRは、型式E-JZA70、1JZ-GTE、2,491cc、直列6気筒DOHCツインターボ、280ps、37.0kgm、FR、5MTという仕様。70スープラ後期の中でも、かなり走り寄りのグレードだ。
ゲーム内では2,740cc、501ps、65kgm、FR、1,325kg。
つまり、1JZ-GTEを2.7L級へ拡大し、500ps級まで仕上げた仕様と見ていい。
名前も見た目も黒い。
だが中身はもっと黒い。
こういう車は、だいたいボンネットを開けた瞬間に財布が震える。
ベース車としての70スープラ
70スープラは、80スープラほど神格化されていない。
だが、そこがいい。
80スープラは2JZ伝説が強すぎて、車より神話が先に歩いている。
一方で70スープラは、もう少し昭和末期〜平成初期のGTカー感が濃い。
長いノーズ、重めのボディ、リトラ、直6ターボ、FR。
軽快なスポーツカーというより、高速域でドカンと踏むための古典的なターボGTだ。
2.5GTツインターボRは、その中でも良いグレードだ。
1JZ-GTEを積み、走り方向の装備を持つ。
今となっては旧車だが、素材としてはかなり強い。
ただし、古い。
ここは逃げられない。
70スープラは味がある。
だが、味と劣化は別物だ。
古いブッシュ、古い配線、古い冷却系、古いボディ。
そこを直さずに500psだけ入れると、毒蛇ではなく、ただの噛みつく修理案件になる。
見た目は悪い。良い意味で悪い
SNAKE HOLICの見た目はかなりいい。
黒いボディ。
赤く塗られたリトラカバー。
ボンネットとサイドのグラフィック。
控えめすぎないが、派手すぎもしない。
70スープラの古いシルエットに、少し悪そうな空気を足している。
これはかなり合っている。
70スープラは白やシルバーで上品にまとめても良いが、黒くすると一気に“夜の車”になる。
特にリトラの赤いカバーが効いている。
目だけ赤い蛇みたいで、名前との相性もいい。
ただし、ボンネットのグラフィックは少し多い。
悪さを出したいのは分かる。
でも70スープラは、ボディの形だけで十分に時代のクセが強い。
そこへ文字と模様を乗せすぎると、少し昔のイベント車感が出る。
話し言葉で言えば、
「黒い70スープラの時点でもう悪い。そこに自己紹介まで貼るな」
という感じだ。
とはいえ、この車は全体としてかなりまとまっている。
前に出すぎた派手さではなく、旧車チューンドの毒っぽさがある。
名前負けはしていない。
501psは実車で可能か
可能だ。
ただし、ライトチューンではない。
1JZ-GTEで500ps級を狙うこと自体は、十分に現実味がある。
ただし、吸排気だけで届く世界ではない。
タービン、燃料、冷却、ECU、クラッチ、駆動系まできちんと作る必要がある。
HKSにはJZA70・1JZ-GTE用のsilent Hi-Powerマフラー適合があり、JZA70向けの排気系パーツ情報も今なお確認できる。古い車だが、1JZ搭載車としてチューニングの土台は残っている。
ゲーム内の排気量は2,740cc。
ノーマル1JZ-GTEは2,491ccなので、これは2.7L級ストローカー仕様と考えるのが自然だ。
501psだけなら、2.5Lのままでも狙える。
だが、2.7L化する意味は馬力だけではない。
中速トルクが太くなる。
タービンを大きくしても、下から押し出しやすくなる。
70スープラのような重めのFR GTには、この方向がかなり合う。
65kgmは毒が強い
この車で注目すべきは、501psより65kgmのトルクだ。
FRで65kgm。
古い70スープラでこれを受けるなら、駆動系を甘く見てはいけない。
クラッチ、ミッション、デフ、プロペラシャフト、ドライブシャフト。
全部に負担が来る。
特にR154系の5MTは有名な存在だが、古さと高トルクを考えれば、何もせず信用するのは少し雑だ。
この仕様で一番ダメなのは、エンジンだけ速くして、あとは古いまま放置すること。
それはチューニングカーではない。
壊れる順番を待っている黒い置物である。
実車で作るなら、まず健康診断
JZA70はもう完全に旧車だ。
いきなりタービン交換ではなく、まず車両全体の状態確認から入るべきだ。
見るべき部分は以下。
- エンジン圧縮
- タイミングベルト
- ウォーターポンプ
- ラジエーター
- 冷却ホース
- オイル漏れ
- 点火系
- 燃料ポンプ
- インジェクター
- ECU・センサー類
- クラッチ
- 5速MT
- デフ
- ハブベアリング
- ブッシュ類
- 下回りのサビ
- フロアの腐食
- リトラクタブルライトの作動
- 電装系
70スープラは雰囲気がある。
だが、雰囲気で水温は下がらないし、ロマンでブッシュは復活しない。
まず整備。
次に補強。
その後にパワー。
この順番を守らないと、毒蛇というより病み蛇になる。
現実的な400〜450ps仕様
実車で楽しむなら、まずは400〜450ps級がかなり良い。
必要な内容は以下。
- 吸排気交換
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 強化燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
- スポーツキャタライザー
- フロントパイプ
- マフラー
- 点火系リフレッシュ
- 強化クラッチ
このあたりで、70スープラはかなり気持ちよくなる。
500psを名乗るより、きちんと踏める400ps台の方が速い場面も多い。
古いFRターボは、数字を盛るより完成度を上げた方がカッコいい。
「何馬力です」より「踏めます」の方が強い。
SNAKE HOLIC再現の500ps級仕様
ゲーム内の501psへ寄せるなら、本気度は一段上がる。
必要な内容は以下。
- 2.7Lストローカーキット
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- カムシャフト
- 強化バルブスプリング
- 強化オイルポンプ
- エンジンバランス取り
- 大容量タービン
- 大容量インタークーラー
- 大容量燃料系
- フルコンまたは高性能ECU
- 強化クラッチ
- 駆動系強化
- 冷却系総強化
ここまでやると、もう普通の70スープラではない。
見た目は旧車。
中身は現代のチューンドターボ。
そのギャップが美味しい。
ただし、2.7L化までやるなら、ピークパワーだけでなく扱いやすさを狙いたい。
下から太く、上まで気持ちよく回る。
それが1JZらしい。
タービン選び
SNAKE HOLICは、上だけ伸びるタービンより、中速から太く来る仕様が合う。
必要なパーツは以下。
- シングルタービン化
- 中〜大容量タービン
- 強化エキマニ
- ウエストゲート
- フロントパイプ
- メタルキャタライザー
- 大容量インタークーラー
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
純正ツインの雰囲気を残すのも面白い。
だが500ps級を安定して狙うなら、シングルターボ化の方が作りやすい。
ただし、巨大タービンで下がスカスカになると、70スープラのGT感が薄れる。
この車は、低速から蛇のようにスルッと出て、中速から噛みつく方が似合う。
冷却系
高出力化するなら冷却は必須だ。
必要な内容は以下。
- 大容量アルミラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- ラジエタークーリングプレート
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
古い1JZ車で冷却を甘く見るのはかなり怖い。
特に70スープラは年式的に、ホースやラジエーターの劣化も見逃せない。
黒いボディはカッコいい。
でも熱には強く見えない。
見た目で冷えないなら、部品で冷やすしかない。
燃料系
500ps級なら燃料系はしっかり作る。
必要な内容は以下。
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- 燃料フィルター
- 燃料ライン点検
- 空燃比管理
- ノック対策
燃料不足の1JZは危ない。
薄い燃調でブーストをかけるのは、エンジンに毒を飲ませているようなものだ。
SNAKE HOLICとはいえ、毒を入れる場所はそこではない。
駆動系
65kgmを受け止めるなら、駆動系は必ず作る。
必要な内容は以下。
- ツインプレートクラッチ
- 強化フライホイール
- 機械式LSD
- 強化デフマウント
- 強化ミッションマウント
- エンジンマウント交換
- プロペラシャフト点検
- ドライブシャフト点検
- ミッションオイル管理
- デフオイル管理
TOMEIからはJZA70スープラ用の2WAY LSD設定も確認できる。FRで高トルクを受けるなら、LSDはかなり重要なパーツになる。
500ps級のFRは、パワーを路面に伝えられて初めて意味がある。
踏んだら白煙、曲がらない、前に進まない。
それは派手だが速くはない。
足回り
70スープラは軽快な車ではない。
だから足回りはかなり重要だ。
必要なパーツは以下。
- 全長調整式車高調
- 減衰調整付きダンパー
- ピロアッパー
- 調整式アーム
- 強化スタビライザー
- 強化ブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
硬くすればいいわけではない。
70スープラはGTカー的な重さがある。
荷重をきちんと受け止めて、リアが粘る足にしたい。
車高だけ落として、古いブッシュのまま走る。
これは一番もったいない。
低い旧車はカッコいいが、ヨレた旧車はただ疲れて見える。
ブレーキ
500ps級ならブレーキは必須。
必要な内容は以下。
- 4pot〜6potキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュブレーキホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキダクト
70スープラは車重もある。
パワーを上げるなら、止める力も上げるべきだ。
速いけど止まらない車は、昔からダサい。
それは毒蛇ではなく、ただのブレーキ不良である。
ボディ補強
SNAKE HOLICで重要なのがボディ補強だ。
JZA70は古い。
500ps級、65kgm、FR、ハイグリップタイヤ。
この条件なら、ボディ側もきちんと作りたい。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアアームバー
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントサスペンションブッシュ交換
1JZ搭載のフロントは重い。
ここを締めると、ステアリングの初期反応がかなり変わる。
ただし、補強パーツを入れる前に、取り付け部の状態確認が先。
サビたボディに補強を足しても、強くなった気分だけ先に来る。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- メンバーブレース
- サイドシル周辺補強
- トンネル補強
- ジャッキアップポイント周辺確認
- スポット増し
- シーム溶接
床下の一体感が出ると、足回りの動きが分かりやすくなる。
70スープラのような古いハッチバック系ボディでは、ここがかなり効く。
見えないところに金を入れている車は強い。
見えるところだけ蛇柄の車は、だいたい話が長い。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- デフマウント強化
- サブフレームブッシュ交換
- リアハッチ開口部まわりの補強
- リアスポイラー取付部補強
70スープラはリアハッチの開口部が大きい。
この手のボディは、リアまわりの一体感が重要になる。
リアがヨレると、トラクションのかかり方が曖昧になる。
FRターボでこれは痛い。
ロールバー・ロールケージ
本気で走るならロールケージもあり。
CUSCOのSAFETY21ロールケージは、対応車種リストにスープラJZA70も掲載されており、乗員保護だけでなくボディ剛性向上も狙う製品として説明されている。
入れるなら以下。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
街乗り兼用なら4点〜6点。
サーキット寄りなら6点以上。
ただし、内装や乗降性は犠牲になる。
70スープラにロールケージを入れると、一気に本気感が出る。
そのかわり、普段使いの気軽さはかなり減る。
そこは用途で決めるべきだ。
軽量化
ゲーム内の車重は1,325kg。
実車の2.5GTツインターボRと比べると、かなり軽い。
近づけるなら以下。
- カーボンボンネット
- 軽量リアハッチ
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- リアシート撤去
- 内装撤去
- 防音材撤去
- エアコン撤去
- オーディオ撤去
- 軽量マフラー
- 鍛造ホイール
- アクリルウインドウ
ただし、街乗りもするならここまで削るとかなり疲れる。
黒い70スープラでエアコンなし。
真夏なら、毒蛇どころか乗っている人間が干からびる。
現実的には、1,400kg台前半を狙う軽量化で十分。
そこに500ps級の1JZがあれば、かなり速い。
外装を実車で再現するなら
SNAKE HOLIC風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- ブラック系オールペンまたはラッピング
- 赤いリトラカバー
- 控えめなボンネットグラフィック
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアスポイラー
- 鍛造ホイール
- ローダウン
- 必要に応じてワイドフェンダー
この車は、外装の方向性がかなり良い。
黒い70スープラに赤い差し色。
これは普通に似合う。
ただし、グラフィックは少し減らした方がいい。
ボディの黒さとリトラの赤だけで、十分にキャラが立っている。
おすすめは、
黒ボディ、赤いライトカバー、控えめな蛇モチーフ、低い車高、深リム系ホイール。
これで十分だ。
蛇は大声で鳴かない。
静かに近づいて噛む方が怖い。
辛口総評
SNAKE HOLICは、かなり良いJZA70スープラ風カスタムだ。
黒いボディ、赤いリトラカバー、低い車高、控えめな悪さ。
70スープラの古い雰囲気と、チューニングカーらしい毒っ気がうまく混ざっている。
中身は2.7L級1JZ、501ps、65kgm。
実車で作るなら、かなり現実味のある本気仕様だ。
ただし、古い車に500psを入れる以上、エンジンだけでは成立しない。
冷却、燃料、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強まで全部やる必要がある。
辛口で言えば、この見た目で中身が中途半端だとかなり恥ずかしい。
黒い蛇を名乗るなら、ちゃんと噛める車にするべきだ。
要するにこの車は、
70スープラの旧車感を残しながら、1JZを現代的に毒蛇化したカスタムだ。
雑に作れば、ただの黒い旧車。
きっちり作れば、かなり渋いFRターボになる。
SNAKE HOLICという名前も悪くない。
この車は派手に吠えるタイプではない。
静かに近づいて、踏んだ瞬間に噛む。