
WAILING PLUTOとは
WAILING PLUTO。
名前は泣き叫ぶ冥王星。
見た目は水色、ピンク、星柄、ポップなグラフィック。かなり可愛い。
だがスペックは642ps、89kgm、4WD。可愛い顔をして、数字だけ見ると中身は完全に殺意がある。
ベース車は、見た目と年式感から見てスバル WRX S4 STI Sport R EX(VBH)'21と思われる。
実車のVBH型WRX S4 STI Sport R EXは、FA24型2.4L水平対向4気筒直噴ターボ、275ps、38.2kgm、フルタイム4WD、CVT、車重1600kgという仕様。前サスはストラット、リアはダブルウィッシュボーン、タイヤは245/40R18となっている。
ゲーム内では2,625cc、642ps、89kgm、車重1,365kg。
つまり、実車の2.4L FA24を2.6L級まで拡大し、さらに大容量タービンで一気に600ps超えまで持っていったような設定だ。
ここでいきなり辛口に言う。
見た目はポップ、数字は地獄。
この組み合わせ、嫌いではない。だが実車でやるなら、相当な覚悟がいる。
ベース車としてのVBH WRX S4
VBH型WRX S4は、従来のWRX STIとは少し違う。
昔のWRX STIは、6MT、EJ20、ガチガチの競技ベース感が濃かった。
一方でVBHのWRX S4は、2.4Lターボとスバルパフォーマンストランスミッションを組み合わせた、より現代的なAWDスポーツセダンだ。SUBARUは2021年の発表時に、新型WRX S4を「AWDパフォーマンスを象徴するモデル」と位置付け、新開発2.4L直噴ターボDITとスバルパフォーマンストランスミッションを搭載すると説明している。
つまり、これは昔ながらの「男の6MTで殴るWRX」ではない。
電子制御と快適性を持った、今どきの速いセダンだ。
そこへ642psを入れる。
かなり無茶な話だが、発想としては面白い。
ただし問題はエンジンより先にCVTである。
見た目はかなり派手。でも方向性は悪くない
このWAILING PLUTO、外装はかなり目立つ。
水色、ピンク、白、星柄、キャラクター感のあるグラフィック。
普通に見れば可愛い系。
だがベースがWRX S4なので、フロントの張り出しや大きめの開口部、ボンネットダクト風の造形と組み合わさって、妙な迫力がある。
正直、好みは分かれる。
硬派なWRX好きからすれば、かなり軽く見えるかもしれない。
昔のインプレッサ乗りが見たら、たぶん眉間にシワが寄る。
ただ、この手のポップな外装は、ゲーム内カスタムとしてはかなり記憶に残る。
白青ピンクの組み合わせも悪くない。
スバルの青系イメージを、かなり甘く崩した感じだ。
話し言葉で言えば、
「かわいい顔してるけど、たぶん中身は全然かわいくない」
という車である。
642psは実車で可能か
方向性としては可能。
ただし、VBH WRX S4でそのまま狙うなら、かなり大仕事だ。
まず実車のFA24は2.4Lターボで275ps。
ゲーム内の2,625ccという数字に合わせるなら、2.6L級の排気量アップ仕様になる。
FA24のまま642psを狙うなら、エンジン内部、タービン、燃料、冷却、ECU、駆動系、変速機まで全部見る必要がある。
問題は、国内仕様のWRX S4 STI Sport R EXがCVTであること。
公式カタログでもトランスミッションはCVTとされている。
ここが最大の壁だ。
エンジンだけ600ps級にしても、CVTがそのトルクを受け止める前提では話が進まない。
この車で本気の642psを作るなら、現実的には以下のどちらかになる。
- CVT前提で出力を抑え、冷却と制御を強化するストリート仕様
- 6MT系への換装・駆動系総入れ替えまで含めたフルビルド仕様
後者はかなり本気。
もう「ちょっとWRX S4をチューニング」ではない。
中身を別物に作り替える世界だ。
現実的な実車仕様なら、まずは300〜380ps級
実車でバランスよく作るなら、最初は300〜380ps級が現実的だ。
この範囲なら、VBHのキャラクターを大きく壊さず、S4らしい快適性も残せる。
吸排気、ECU、冷却、足回り、ブレーキ、補強をきっちり入れれば、かなり速くて扱いやすい車になる。
必要な内容は以下。
- スポーツマフラー
- 高効率エアクリーナー
- ECUセッティング
- ブースト制御
- CVT油温管理
- CVTクーラー
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- ラジエーター強化
- 足回り強化
- ブレーキ強化
- ボディ補強
HKSからはVBH WRX S4向けにLEGAMAX Sportsマフラーが用意されており、低排圧とスポーツサウンドを狙った4本出し構造として紹介されている。
このくらいの仕上げなら、WRX S4の良さを残しながら十分に楽しめる。
無理に600psを名乗るより、踏める300〜380psの方が実際には速い場面も多い。
642ps再現仕様
WAILING PLUTOの数字に寄せるなら、ここから一気に本気仕様になる。
必要な内容は以下。
- FA24 2.6L級ストローカー化
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- 強化バルブスプリング
- カムシャフト
- 強化オイルポンプ
- エンジンバランス取り
- 大容量タービン
- 大容量インタークーラー
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- フルコンまたは高度なECU制御
- 強化冷却系
- 変速機対策
- 駆動系総点検
ここまでやるなら、もう普通のS4ではない。
見た目はポップでも、中身は完全に戦闘車両だ。
ただし、ここで一番考えるべきはエンジンではなく変速機。
CVTのままなら出力の使い方をかなり制御する必要がある。
本気で642psを路面に叩きつけるなら、6MT換装や駆動系の作り替えまで視野に入る。
この車は、エンジンを作るより受け止める側を作る方が大変だ。
タービン・吸排気
642ps仕様なら、大容量タービンは必須だ。
必要な内容は以下。
- 大容量タービン
- 強化エキマニ
- 高効率フロントパイプ
- メタルキャタライザー
- スポーツマフラー
- 大容量インタークーラー
- 強化サクション
- ブーストコントローラー
- ECUセッティング
ただし、VBHは現代車だ。
古いEJ車のように「タービンを替えて、燃料入れて、あとは勢い」では済まない。
各種センサー、CVT制御、CAN通信、排ガス、フェイルセーフ。
全部が絡む。
ピークだけ狙うと、街乗りで眠い車になる。
WRX S4はセダンとしての使いやすさも魅力なので、低中速の立ち上がりを殺すタービン選びはもったいない。
冷却系
VBHで高出力化するなら冷却はかなり重要だ。
必要なものは以下。
- 大容量ラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- CVTクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- CVT油温モニター
- 吸気温モニター
特にCVT油温。
ここを見ずに高出力化するのはかなり危ない。
エンジンが元気でも、変速機が熱で苦しくなると車は気持ちよく走らない。
冷える車は強い。冷えない車は、ただの短距離芸人である。
燃料系
642ps級なら燃料系は完全に強化対象だ。
必要な内容は以下。
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- 燃料ライン点検
- 空燃比管理
- ノック対策
- 高オクタン燃料前提のセッティング
FA24は直噴ターボなので、燃料系の作り込みも古い車より複雑になる。
燃料だけ増やして終わりではなく、噴射制御、点火、ブースト、ノック管理をまとめて詰める必要がある。
駆動系とCVT
この車で一番辛口に見たいのはここだ。
実車のVBH WRX S4 STI Sport R EXはCVT。
そしてゲーム内は89kgm。
この組み合わせをそのまま考えると、かなり厳しい。
CVT前提なら、出力は制御で抑える。
642psを本気で使うなら、CVTではなく6MT系へ換装する、あるいは別の駆動系を作る方向になる。
必要になる内容は以下。
- CVTクーラー
- CVT油温管理
- CVT制御見直し
- トルクリミット管理
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- ドライブシャフト点検
- ハブベアリング点検
- 前後デフ点検
- 6MT換装を視野に入れた構造変更
- DCCD系の流用検討
- プロペラシャフト・リアデフの強化
この車を本気で作るなら、
FA24よりCVTが主役になる。
エンジンは作れる。問題は、それをどう路面に伝えるかだ。
足回り
WAILING PLUTOは見た目こそポップだが、スペック的には足回りもかなり作る必要がある。
必要な内容は以下。
- 全長調整式車高調
- 電子制御ダンパーとの兼ね合い確認
- ピロアッパー
- 強化スタビライザー
- 調整式アーム
- 強化ブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
VBHの実車は前ストラット、後ダブルウィッシュボーン。
この構成は、きちんと足を作ればかなり安定する。
ただし、車高だけ落とすのはかなりもったいない。
WRX S4は現代セダンらしく剛性も制御もある車だ。
見た目重視で足を硬くすると、ただ跳ねるだけのポップな箱になる。
狙うべきは、
硬い足ではなく、踏める足。
ブレーキ
642ps級なら、ブレーキは本気で強化したい。
必要なものは以下。
- 6pot級フロントキャリパー
- 4pot級リアキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキ導風板
- ABSとの相性確認
WRX S4は元々スポーツセダンだが、642ps仕様なら速度域が変わる。
ノーマルブレーキのままパワーだけ盛るのは、かなり見た目倒れだ。
可愛いカラーで止まれない車。
それはもう、ただの危険なキャンディである。
ボディ補強
VBHは新しい車なので、古いGDBのように「まず劣化したボディを起こす」というより、純正の良さを活かして必要な部分を締める方向がいい。
STIからはWRX S4 VB用にフレキシブルタワーバー フロントが用意されており、シャシーのしなりを利用しつつ、乗り心地を損なわずハンドリング向上を狙うパーツとして説明されている。
また、フレキシブルドロースティフナー フロントは、ボディとクロスメンバー間に適度なテンションをかけ、ステアリング初期応答や四輪の接地感、コーナリング安定性を高める狙いのパーツとして説明されている。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フレキシブルドロースティフナー
- フロントロアブレース
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントサスペンションブッシュ強化
フロントは操舵と駆動の要だ。
AWD車はフロントの接地感が薄いと、一気に頼りなくなる。
特に642ps級を名乗るなら、ステアリング初期の反応とフロントの粘りはかなり重要になる。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- センターブレース
- サイドシル補強
- トンネル補強
- ジャッキアップポイント周辺確認
- アンダーパネル取付部確認
CUSCOはVBH WRX S4用にストラットバー、スタビライザー、パワーブレースなどを展開しており、パワーブレースはボディ剛性を高め、歪みや不快な動きを抑え、サスペンション性能を引き出す方向のパーツとして説明されている。
床下補強は見えない。
でも効く。
見た目の星柄より、床下の剛性の方が走りには効く。
これはかなり大事だ。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- リアメンバーサイド補強
- リアデフマウント強化
- サブフレームブッシュ強化
- リアウイング取付部補強
この車はリアウイングがかなり目立つ。
付けるなら、取付部の裏板補強まで考えたい。
羽だけ立派で、トランク側が負ける車は本当に残念だ。
AWD車はリアの安定感も重要。
リアが落ち着くと、高速域でかなり安心感が出る。
ロールケージ
サーキット寄りならロールケージも選択肢に入る。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
ただし、VBHは比較的新しい車で、内装や安全装備も多い。
ケージを組むなら、エアバッグ、内装、乗降性、車検、用途までまとめて考える必要がある。
ストリート寄りなら、まずはSTI系補強、CUSCO系ブレース、ブッシュ、スタビ、足回りで整える方が現実的だ。
軽量化
ゲーム内の車重は1,365kg。
実車のSTI Sport R EXが1600kgなので、かなり大胆な軽量化になる。
近づけるなら以下。
- カーボンボンネット
- 軽量トランク
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- リアシート撤去
- 内装撤去
- 防音材撤去
- 軽量マフラー
- 鍛造ホイール
- アクリルウインドウ
- エアコン撤去
ただ、VBHでここまでやるとS4らしさはかなり薄れる。
快適で速いスポーツセダンという魅力を消してまで軽くするなら、かなり割り切りが必要だ。
現実的には、1,500kg前後までの軽量化+冷却・ブレーキ・足回り強化の方がバランスはいい。
無理に軽くして中身がスカスカになるより、踏める状態を作る方が速い。
外装を実車で再現するなら
WAILING PLUTO風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- 水色・白・ピンク系ラッピング
- 星柄グラフィック
- ボンネットダクト
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアディフューザー
- 大型リアウイング
- ワイドフェンダー
- 鍛造ホイール
- ローダウン
この外装は、ゲーム内ではかなり映える。
実車でもイベント車としてなら十分アリだ。
ただし、実車で普段乗りもするなら少し整理した方がいい。
水色と白をベースに、ピンクは差し色程度。
星柄や文字は控えめ。
エアロは機能重視。
その方が、VBHの新しさとWRXらしさが残る。
辛口総評
WAILING PLUTOは、かなりクセの強いVBH WRX S4風カスタムだ。
見た目はポップ。
カラーは可愛い。
でも中身は642ps、89kgm、4WD。
このギャップはかなり面白い。
ただし、実車で考えると最大の問題はCVTだ。
WRX S4 STI Sport R EXは国内仕様ではCVT。
この車で本気の642psを使うなら、エンジンより変速機と駆動系の作り込みが主役になる。
辛口で言えば、見た目の可愛さに対して中身の数字がかなり暴走している。
でも、それがこの車のキャラでもある。
「かわいいWRX」では終わらない。
中身まで本気で作れば、かなり面白い一台になる。
要するにこの車は、
ポップな外装をまとった、かなり危ないVBH系ハイパワーAWDカスタムだ。
雑に作れば、ただの派手なS4。
きっちり作れば、見た目とのギャップでかなり刺さる。
そしてWAILING PLUTOという名前も悪くない。
冥王星は小さいが、妙に忘れられない。
この車も同じだ。