
UNKNOWNとは
UNKNOWNは、日産 フェアレディ240Z(HS30系)をベースにしたと思われるカスタムカーだ。
名前はUNKNOWN。
正体不明という意味だが、見た瞬間にだいたい分かる。
丸目、ロングノーズ、低い車高、旧車Zらしいキャビンの位置。
これはどう見てもS30系Zである。
ただし、普通の240Zではない。
ワイドフェンダー、深いフロントスポイラー、ボンネットダクト、低く構えた姿勢。
クラシックカーを大事に飾る方向ではなく、現代のチューニングカーとして作り直したS30という雰囲気が強い。
言い方は悪いが、博物館に置くZではない。
夜の道路に放り出した方が似合うZだ。
ベース車はフェアレディ240Z系
ベースは日産 フェアレディ240Z、またはDATSUN 240Z系と見ていい。
240Zは、S30型フェアレディZに2.4L直列6気筒のL24を積んだモデル。
日本では240Z、240Z-L、240ZGが存在し、240ZGはGノーズやオーバーフェンダーで有名だ。
今回のUNKNOWNは、Gノーズではなくショートノーズ寄りの顔つき。
そのため、240ZGそのものというより、240Z系のボディをベースに、ワイドボディ化したカスタム仕様と見るのが自然だ。
S30系Zは、素のデザインがすでに強い。
長いノーズ、短いリア、低いルーフ。
この時点でスポーツカーとしての骨格が完成している。
だからこそ、下手にいじると一気に安っぽくなる。
UNKNOWNはそこをギリギリで踏みとどまっている。
いや、少し踏み越えているかもしれないが、まだカッコいい側にいる。
外装レビュー:かなり良い。ただし少し優等生
UNKNOWNの外装はかなりまとまっている。
ブルーのボディカラー。
張り出したフェンダー。
深いフロントスポイラー。
ボンネットのダクト。
低い車高。
この組み合わせは、S30系Zとの相性が良い。
S30は丸目のクラシックな顔つきなので、あまり未来的にしすぎると変になる。
その点、UNKNOWNは旧車感を残しつつ、チューニングカーとしての迫力を足している。
ただし、辛口で言うなら、少しきれいにまとまりすぎている。
旧車Zの改造車には、もう少し“危なさ”があってもいい。
この車は完成度が高い反面、ちょっとショーカーっぽい。
走っている姿より、展示場でライトを浴びている姿が先に浮かぶ。
話し言葉で言うと、
「カッコいい。でも、もう少し悪そうでもいい」
という感じだ。
S30は行儀よくしすぎると、少しもったいない。
この車なら、フロントまわりにもう少し機能感を出すとさらに化ける。
ただ飾りで穴を開けるのではなく、冷却と空力のために開けている感じが欲しい。
実車で可能なチューニングか
この方向性のチューニングは、実車でも十分可能だ。
S30系Zは昔からチューニングベースとして人気が高い。
L型エンジンの排気量アップ、キャブ仕様、インジェクション化、ターボ化、RB系エンジンスワップ、ワイドボディ、足回り強化。
いろいろな作り方がある。
ただし、UNKNOWNのような雰囲気で実車を作る場合、最初にやるべきことは馬力アップではない。
まず見るべきはボディ。
次に足回り。
その次にブレーキ。
エンジンはその後でいい。
旧車Zは、土台が命だ。
エンジンだけ強くしても、ボディがヨレて、ブレーキが甘くて、足がバラバラなら、ただの怖い車になる。
速い旧車と、危ない旧車は違う。
そこを間違えると、だいたい残念な仕上がりになる。
実車で作るなら、まずはボディから
S30系Zをベースにするなら、最初に確認すべきはサビとボディの状態だ。
最初にやるべき作業
- フロアのサビ確認
- サイドシルの確認
- ストラットタワー周辺の確認
- フレームレールの確認
- リアまわりの腐食確認
- ドア、ハッチ、ボンネットのチリ確認
- 下回りの補修
- 必要ならスポット増し
- 必要ならパネル交換
ここを飛ばしてエンジンだけ作るのは、かなりもったいない。
S30は古い。
古い車は、まず“速くする”より“まともな車に戻す”ことが先になる。
この手のZで一番カッコ悪いのは、外装だけピカピカで、下回りが疲れている個体だ。
人間で言えば、革ジャンは新品なのに膝が笑っている状態。
それでは走りが締まらない。
エンジンはL型を活かすか、スワップするか
UNKNOWNを実車で作る場合、エンジンの方向性は大きく2つある。
L型を活かす路線
一番渋いのは、L型エンジンを残す作り方だ。
おすすめはL28ベース。
そこから3.0L前後まで排気量アップし、NAで仕上げる。
これがかなり美しい。
必要パーツ
- L28エンジン
- 鍛造ピストン
- 強化コンロッド
- ハイカム
- 強化バルブスプリング
- メタルヘッドガスケット
- ポート研磨
- ソレックス / ウェーバー / ITB
- タコ足
- ステンレスマフラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 強化燃料ポンプ
- 点火系強化
この仕様は、旧車Zらしさを残せる。
音も良い。
レスポンスも良い。
何より、S30の雰囲気に合う。
派手な数字より、踏んだ時の気持ちよさ。
旧車Zにはこっちの方が似合う。
ターボ化するなら覚悟が必要
UNKNOWNの雰囲気に寄せるなら、ターボ仕様もありだ。
ただし、L型ターボは簡単ではない。
きちんと作れば面白いが、雑にやると熱と燃調と耐久性で苦労する。
必要パーツ
- L28ベースエンジン
- 鍛造ピストン
- 強化コンロッド
- 圧縮比調整
- ターボ用エキマニ
- タービン
- 外部ウエストゲート
- ブローオフバルブ
- インタークーラー
- サージタンク
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- フルコン
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 排気温計
- 空燃比計
L型ターボは、ちゃんと作ればかなり迫力がある。
ただし、旧車らしい軽さや音の良さは少し薄れる。
そこをどう見るかだ。
「旧車Zらしさ」を取るならNA。
「UNKNOWNっぽい怪しさ」を取るならターボ。
どちらもアリだが、中途半端が一番つまらない。
エンジンスワップもアリ。ただしS30らしさは薄くなる
もっと現代的に作るなら、RB系やJZ系へのスワップも考えられる。
候補
- RB25DET
- RB26DETT
- 1JZ-GTE
- 2JZ-GTE
- SR20DET
- VQ系
パワーを出すだけなら、スワップの方が手っ取り早い。
部品も多い。
セッティングの情報もある。
ただし、S30にRBやJZを積むと、車の性格がかなり変わる。
重量バランス、冷却、駆動系、補機類、ミッション位置、配線。
全部をきちんと合わせる必要がある。
話し言葉で言うと、
「速くはなる。でも、それはもう昔ながらのZとは別腹」
という感じだ。
UNKNOWNをゲーム的に再現するならスワップも似合う。
ただ、サイト記事として見るなら、L型を活かしたチューンの方が読者には刺さりやすい。
足回りはかなり重要
S30系Zで見た目を低くして太いホイールを履かせるなら、足回りはきっちり作る必要がある。
必要パーツ
- 車高調
- ピロアッパーマウント
- 調整式ロアアーム
- 調整式テンションロッド
- 強化スタビライザー
- ウレタンブッシュ
- ピロブッシュ
- 強化ハブ
- ワイドトレッド対応ホイール
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
見た目だけツラを出しても、走りが決まっていないとすぐバレる。
S30は現代車ほどボディも足も強くない。
だからこそ、アライメントとブッシュの状態が効く。
新品の車高調を入れて終わりではない。
古いブッシュを替え、アームを整え、ちゃんと接地させる。
ここを詰めると、S30は一気に化ける。
ブレーキは現代基準にしたい
UNKNOWNのように見た目も走りも強くするなら、ブレーキは必須項目だ。
純正時代のS30は、現代のハイグリップタイヤや高出力には合わせて作られていない。
だから、エンジンを触る前にブレーキを上げたい。
必要パーツ
- フロント4POTキャリパー
- 大径ローター
- ベンチレーテッドディスク
- リアディスク化
- ステンメッシュブレーキホース
- 高性能ブレーキパッド
- 高沸点ブレーキフルード
- マスターシリンダー見直し
- ブレーキバランス調整
速いけど止まらない旧車は、雰囲気だけはある。
でも、それはロマンではなくただの怖さだ。
UNKNOWNのような見た目なら、ブレーキも見た目に負けない内容にしたい。
駆動系も作り直す
エンジンを強化するなら、駆動系もそのままでは心細い。
必要パーツ
- 強化クラッチ
- 軽量フライホイール
- 強化ミッション
- R200デフ
- 機械式LSD
- 強化ドライブシャフト
- 強化プロペラシャフト
- デフマウント補強
- ミッションマウント
- エンジンマウント
S30は軽い。
だからパワーを上げると、車の反応はかなり鋭くなる。
その代わり、駆動系への負担も増える。
特にLSDは重要。
片輪だけ空転するような旧車Zはかなり寂しい。
ちゃんとトラクションをかけて前に出る仕様にしたい。
ボディ補強はかなり大事
UNKNOWNを実車で作るなら、ボディ補強は外せない。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアブレース
- フロントフレームレール補強
- ラジエターコアサポート補強
- ステアリングラック周辺点検
- サスペンション取付部補強
S30はフロントまわりの剛性が走りにかなり効く。
フロントがヨレると、ステアリングの反応がぼやける。
見た目だけ速そうでも、曲がる時にフロントが頼りないと台無しだ。
センター・フロアまわり
- フロア補強
- サイドシル補強
- トンネル補強
- ジャッキポイント補強
- スポット増し
- シーム補強
- アンダーフロア補強
古いZで一番大事なのは床下だ。
ここが弱いと、足回りをいくら触っても動きが曖昧になる。
外から見えない部分に金を入れてあるS30は強い。
逆に、外装だけ強いZは写真で終わる。
リアまわり
- リアストラットタワーバー
- リアメンバー補強
- デフマウント補強
- リアアーム取付部補強
- リアフェンダー周辺補強
- ロールバー連結
リアのトラクションを作るには、ボディ側の剛性が必要だ。
S30はFRなので、リアが落ち着かないとパワーをかけられない。
見た目だけワイドで、踏んだらリアがバタつく。
それはかなり惜しい。
ロールバー / ロールケージ
本気で走らせるならロールバーも入れたい。
- 4点式ロールバー
- 6点式ロールバー
- サイドバー追加
- リアストラット連結
- フロントまで伸ばす本格ケージ
街乗り重視なら4点。
サーキットや高出力仕様なら6点以上。
ボディ剛性も上がるし、安全面でも意味がある。
ただし、入れ方が雑だと室内が一気に残念になる。
旧車Zは雰囲気も大事なので、ロールバーの見せ方も含めて作りたい。
外装を実車で再現するなら
UNKNOWN風にするなら、外装はかなり作りやすい。
必要パーツ
- ワイドフェンダー
- フロントスポイラー
- ボンネットダクト
- カーボンボンネット
- サイドステップ
- リアスポイラー
- オーバーフェンダー
- 旧車向け深リムホイール
- ブルー系オールペン
- 小径ミラー
- ローダウン
ただし、やりすぎると一気に安っぽくなる。
S30は元の線がきれいだ。
だから、外装は“盛る”より“整える”方がいい。
おすすめは、
ブルーのボディ、黒の差し色、控えめなワイドフェンダー、深すぎないフロントスポイラー。
このくらいが一番渋い。
全部盛りにすると、旧車の色気が消える。
実車で作るならこの仕様が良い
UNKNOWNを現実的に作るなら、以下の仕様がかなり良い。
推奨仕様
- ベース:S30 / HS30系
- エンジン:L28ベース 3.0L前後
- 吸気:キャブまたはITB
- 排気:等長タコ足+ステンレスマフラー
- 冷却:大容量ラジエーター+オイルクーラー
- 足回り:車高調+調整式アーム
- 駆動系:R200デフ+機械式LSD
- ブレーキ:フロント4POT+リアディスク化
- 補強:フロア、ストラット、デフマウント、ロールバー
- 外装:ワイドフェンダー+ブルー塗装
これなら、S30らしさを残しながら、UNKNOWNの雰囲気にも近づける。
ターボまで入れるなら、さらに冷却、燃料、制御、駆動系を強化する。
ただ、個人的にはまずNAで仕上げたい。
S30は音とレスポンスが命だ。
辛口総評
UNKNOWNは、フェアレディ240Z系をベースにした旧車Zカスタムとして、かなり良い雰囲気を持っている。
ブルーのボディ、ワイドなフェンダー、低い車高、クラシックな丸目。
この組み合わせは強い。
S30の魅力をしっかり使っている。
ただし、辛口で言うなら、少し優等生すぎる。
もっと荒さがあってもいい。
S30はきれいにまとめるだけでは少しもったいない。
旧車Zには、どこか油と金属の匂いが欲しい。
実車で作るなら、まずボディを直す。
次に足とブレーキ。
その後にL型エンジンを作る。
この順番がいい。
UNKNOWN。
名前は正体不明。
だが中身はかなり分かりやすい。
これは、240Zを現代のチューニング感覚で仕立てた、青い旧車Zだ。
ただ速いだけではなく、ちゃんと骨から作れば、かなり渋い一台になる。