
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | 三菱 |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジン | 4B11 MIVEC 直列4気筒 ターボ |
| 総排気量 | 1,998cc |
| 最高出力 | 313ps / 6,500rpm |
| 最大トルク | 43.7kgf・m / 3,500rpm |
| 全長×全幅×全高 | 4,495×1,810×1,480mm |
| 車両重量 | 1,530kg |
| トランスミッション | 5速MT |
ランサーエボリューション ファイナルエディションは、2015年4月に国内1,000台限定で発売された特別仕様車です。ベースはGSRの5速MT車で、エンジン改良によって313PSまで出力を高め、三菱自動車はこれを歴代最高の動力性能と位置付けていました。つまりこの車は、名前だけの記念車ではなく、最後にちゃんと“速さ”で締めにきたモデルです。
この事実がまず重要です。
世の中には、最終モデルをバッジや内装の演出だけで特別に見せる車もあります。ですがファイナルエディションは違う。GSR 5MTを土台にして、最後にもう一段エンジンを煮詰めた。この時点で、三菱がランエボという名前を最後まで“走りの文脈”で扱っていたことが分かります。
まず、この車は“最後のランエボ”であって、“別物の特別車”ではない
CZ4A世代のランエボXは、2007年に新プラットフォーム、新エンジン、新デザインで登場しました。高剛性ボディ、高剛性サスペンション、2.0L MIVECインタークーラーターボ、そしてS-AWCという、従来のランエボを現代化した大きな転換点でもあります。ファイナルエディションは、そのXの終盤に追加された存在であり、あくまでエボXの完成度を最後に高めた車です。
だからこの車を語る時は、「過去のエボとは全然違う」と切るより、エボXが最後にどこまで仕上がったかとして見るほうが自然です。
4G63のような古典的な荒々しさとは違う。けれど、だからといってランエボらしさが消えたわけでもない。ファイナルエディションは、エボXという現代的なランエボの、最も濃い5MT仕様として見るとしっくりきます。
スペックを見ると、ちゃんと“本気の最終型”です
スペック面でも、この車はかなり明快です。
2.0Lの4B11ターボは313ps/6500rpm、43.7kg-m(429N・m)/3500rpm。駆動方式はフルタイム4WD、トランスミッションは5速マニュアル、LSDも標準。タイヤは245/40R18で、足まわりは前マクファーソンストラット、後マルチリンク。数字だけ眺めても、最後の限定車として誤魔化しの少ない構成です。
ここで面白いのは、最終型なのに“豪華GT”へ逃げていないことです。
SSTではなく5MT。
快適装備を前面に出すのではなく、最後の限定車でもちゃんとドライバー側に仕事を残している。
この判断はかなりランエボらしい。最後まで“運転する車”の顔を崩さなかったことは、もっと評価されていいと思います。
良いところは、派手さより“締まり”にある
ファイナルエディションの魅力は、歴代の中で一番荒々しいとか、一番ドラマチックだとか、そういう方向ではありません。
むしろこの車は、全部がよく締まっている。
エボXの土台にある高剛性ボディ、高剛性サスペンション、S-AWCの安心感に、最後のエンジン強化と5MTの直接感が合わさることで、**“最後だから一番派手”ではなく、“最後だから一番まとまっている”**という独特の味があります。
ランエボには、もっと暴力的な印象の世代もあります。
もっとラリー色の濃い世代もある。
でもファイナルエディションは、そうした歴代の熱さを受け継ぎながら、現代的な速さと最後の限定感をきちんと両立したところが強い。ここは単なる“終売記念”では到達できない部分です。
ただし、誰にでも刺さる“ロマンの塊”かと言うと少し違う
忖度なしで言えば、この車は浪漫だけで語るタイプの最終型ではありません。
4G63時代のエボにあった、少し荒くて、少し危険で、いかにも競技直結という空気は薄れています。
その代わり、CZ4Aファイナルエディションは、速さをより現代的に、より高い安定感で成立させた。ここを“洗練”と取るか、“薄味”と取るかで評価は分かれます。
また、ファイナルエディションは1,000台限定という事実が強すぎて、どうしても希少性で持ち上げられやすい車でもあります。もちろん中身も良いです。ですが、この車の価値を正しく見るなら、「限定だからすごい」ではなく、限定車なのにちゃんと走りのアップデートが入っているから価値があると捉えたほうがいいでしょう。
総評
三菱 ランサーエボリューション ファイナルエディション(CZ4A)'15は、ランエボの最後を、名前だけでなく中身でも締めた一台です。
国内1,000台限定。GSRの5MTをベースに、4B11ターボを313PSまで高め、歴代最高の動力性能を掲げた。こう書くと派手ですが、実際の魅力はもっと地に足がついていて、エボXという世代を最後に一番“締まった形”へ持っていったことにあります。
要するにこの車は、
一番ロマンチックなランエボではないかもしれない。
でも、一番“最後のランエボらしい責任感”を背負ったランエボではある。
そこに、この車の価値があります。
