
SPIRIT KIRIKOとは
SPIRIT KIRIKO。
名前は妙に雅。
だが出てくる車は、紫のGTO風カスタム。和風の名前を背負った重量級4WDターボである。
ベース車は、見た目と構成から見て三菱 GTO TWIN TURBO(Z16A)’95と思われる。
低く長いノーズ、丸みを帯びた90年代クーペボディ、4WD、V6ツインターボ。
この時代の三菱が「全部盛れば強いだろ」と本気で考えていた頃の象徴だ。
実車のGTOツインターボは、E-Z16A型、6G72型3.0L V6 DOHCツインターボ、4WDという構成で、1993年〜1995年頃のツインターボ4WDモデルもこの基本骨格を持っていた。中古車カタログ上でも、1993年8月〜1995年7月生産のGTO 3.0ツインターボ4WDはE-Z16A、6G72型として掲載されている。
ゲーム内では3,269cc、550ps、82kgm、4WD、1,471kg。
つまり、6G72を3.3L級まで拡大し、ツインターボを強化した本気寄りの仕様と見ていい。
見た目は紫。
ボンネットには金系の装飾。
リアには大きなウイング。
派手だが、不思議とGTOには似合う。
GTO自体が最初からちょっと過剰な車だから、多少やりすぎても車の方が受け止める。
ベース車としての三菱GTO
GTOは、90年代国産スポーツの中でもかなり独特な存在だ。
R32 GT-Rのようなレース直系感、RX-7のような軽さ、スープラのような直6ターボ神話。
そういう分かりやすい武器とは違う。
GTOはもっと三菱らしい。
重い。
太い。
4WD。
V6ツインターボ。
電子制御。
そして妙に頑丈そう。
この車は、軽快なスポーツカーというより高速GT寄りのハイテク重量級スポーツだ。
車体は大きく、エンジンも大きく、駆動系も重い。
その代わり、踏んだ時の安定感とトルク感がある。
フジツボの適合情報でも、Z16A GTOツインターボは6G72型エンジン搭載車として扱われており、今でも排気系パーツの対象として確認できる。古い車だが、チューニングベースとしての存在感はまだ残っている。
ただし、GTOは万人向けではない。
「軽くてヒラヒラ曲がる車が好き」という人には合わない。
これは、パワーと4WDで押していく車だ。
悪く言えば重い。
良く言えば、踏んだ時に頼れる。
話し言葉で言えば、
「GTOは軽快じゃない。だが、軽快じゃないからこその迫力がある」
という車である。
見た目は派手。でもGTOなら許せる
SPIRIT KIRIKOの外装は、かなり個性的だ。
紫のボディ。
金色系のライン。
月や紋様のようなグラフィック。
大型リアウイング。
かなり和風ファンタジー寄りのカスタムだ。
普通の車なら、少しやりすぎに見える。
だがGTOなら話が変わる。
GTOは元から線が太い。
ボディも大きい。
顔も濃い。
だから、多少派手なグラフィックを入れても車が負けにくい。
ただし、辛口で言えば少し“衣装”が強い。
GTOのボディそのものが十分に主張しているので、金の模様はもう少し抑えてもいい。
「紫のGTO」だけで十分に濃い。
そこに全部乗せすると、車というよりステージ衣装になる。
とはいえ、この仕様はゲーム内カスタムとしてはかなり記憶に残る。
白黒銀の安全牌ではない。
紫で来るあたり、覚悟はある。
550psは実車で可能か
6G72ツインターボで550ps。
これは現実的な高出力メニューとして十分に射程内だ。
ただし、吸排気とブーストアップだけで軽く届く世界ではない。
タービン、燃料、冷却、ECU、クラッチ、駆動系、ブレーキ、ボディまでまとめて作る必要がある。
実際、GTO/3000GT系の6G72を大きく伸ばすショップ例もあり、国内ではピットロードMがGTOをベースに高出力仕様を作り込んできた事例も紹介されている。6G72と4WDの組み合わせは、高出力化の土台として十分な強さを持っている。
ゲーム内の排気量は3,269cc。
ノーマルの6G72は2,972ccなので、これは3.3L級の排気量アップ仕様と見ていい。
550psだけなら、3.0Lのままでも狙える。
だが3.3L化する意味は、ピークパワーよりもトルクだ。
GTOは軽い車ではない。
だから、上でだけ伸びる仕様より、下から太く押す仕様の方が似合う。
3.3L化して82kgm級のトルクを出す方向は、GTOの性格にはかなり合っている。
82kgmはかなり重いパンチ
SPIRIT KIRIKOで本当に効いてくるのは、550psより82kgmのトルクだ。
4WDなので、踏めば前に出る。
FRのように簡単にタイヤが逃げない。
その代わり、駆動系への負担はかなり大きい。
クラッチ、ミッション、トランスファー、前後デフ、ドライブシャフト、ハブ。
全部に力が入る。
この仕様で一番ダメなのは、エンジンだけ作って「GTOだから大丈夫」と思うこと。
GTOは確かに丈夫なイメージがある。
でも、30年近い車に82kgmを入れるなら、受け止める側も作らないと話にならない。
重戦車に大砲を積むのはいい。
だが足回りがボロい戦車は、戦場に着く前に壊れる。
実車で作るなら、まず健康診断
Z16AのGTOは旧車だ。
まず見るべきは馬力ではない。
状態だ。
チェックしたい部分は以下。
- エンジン圧縮
- タイミングベルト
- ウォーターポンプ
- ラジエーター
- 冷却ホース
- オイル漏れ
- タービンの軸ガタ
- 点火系
- 燃料ポンプ
- インジェクター
- ECU・センサー類
- クラッチ
- 5速/6速MTの状態
- トランスファー
- 前後デフ
- 4WS系統
- ハブベアリング
- ブッシュ類
- 下回りのサビ
- ボディの歪み
- 修復歴
GTOは部品点数が多い。
4WD、4WS、ツインターボ、V6、電子制御。
つまり、壊れる場所も多い。
見た目で惚れて買うと、あとで整備費が出てくるタイプだ。
この車はロマンがある。
ただし、ロマンの下に配線とホースがぎっしり詰まっている。
現実的に作るなら400〜450ps級
実車で気持ちよく乗るなら、まずは400〜450ps級がかなり良い。
必要な内容は以下。
- 吸排気交換
- スポーツマフラー
- フロントパイプ
- スポーツキャタライザー
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 強化燃料ポンプ
- インジェクター強化
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
- 強化クラッチ
- 点火系リフレッシュ
このあたりでもGTOはかなり速い。
車重があるので、ピークパワーよりも中速トルクを太くする方向が合う。
GTOは軽量コーナリングマシンではない。
強いトルクで押していくGTだ。
ならば、扱える400ps台から作る方が車としてまとまりやすい。
SPIRIT KIRIKO再現の550ps仕様
ゲーム内の数字へ寄せるなら、本気度は一段上がる。
必要な内容は以下。
- 3.2〜3.3L級排気量アップ
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- 強化バルブスプリング
- カムシャフト
- 強化オイルポンプ
- 大容量ツインターボ
- 強化アクチュエーター
- 大容量インタークーラー
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- フルコンまたは高性能ECU
- 強化クラッチ
- 駆動系強化
- 冷却系総強化
- 足回り・ブレーキ強化
- ボディ補強
550psのGTOは、数字だけなら十分作れる。
問題は、長く踏めるか。
そして壊れず、曲がり、止まるか。
GTOはパワーを受け止める土台がある。
だからこそ、周辺を雑にすると逆に恥ずかしい。
エンジンだけ元気で、足もブレーキも古いまま。
それはチューニングカーではなく、ただの馬力付き旧車である。
タービン・吸排気
550psを狙うなら、タービンは余裕のあるものを選びたい。
必要なパーツは以下。
- 大容量ツインターボ
- 強化アクチュエーター
- 強化エキマニ
- フロントパイプ
- スポーツキャタライザー
- 低排圧マフラー
- 大容量インタークーラー
- 吸気パイピング
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
GTOはエンジンルームに余裕があるように見えて、実際はかなり詰まっている。
V6横置きツインターボ4WD。
文字だけでもう手が入りにくそうだ。
大きなタービンを入れるなら、熱と整備性も見るべきだ。
タービン交換しました。
熱が抜けません。
整備性が終わりました。
この流れは避けたい。
冷却系
GTOで高出力を狙うなら、冷却はかなり重要だ。
必要な内容は以下。
- 大容量アルミラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- 導風板
- ボンネットダクト
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
GTOはV6ツインターボで、しかも車体が大きい。
熱を持ちやすい構成だ。
紫のボディは涼しそうには見えない。
だから、冷やす部分はきっちり部品で作る。
見た目だけ派手で、水温と油温が苦しい車はかなり情けない。
SPIRIT KIRIKOを名乗るなら、精神論ではなく冷却で戦うべきだ。
燃料系
550ps・82kgmなら、燃料系も強化対象になる。
必要な内容は以下。
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- 燃料フィルター
- 燃料ライン見直し
- 空燃比管理
- ノック対策
- 高オクタン燃料前提のセッティング
6G72は丈夫なイメージがある。
だが、燃料不足には勝てない。
薄い燃調で高ブースト。
それはチューニングではない。
エンジンに対する嫌がらせである。
駆動系
82kgmを4WDで受けるなら、駆動系は必ず作る。
必要な内容は以下。
- ツインプレートクラッチ
- 強化フライホイール
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- トランスファー点検
- 前後デフ点検
- LSD見直し
- ドライブシャフト点検
- ハブベアリング点検
- ミッションオイル管理
- デフオイル管理
GTOは4WDだから踏める。
だが、踏めるということは、負担が逃げないということでもある。
FRならタイヤが逃げるところを、4WDは前へ進もうとする。
その分、部品に力がかかる。
この車を本気で作るなら、エンジンより先に駆動系を信用できる状態にするべきだ。
強いGTOは駆動系が生きている。
そこが死んでいるGTOは、ただ重い。
4WSとの付き合い方
GTOで避けて通れないのが4WSだ。
GTOのツインターボ系は、4WDだけでなく4WSやアクティブエアロなど、当時の三菱らしい技術を詰め込んだ車として知られている。今見るとかなり贅沢だが、古くなると整備面では少し重たい装備でもある。
高出力仕様で使うなら、4WSは以下のどちらかで考えたい。
- 純正4WSをきちんと整備して活かす
- 走行用途に合わせてロック・キャンセル方向で安定性を取る
街乗りや高速GTとしてなら、純正機構を整えて活かすのも面白い。
ただし、サーキット寄りや高出力でリアの動きを明確にしたいなら、4WSをどう扱うかはかなり大事になる。
古い4WSが曖昧に動くと、かなり気持ち悪い。
重い4WDターボでリアの動きが読めない。
それはもう、速い以前に怖い。
足回り
GTOは軽い車ではない。
だから足回りはかなり重要だ。
必要なパーツは以下。
- 全長調整式車高調
- 減衰調整付きダンパー
- ピロアッパー
- 強化スタビライザー
- 調整式アーム
- 強化ブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
狙うべきは、ただ硬い足ではない。
重さを受け止める足だ。
GTOはノーズも車体も重い。
硬くするだけでは曲がらない。
荷重を作り、タイヤを潰し、4WDで立ち上がる。
この流れを作る必要がある。
低いだけのGTOはすぐ分かる。
踏める足になっているGTOは、見た目よりずっと怖い。
ブレーキ
550ps級のGTOなら、ブレーキも本気で作るべきだ。
必要な内容は以下。
- 4pot〜6potフロントキャリパー
- 2pot〜4potリアキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキ導風板
GTOは車重がある。
重い車でパワーを上げるなら、止める力はかなり重要になる。
速いけど止まらないGTO。
これは本当に怖い。
しかも重い。
止まれない重戦車は、ただの事故予告である。
ボディ補強
SPIRIT KIRIKOで重要なのがボディ補強だ。
GTOは大きく重い4WDターボ。
そこへ550ps、82kgm、ハイグリップタイヤ、大型ウイング。
ボディ側もきっちり作りたい。
Pit Road Mからは三菱GTO Z16A向けのフロントストラットタワーバーが流通しており、GTO用の補強パーツは今でも確認できる。高出力GTOを作るなら、こうした補強系パーツはかなり重要な土台になる。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアアームバー
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントアーム類リフレッシュ
- フロントサスペンションブッシュ交換
GTOはフロントが重い。
V6ツインターボと4WDの構成なので、フロントまわりの剛性感はかなり大事だ。
ここがヨレると、ステアリングの初期反応がぼやける。
せっかくの4WDも、重さだけが目立つ車になる。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- センターブレース
- トンネル補強
- サイドシル補強
- ジャッキアップポイント確認
- フロアのサビ確認
- スポット増し
- シーム溶接
床下の一体感はかなり大事だ。
GTOは車体が大きく、重量もある。
フロアがヨレると、足回りの動きが曖昧になる。
見えない部分に金を入れるGTOは強い。
見えるところだけ紫に塗ったGTOとは、走ると差が出る。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- リアデフマウント強化
- サブフレームブッシュ交換
- リアアーム類リフレッシュ
- リアウイング取付部補強
CUSCOのGTO/3000GT Z16A向けリアストラットバーも流通しており、リア側のストラット上部をつなぐことで、コーナリング時のボディ変形を抑える狙いのパーツとして扱われている。
GTOは4WDなので、リアの安定感がかなり大事だ。
リアが落ち着かないと、強いトルクを安心して使えない。
大型ウイングを付けるなら、取付部も補強したい。
羽だけ立派で、ボディ側が負けている車はかなり安く見える。
ロールケージ
本気で走るならロールケージも選択肢に入る。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
街乗り兼用なら、まずはタワーバー、フロア補強、メンバーブレース、ブッシュ類の更新。
サーキット寄りなら、ロールケージまで含めて作る。
GTOは元から重い。
だから補強は“入れれば正義”ではなく、用途を見て入れる。
重さを増やしてでも剛性を取る場面と、補修・ブッシュ交換を優先する場面を分けたい。
軽量化
ゲーム内の車重は1,471kg。
実車のGTOツインターボとして見ると、かなり軽い。
近づけるなら以下。
- カーボンボンネット
- 軽量リアゲート
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- リアシート撤去
- 内装一部撤去
- 防音材撤去
- 軽量マフラー
- 鍛造ホイール
- エアコン撤去
ただし、GTOで軽量化をやりすぎるとGT感が薄れる。
この車は、軽さで勝つタイプではない。
重さをトルクと4WDで押し切る車だ。
現実的には、1,500kg台前半を狙いながら、冷却・駆動系・ブレーキを優先するのが良い。
軽いだけで踏めない車より、少し重くても安心して踏める車の方が速い。
外装を実車で再現するなら
SPIRIT KIRIKO風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- パープル系オールペンまたはラッピング
- ゴールド系グラフィック
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアディフューザー
- 大型リアウイング
- 鍛造ホイール
- ローダウン
- 必要に応じてワイドフェンダー
この外装は、GTOには合っている。
紫と金の組み合わせはかなり強いが、GTOの太いボディなら受け止められる。
実車でやるなら、少し引き算した方がいい。
おすすめは、
深い紫ボディ、金のラインは控えめ、ウイングは機能重視、ホイールはガンメタかブロンズ系。
この方がかなり締まる。
今の仕様はキャラが立っているが、実車で全部やると少し舞台衣装っぽくなる。
GTOは黙っていても濃い。
そこへさらに全力で語らせると、さすがに少し暑苦しい。
辛口総評
SPIRIT KIRIKOは、かなり濃いGTO風カスタムだ。
紫のボディ、金の装飾、大型ウイング。
見た目は派手だが、GTOの重厚なボディとは相性がいい。
この車は細身のスポーツカーではない。
だからこそ、派手な衣装にも負けにくい。
中身は3.3L級6G72ツインターボ、550ps、82kgm、4WD。
実車で作るなら、かなり本気のメニューになる。
エンジン、タービン、燃料、冷却、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強まで全部見る必要がある。
辛口で言えば、GTOは重い。
だが、その重さを悪と決めつけるのは浅い。
GTOは軽さで勝つ車ではない。
重さをトルクと4WDで押し切る車だ。
要するにこの車は、
三菱GTOの重量級4WDターボ感を残しながら、6G72を550ps級まで仕上げた和風ハイパワーカスタムだ。
雑に作れば、紫の重たい旧車。
きっちり作れば、かなり迫力のある4WDターボGTになる。
SPIRIT KIRIKO。
名前は美しい。
だが中身は82kgmの重たいパンチ。
切子細工のように繊細……と言いたいところだが、実際は紫の鉄塊が四輪で殴ってくる。