
MR.KAWAGOEとは
MR.KAWAGOE。
名前だけ見ると、地元の商工会にいそうだ。
だが出てくる車は、派手なラッピングをまとったGRスープラ。しかも中身は3.3L級、676ps、89kgm、FRというかなり強烈な仕様である。
ベース車は、見た目からしてトヨタ GRスープラ RZ(DB06)'22と思われる。
DB06はRZグレードに6速MTが設定されたモデルで、B58型3.0L直列6気筒エンジンを搭載するFRスポーツ。トヨタも2022年の一部改良で、RZグレードへのマニュアルトランスミッション新規設定と運動性能の進化を発表している。
この車の見た目は、かなり派手だ。
シルバー系ボディにピンク、黄色、黒のグラフィック。ボンネットには大きなキャラクター風デザイン。
正直、上品ではない。
ただ、GRスープラの現代的な顔つきには意外と合っている。
問題は、車というより広告看板に近いところだ。
走りそうではある。
でも、その前に「誰のスポンサー車両だよ」と聞きたくなる。
ベース車としてのGRスープラ RZ DB06
GRスープラRZは、現代の直6FRスポーツとしてかなり貴重な存在だ。
B58型3.0L直列6気筒ターボ、FR、2シーター、そしてRZには6速MTも用意される。昔のスープラのような“トヨタだけで作ったGTカー”ではなく、BMWとの包括提携から生まれたグローバルスポーツという立ち位置だ。
ここが好き嫌いを分ける。
80スープラの後継として見ると、どうしても「中身はBMWじゃないか」という話になる。
それは事実として避けられない。
だが、B58はかなり良いエンジンだ。
軽く回るし、トルクも太い。チューニングの伸びしろもある。
つまりGRスープラは、昔ながらのトヨタ魂で語る車ではない。
現代のパーツを使って、スープラという名前を再構築した車である。
それを許せるかどうか。
ここで評価が分かれる。
「スープラは2JZじゃないと認めん」という人には刺さらない。
だが、走る車として見れば、DB06のRZは普通にかなり優秀だ。
見た目はかなり騒がしい
MR.KAWAGOEの外装は、かなり強い。
シルバー系ボディにピンクと黄色の差し色。
ボンネットには大きなグラフィック。
フロントバンパーもかなり攻撃的で、低く構えた雰囲気がある。
悪くない。
悪くないが、かなり喋る。
GRスープラは、元の造形だけでかなり情報量が多い。
ノーズの抑揚、ヘッドライトの形、リアフェンダーの厚み、複雑なバンパーライン。
そこに派手なラッピングを足すと、少し忙しくなる。
話し言葉で言えば、
「車は速そうなんだが、ボンネットがずっと自己紹介してくる」
という感じだ。
ただし、ゲーム内のカスタムとしては記憶に残る。
白黒銀だけの上品カスタムより、こういう“ちょっとやりすぎ”の方がキャラは立つ。
問題は実車でやる場合だ。
実車でこのままやると、イベント会場では映える。
普段乗りでは、コンビニに停めるだけでかなり見られる。
それを喜べる人向けの仕様である。
676psは実車で可能か
方向性としては可能。
ただし、完全に本気仕様だ。
DB06のB58B30Bは3.0L直6ターボ。HKSでもDB06・B58B30B用のマフラーや車高調などが設定されており、現行スープラ向けのチューニングパーツは今も展開されている。
ただ、676psは軽いブーストアップの世界ではない。
吸排気とECUだけで「はい完成」とはいかない。
必要になるのは以下。
- 大容量タービン
- 高効率ダウンパイプ
- スポーツキャタライザー
- 高効率マフラー
- 大容量インタークーラー
- 強化チャージパイプ
- 大容量燃料ポンプ
- 追加燃料系
- ECU現車セッティング
- 強化クラッチ
- 冷却系強化
- 駆動系チェック
- 足回り・ブレーキ強化
この車はFRだ。
676psを後輪だけで受ける。
つまり、数字だけ作っても路面に伝えられなければ意味がない。
676psのスープラ。
響きは良い。
でも踏んだ瞬間にリアだけ暴れて前へ進まないなら、ただの派手な煙幕発生装置だ。
3.3L化はかなり本気
ゲーム内では排気量が3,296ccになっている。
実車のB58は3.0Lなので、これは3.3L級への排気量アップ仕様と見るのが自然だ。
現実に寄せるなら、ストローカー化、あるいは専用内部パーツを使った本格的なエンジンビルドになる。
必要な内容は以下。
- ストローカークランク
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- 強化バルブスプリング
- カムシャフト
- 強化オイルポンプ
- エンジンバランス取り
- ECU再セッティング
ただし、676psだけを狙うなら、最初から3.3L化まで行かなくても到達可能な方向はある。
3.3L化の狙いは、ピークパワーよりもトルクの厚みだ。
89kgmという数字を見ると、MR.KAWAGOEは高回転で叫ぶ車というより、下から太く押し出す仕様に見える。
スープラらしいと言えば、かなりスープラらしい。
89kgmはかなり強烈
この車で一番怖いのは676psより89kgmだ。
FRで89kgm。
これはもう、タイヤ、クラッチ、ミッション、デフ、プロペラシャフト、ドライブシャフト、全部に負担が来る。
DB06の6MTで高トルク仕様を作るなら、クラッチと駆動系は絶対に見たい。
ノーマル感覚で踏む車ではない。
必要な内容は以下。
- 強化クラッチ
- ツインプレートクラッチ
- 強化フライホイール
- 機械式LSD
- 強化デフマウント
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- プロペラシャフト点検
- ドライブシャフト点検
- ミッションオイル管理
- デフオイル管理
この仕様で駆動系を甘く見ると、速い車ではなく壊れる順番待ちになる。
馬力はロマン。
駆動系は現実。
現実はだいたい高い。
実車で作るなら、まずは400〜500ps級
現実的に楽しむなら、最初は400〜500ps級がかなり良い。
GRスープラRZのB58は素性が良い。
吸排気、ECU、冷却、足回り、ブレーキをきっちりやれば、かなり気持ちよく走る車になる。
必要な内容は以下。
- スポーツマフラー
- 高効率エアクリーナー
- チャージパイプ強化
- インタークーラー強化
- ECU現車セッティング
- オイルクーラー
- ブースト管理
- 高性能タイヤ
- 車高調
- ブレーキパッド・フルード強化
HKSのDB06用Super Turbo MufflerはB58B30B・22年10月以降のDB06に適合し、HKS HIPERMAX RもDB06用として設定されている。実車でまず吸排気・足回りから仕上げる土台は十分にある。
このくらいなら、GRスープラの良さを壊さずに速くできる。
600ps超えはその先だ。
MR.KAWAGOE再現の676ps仕様
ゲーム内の数字へ寄せるなら、かなり大掛かりになる。
必要な内容は以下。
- 大容量タービン
- 強化エキマニ
- 高効率ダウンパイプ
- スポーツキャタライザー
- 大容量インタークーラー
- 強化チャージパイプ
- 高効率吸気
- 大容量燃料ポンプ
- 追加インジェクション系
- ECU現車セッティング
- 強化クラッチ
- LSD
- 冷却系総強化
- 足回り・ブレーキ強化
- ボディ補強
676ps級なら、ただのストリート仕様ではない。
サーキットや高速域で使うなら、熱管理と駆動系まで含めて作るべきだ。
B58は良い。
だが、良いエンジンでも雑なセッティングには勝てない。
「B58だから大丈夫」は、チューニング費用を節約する魔法の言葉ではない。
冷却系
676ps級なら、冷却はかなり重要だ。
必要な内容は以下。
- 大容量ラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- 強化ウォーターライン
- 強化チャージパイプ
- 吸気温管理
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
GRスープラは現代車なので、センサー類や制御も含めて温度管理が重要になる。
一発だけ速い車なら作りやすい。
何度踏んでもタレない車にするのが難しい。
派手なラッピングでは温度は下がらない。
冷やすのはデザインではなく部品だ。
燃料系
676psを狙うなら燃料系も必須。
必要なものは以下。
- 大容量燃料ポンプ
- 追加燃料系
- インジェクション強化
- 燃圧管理
- 空燃比管理
- ノック対策
- 高オクタン燃料前提のセッティング
B58は直噴ターボなので、燃料の作り込みは古い車より複雑になる。
燃料を増やすだけではなく、制御とセットで詰める必要がある。
ここをケチる高出力車は、速いのではなく危ない。
しかも壊れた時の請求書が、かなり現代的に高い。
足回り
GRスープラは元から足が良い車だ。
だからこそ、雑に硬くすると台無しになる。
HKS HIPERMAX RのDB06用データでは、前255/35R19・後275/35R19のタイヤサイズ、車高・アライメントデータなどが示されている。DB06で足回りを詰めるなら、車高、キャンバー、トー、タイヤサイズをセットで見る必要がある。
必要なパーツは以下。
- 高性能車高調
- ピロアッパー
- 調整式アーム
- 強化スタビライザー
- 強化ブッシュ
- 高性能タイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
GRスープラはホイールベースが短めで、FRらしい動きが出やすい。
676ps級にするなら、リアのトラクションをどう作るかがかなり大事だ。
低いだけのスープラはすぐバレる。
踏める足にしないと、ただの派手な展示車になる。
ブレーキ
676ps仕様ならブレーキは強化必須。
必要な内容は以下。
- 6pot級フロントキャリパー
- 4pot級リアキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキ導風板
- ABSとの相性確認
速くするなら止まる方も作る。
これは当たり前だが、意外と飛ばされがちだ。
GRスープラは現代車だから、ブレーキも制御とセットで考えたい。
キャリパーだけ大きくして終わりではない。
タイヤ、ABS、温度、ペダルフィールまで見て、ようやく“踏める車”になる。
ボディ補強
MR.KAWAGOE仕様で重要なのがボディ補強だ。
DB06は新しい車なので、古い旧車のようにボディを起こすというより、純正の良さを活かしつつ必要なところを締める方向がいい。
BLITZはDB06スープラ用ストラットタワーバーの適合を発表しており、コーナリングやブレーキング時のボディ歪みを抑え、サスペンション性能を引き出す狙いのパーツとして説明している。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアブレース
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントサスペンションブッシュ強化
GRスープラはフロントの入りが大事だ。
ここがぼやけると、せっかくの短いホイールベースとFR感が薄れる。
フロントに補強を入れるなら、ただ固めるのではなく、足がきれいに動く方向で作りたい。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- センターブレース
- トンネル補強
- サイドシル周辺補強
- ジャッキアップポイント確認
- アンダーパネル固定部確認
GRスープラはボディ剛性が高い現代車だが、676ps級にするなら床下の一体感も見たい。
見えない部分に金を入れる車は強い。
見えるところだけ派手な車は、だいたい話が長い。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- デフマウント強化
- サブフレームブッシュ強化
- リアディフューザー取付部補強
- リアウイング取付部補強
この車はFRで高トルク。
リアが受け止められないと、ただ暴れるだけになる。
特に89kgm級なら、リアメンバー、デフ周辺、ブッシュの管理はかなり大事だ。
大型ウイングを付けるなら、取付部の補強も必要。
羽だけ立派で、ボディ側が負ける車は本当に安く見える。
ロールケージ
サーキット寄りならロールケージもあり。
- 4点式
- 6点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
ただし、DB06は現代車なので、内装、安全装備、エアバッグ、センサー類との干渉まで考える必要がある。
ストリート寄りなら、まずはタワーバー、フロアブレース、リア補強、ブッシュ、足回りの精度を上げる方が自然だ。
軽量化
ゲーム内の車重は1,312kg。
実車DB06として見ると、かなり軽い。
ここまで落とすなら、かなり割り切った内容になる。
必要な内容は以下。
- カーボンボンネット
- カーボントランク
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- 内装撤去
- 防音材撤去
- 軽量マフラー
- 鍛造ホイール
- アクリルウインドウ
- エアコン撤去
ただし、GRスープラでここまで削ると、現代車らしい快適性はかなり消える。
街乗りもするなら、無理に1,300kg台前半を狙うより、1,400kg台で冷却・駆動系・ブレーキを作る方が現実的だ。
軽いだけで踏めない車より、少し重くても安心して踏める車の方が速い。
外装を実車で再現するなら
MR.KAWAGOE風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- シルバー系ラッピングまたは塗装
- ピンク・イエロー系グラフィック
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアディフューザー
- 大型リアウイング
- ワイドフェンダー
- 鍛造ホイール
- ローダウン
- 必要に応じてカーボンボンネット
HKSにはDB06・B58B30B用のプレミアムボディキットも設定されており、GRスープラの外装を大きく変える方向のパーツも存在する。
ただし、実車でやるならグラフィックは少し抑えたい。
GRスープラは造形がかなり強い。
そこへ派手なラッピングを全面に入れると、車の形より絵が前に出る。
おすすめは、
シルバー系ボディ、ピンクは差し色、黄色は控えめ、エアロは機能重視。
この方がかなり締まる。
今の仕様は悪くないが、少し看板感が強い。
辛口総評
MR.KAWAGOEは、かなり派手なGRスープラRZ風カスタムだ。
ベースはDB06のGRスープラRZ。
B58、FR、6MTという現代ではかなり貴重な構成。
そこへ3.3L級、676ps、89kgmという強烈なチューニングを合わせた仕様である。
見た目はかなり騒がしい。
シルバー、ピンク、黄色、ボンネットグラフィック。
イベント映えはする。
ただ、GRスープラの造形を活かすなら、もう少し引き算した方がいい。
辛口で言えば、外装は少し喋りすぎ。
中身の方向性はかなり面白い。
B58で676ps級を狙うなら、タービン、燃料、冷却、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強まで全部やる必要がある。
見た目だけ派手で中身が追いついていないと、この車はかなり恥ずかしい。
要するにこの車は、
現代GRスープラをショーカー寄りに飾りつつ、中身は本気の高出力FRに振ったカスタムだ。
雑に作れば、派手なだけのDB06。
きっちり作れば、かなり怖い現代スープラになる。
そしてMR.KAWAGOEという名前。
妙に庶民的なのに、車は676ps。
そのズレは嫌いじゃない。
川越から来た顔をして、踏んだら中身はアウトバーンである。