トヨタ

トヨタ チェイサー ツアラーV(JZX100)'98は“分かる人に長く刺さる4ドアFRターボ”だった

■ 基本スペック (ノーマル時)

項目スペック
メーカートヨタ
駆動方式FR
エンジン1JZ-GTE VVT-i 直列6気筒 シングルターボ
総排気量2,491cc
最高出力280ps / 6,200rpm
最大トルク38.5kgf・m / 2,400rpm
全長×全幅×全高4,715×1,755×1,400mm
車両重量1,480kg
トランスミッション5速MT / 4速AT

速さと実用性と不良っぽさ。その全部がちょうどよかった4ドア

JZX100のチェイサー ツアラーVって、今さら説明する必要がないくらい有名な車です。
でも、あまりに有名すぎて、逆に雑に語られがちでもあります。

「1JZだから」
「ドリ車だから」
「100系三兄弟の代表だから」
もちろんそれも間違いではないです。
ただ、それだけで片付けるとこの車の本当の良さは見えません。

ツアラーVのすごさは、全部のバランスが妙に良かったことです。
4ドアセダンで、ちゃんと人が乗れて、荷物も積めて、見た目も上品すぎず下品すぎず、しかも1JZ-GTEのターボでしっかり速い。
要するにこの車は、
“普通に使えるのに、普通では終わらないFRターボセダン”
として完成度が高かったんです。


まず、チェイサーという名前がよかった

マークIIでもなく、クレスタでもなく、チェイサー。
ここがまず大きいです。

100系三兄弟は中身の根っこは近いですが、空気が違う。
マークIIは少し真面目。
クレスタは少し上品。
チェイサーはその真ん中で、少しだけワルそうなんです。

この“少しだけワルそう”が絶妙でした。
やりすぎていない。
でも、ただのサラリーマンセダンにも見えない。
純正の時点で、ちゃんとツアラーVの顔をしている。
今見るとこのバランス感覚は本当に上手いです。

特にJZX100のチェイサーは、前から見ても横から見ても、セダンとしての線がきれいです。
低すぎない。
長すぎない。
でも、しっかりFRらしい佇まいがある。
ここがいい。
“速い4ドア”の見え方として、かなり完成されていたと思います。


1JZ-GTEの魅力は、数字より“余裕の出方”にある

この車を語るなら、やっぱり1JZ-GTEは外せません。
ただ、1JZって、2JZみたいに神話そのもので語られることが多い割に、本当の良さはもう少し地味なところにあります。

それは、余裕の出方が気持ちいいことです。

踏めば速い。
もちろん速い。
でも、ツアラーVの良さは単に最高速だの馬力だのではなく、街中でも高速でも、ちょっと踏み足した時に
「ああ、この車まだ全然余ってるな」
と感じるあの感覚です。

4ドアセダンなのに、エンジン側にはまだ余白がある。
その余白が、車全体に“格上感”を出していた。
ここが大きいです。

最近のターボはもっと洗練されています。
でも、1JZ-GTEには少し昔のターボらしい濃さがある。
少し荒い。
少しメカっぽい。
そのぶん、踏んだ時の“やってる感”がちゃんとある。
ここが今でも支持される理由でしょう。


ツアラーVが強かったのは、“ドリフト専用車”じゃなかったから

この車はドリフト人気が強すぎて、今ではそこだけで語られることも多いです。
でも、元のツアラーVは最初からドリフト専用の変態グレードだったわけではありません。

本来は、速いGTセダンなんです。

高速道路で余裕がある。
長距離でもちゃんと楽。
4枚ドアで使い勝手もいい。
でも、FRでターボだから遊ぼうと思えば遊べる。
この“二面性”がツアラーVの本質です。

つまりこの車、
真面目に乗っても良いし、少し悪く乗っても成立する
ここが強い。
ドリフト人気が出たのは、たまたま向いていたからであって、それだけで人気が出たわけじゃない。
元の車がちゃんと出来ていたから、いろんな遊ばれ方に耐えたんです。

雑に言えば、
素の車が強かったから、改造ベースとしても異常に優秀だった
それがJZX100ツアラーVです。


シャーシの感じも、実にちょうどいい

この車のいいところは、ボディがガチガチの競技車みたいに張り詰めすぎていないことです。
かといって、古いセダンみたいにフニャフニャでもない。
ちょうどいいんです。

今の高性能車みたいな、最初から全部が上手な感じではありません。
でも、そこがいい。
乗り手が介入する余地がちゃんとある。
セッティングで変わるし、タイヤで変わるし、デフでも性格が変わる。
この“余白”の広さが、JZX100の人気を決定的にしたと思います。

ノーマルでも十分に楽しい。
でも、少し手を入れるとちゃんと応える。
これって簡単そうで難しいです。
中途半端な車は、いじっても破綻する。
でもツアラーVは違った。
素材の芯がちゃんとあったから、長く愛されたわけです。


忖度なしで言うと、今は神格化されすぎている

ここははっきり書いておきたいです。
JZX100ツアラーVは名車です。
でも、今はちょっと神格化されすぎです。

何でもかんでも
「100チェは最高」
で終わらせるのは雑です。
当然、古い車です。
ボディの状態、改造歴、事故歴、足まわり、エンジン、ミッション、全部に個体差が出る時代です。
名前だけでありがたがる段階は、とっくに過ぎています。

それと、今の感覚で乗れば、内装の質感はやっぱり古い。
静粛性も最新車には敵わない。
安全装備も当然ながらない。
だから“今の高性能車と比べて全部上”みたいな見方は違う。

ただ、それでもなお、この車に価値があるのは、
古さを含めてもなお魅力が勝つからです。
そこが名車の条件でしょう。


マークIIツアラーVよりチェイサーが好まれる理由

ここも好みが出るところですが、車好きの中でチェイサーが妙に支持されるのは理由があります。
一言で言えば、少しだけ若いんです。

マークIIツアラーVは、もっと正統派です。
良く言えば上品。
悪く言えば少し真面目。
一方でチェイサーは、その真面目さをほんの少し崩している。
ヘッドライトの目つき、バンパーの雰囲気、全体の空気が、少しだけ攻めている。

この差は実に大きい。
車好きって、こういう“少しだけ悪い顔”に弱いんです。
しかも中身はちゃんと1JZでFR。
そりゃ人気が出るわけです。


4ドアというのが、結局一番ちょうどよかった

若い頃はクーペに憧れます。
でも実際に長く付き合うと、4ドアの良さがじわじわ効いてくる。
ツアラーVはまさにそこです。

セダンだから不便が少ない。
後席も使える。
見た目も落ち着いている。
でも、走りは十分に濃い。
この“ちょうどよさ”が、日本ではすごく強い。

しかもチェイサーは、4ドアなのにちゃんと格好いい。
ここがまた重要です。
便利さのために我慢して4ドアに乗るんじゃない。
4ドアであること自体が、この車の魅力に繋がっている
ここがJZX100ツアラーVの美味しいところです。


まとめ

トヨタ チェイサー ツアラーV(JZX100)'98は、
1JZのターボ、FR、4ドアセダン、少し不良っぽい見た目、その全部が高いところで噛み合った名車です。

ただ速いだけじゃない。
ただ人気があるだけでもない。
セダンとしても成立しているし、走りのベースとしても強い。
だからここまで長く残った。

忖度なしで言えば、今は相場も人気も上がりすぎています。
神格化もされています。
でも、それでもなお、
“100チェがいい”と言われ続ける理由はちゃんとある
それは懐古趣味ではなく、車そのものの出来の良さです。

要するにJZX100ツアラーVは、
**一番派手なトヨタ車ではないけれど、一番“分かる人に長く刺さる4ドアFRターボ”**だったんです。
そういう車は、やっぱり強いです。

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