日産

日産 フェアレディZ Version ST(Z33)'05は“平成の筋肉質Z”だった

【基本スペック (ノーマル時)】

項目スペック
メーカー日産
駆動方式FR
エンジンVQ35DE V型6気筒 NA
総排気量3,498cc
最高出力280ps / 6,400rpm
最大トルク37.0kgf・m / 4,800rpm
全長×全幅×全高4,315×1,815×1,315mm
車両重量1,450kg
トランスミッション6速MT
注:'05年式のMTモデルは本来294ps仕様ですが、ゲーム内では初期型の280psで表示されている可能性があります。

フェアレディZ Version ST(Z33)'05をひとことで言うなら、洗練よりも存在感で勝負したZです。

軽快な名車ではない。
上品なGTでもない。
ましてや繊細なスポーツカーでもない。

でも、この車にはちゃんと魅力がある。
しかも、その魅力はかなり分かりやすい。
長いノーズ、短いデッキ、FR、大排気量V6。
要するにZ33は、「こういうのでいいんだよ」と言いたくなる、分厚い国産スポーツクーペなんです。

Z32が良くも悪くもハイテクで濃密だったのに対して、Z33はもっと単純です。
そしてその単純さが、この車の一番いいところでもあります。


まず、この車は“美しい”というより“迫力がある”

Z33を見て、S30のような繊細な美しさや、Z32のような未来感を期待すると少しズレます。
この車の良さは、もっと別のところにあります。

筋肉質なんです。

横から見た時の前後の張り、フェンダーの厚み、低く構えたルーフ。
洗練された線で魅せるというより、塊感で押してくる。
だから人によっては「少し野暮ったい」と感じるし、逆にそこが好きな人にはたまらない。

正直に言えば、Z33はスマートではありません。
でも、その代わり**“ちゃんとスポーツカーを買った感”が強い**。
ここはかなり大きいです。

最近の車は速くても、どこか薄味なことがあります。
Z33には、そういう薄さがない。
良くも悪くも、存在そのものが濃いんです。


Z33が評価される理由は、実は“原点回帰”にある

Z33は、Z32の後を継いだ車として見ると面白いです。
Z32は豪華で、複雑で、少し未来を先取りしすぎたZでした。
対してZ33は、そこから一気に整理されています。

FR。
V6。
2シーター。
分かりやすいサイズ感。
過剰に豪華すぎない構成。

つまりこの車は、一度Zを“分かりやすいスポーツクーペ”に戻したモデルなんです。
ここがかなり重要です。

日産が「Zって何だっけ」と考え直して、
“じゃあ、またロングノーズのFRクーペで、パワーがあって、気持ちよく走れる車にしよう”
とやった結果がZ33に見えます。

だからこの車は、古臭いのではなく、
あえてシンプルな文法へ戻した車として評価すべきなんです。


Version STは“上級グレード”だが、上品にはなりきれない

Version STという名前だけ見ると、少し大人向けで上質な仕様を想像するかもしれません。
実際、その方向性はあります。
装備も雰囲気も、ベースよりちゃんと“いいZ”感がある。

ただ、面白いのはここからです。
この車、Version STになっても根本がかなり体育会系なんです。

高級クーペのように澄ました顔をしきれない。
ラグジュアリー路線へ振り切るには、ちょっと骨太すぎる。
要するに、Version STは快適装備を足したところで、結局はマッチョなZ33の上に座っている

そこがいい。
そして、そこが中途半端にも見える。

つまりVersion STは、
**“エレガントな上級グレード”というより“少し上等な筋肉質Z”**なんです。
ここは好き嫌いが分かれるでしょう。


走りはどうか。答えは“気持ちいいが、繊細ではない”

Z33に乗ってまず感じるのは、たぶん軽快さではありません。
トルク感と安定感です。

エンジンを回して気持ちいいというより、踏んだ時にちゃんと厚みがある。
FRらしい後輪駆動の感覚も分かりやすい。
この“分かりやすさ”がZ33の長所です。

一方で、軽くてヒラヒラ向きを変えるような車ではない。
S2000みたいな刃物感もない。
ロータスのような軽量スポーツの気持ちよさとはかなり違う。
だから、純粋な運動性能の繊細さだけで見ると、どうしても雑味が残ります。

でも、その雑味込みで
「これぞ大排気量FRスポーツだろ」
と言いたくなる魅力がある。
Z33は、そこをうまく割り切れた人に深く刺さる車です。


この車の弱点は、良くも悪くも“大味”なこと

忖度なしで言えば、Z33の欠点はかなり明確です。

まず、少し大味です。
ハンドリングもフィーリングも、絶対的に精密な方向ではない。
ボディの雰囲気も、洗練された欧州クーペというより“国産の力強いスポーツカー”に寄っています。

そして内装も、今見るとやや時代を感じる。
高級感がないわけではないですが、価格や立ち位置を考えると、もう一段の華やかさや質感が欲しくなる人もいるはずです。

さらに、Version STというグレードがまた悩ましい。
スポーツに振り切るには少し快適装備が多く、GTに振り切るには少し粗い。
この中間感は魅力でもありますが、
“ど真ん中を撃ち抜いていない”
とも言えます。

つまりZ33 Version STは、
全部入りに見えて、実はかなり不器用なんです。


それでも“良いZ”だと思える理由

ここが一番大事です。

Z33には欠点があります。
洗練で押す車ではありません。
軽快な名車でもありません。
繊細なスポーツカーでもありません。

それでも、この車を良いと思えるのは、キャラクターがはっきりしているからです。

今の車は、優秀でも印象が薄いことがあります。
でもZ33は違う。
乗っても見ても、「ああ、これはこういう車だな」がすぐ分かる。
しかも、その“こういう車だな”がちゃんと魅力的です。

  • 筋肉質な見た目
  • 分厚いV6
  • FRらしい構成
  • 上級グレードでも隠しきれない体育会系の空気

この全部が、Z33をZ33たらしめている。
つまりこの車は、完成度よりキャラクターで勝っているんです。


総評

日産 フェアレディZ Version ST(Z33)'05は、**繊細な名車ではないが、かなり気持ちのいい“平成のマッスルZ”**です。

スマートではない。
少し大味。
Version STも上品に振り切れていない。
でも、その全部を差し引いても、
“こういうFRスポーツクーペが欲しい”という欲をまっすぐ満たしてくる強さがあります。

Z33は、優等生のZではありません。
もっと不器用です。
もっと分かりやすいです。
そして、だからこそ好きな人には深く刺さる。

要するにこの車は、
**“美しいZ”というより“気持ちのいいZ”**です。
それがVersion ST(Z33)'05の一番しっくりくる評価だと思います。

-日産