
■ 基本スペック (ノーマル時)
項目 | スペック |
メーカー | ホンダ |
駆動方式 | MR |
エンジン | E07A 直列3気筒 NA |
総排気量 | 659cc |
最高出力 | 64ps / 8,100rpm |
最大トルク | 6.1kgf・m / 7,000rpm |
全長×全幅×全高 | 3,295×1,395×1,175mm |
車両重量 | 760kg |
トランスミッション | 5速MT |
Google スプレッドシートにエクスポート
■ ゲーム内での特性・オススメセッティング
特性: 軽自動車としては唯一無二のミッドシップ・リアドライブ(MR)レイアウトを持つ、純粋なコーナリングマシン。ターボに頼らず、8,100rpmという高回転でパワーを絞り出すNAエンジンが最大の特徴。そのフィーリングはまるでバイクのようだ。 トラクション性能と回頭性は驚異的で、どんなタイトコーナーでも面白いように曲がっていく。しかし、トルクが絶望的に細く、一度でも回転数を落とすと再加速に多大な時間を要する。本作に登場する中でも、最もドライバーの技量が問われる一台と言っても過言ではない。
オススメセッティング(B案):
- ライトチューン向け (Lv.3程度)
- 方向性: エンジンの美味しい領域を外さないための工夫と、シャシー性能の底上げ。
- 駆動系: クロスミッションの導入を最優先。回転数の落ち込みを最小限に抑えることが、このクルマで速く走るための絶対条件。
- 吸排気系: NAエンジンのため、吸排気系のチューニングでレスポンスを向上させるだけでも体感的な速さが大きく変わる。
- タイヤ: ハイグリップタイヤへの交換。パワーがない分、コーナリングのボトムスピードを1km/hでも高く保つ必要がある。
- フルチューン向け (Lv.MAX)
- 方向性: 「絶対的な軽さ」と「MRレイアウト」という二大巨頭を極限まで先鋭化させる。
- エンジン: フルバランス取り、ポート研磨など、NAチューンの基本を徹底的に施し、9,000rpmオーバーの超高回転域でもパワーが追従するように仕上げる。
- ボディ: スポット増しなどでボディ剛性を上げ、MRの挙動をダイレクトに感じられるようにする。ロールケージの装着は必須項目。
- サスペンション: コーナー進入でノーズがスッと入り、脱出でリアが粘るMRの理想的な挙動を目指す。リアの車高をフロントよりわずかに高く設定し、トラクションを確保するのも有効。
■【評価と立ち位置】
- 国内での評判:『ABCトリオの一角を担う伝説』 90年代初頭の軽スポーツカーブームを牽引した「平成ABCトリオ」(マツダ AZ-1、ホンダ Beat、スズキ Cappuccino)の一角。ターボが当たり前の軽スポーツ界に、高回転型NAエンジンとMRレイアウトで挑んだホンダの意欲作として、今なお絶大な人気を誇る。そのスローガン「ミッドシップ・アミューズメント」の名の通り、速さよりも「運転する楽しさ」を徹底的に追求した一台として、多くのファンに愛され続けている。
- 国外での評判:『ホンダの哲学が生んだ小さな宝石』 「25年ルール」により輸入が解禁された北米を中心に、JDMファンから熱烈な支持を受けている。ホンダのバイク作りにも通じる高回転型エンジン、ピニンファリーナが手掛けた美しいデザイン、そしてMRレイアウト。日本の軽自動車規格という制約の中でこれらを実現した技術力と遊び心は、「The Power of Dreams」を掲げた当時のホンダを象徴する存在として高く評価されている。
- ゲーム内での評価:『浪漫と苦行の求道者』 「このクルマで勝つ」ということ自体が、一つのステータスとなる求道者のマシン。湾岸線ではもはや障害物に近いが、C1の内回りや八重洲線のような超テクニカルコースに持ち込めば、その真価を発揮する。エンジンサウンドは最高だが、常に聞こえるのはライバルのターボが奏でるブローオフバルブの音。勝つためには寸分のミスも許されないため、プレイヤーに極度の集中力を要求する。ビート使いは、速さの追求者ではなく、運転の楽しさの探求者と言えるだろう。
■ 辛口コラム:速さを捨てて、楽しさに全振りした異端児
スペック表を見てみよう。最大トルク6.1kgf・m。現代の軽ワゴンにも劣るこの数値は、首都高という最高速が支配する世界では冗談にしか聞こえない。パワーこそ正義、ターボこそ至高。そんな単純なヒエラルキーが支配するこの場所において、ビートは最も底辺に位置する存在だ。 だが、それがどうしたと言うのか。 このクルマの価値は、0-100km/hのタイムや最高速の数値には現れない。8,500rpmまで突き抜ける甲高いエンジンサウンド、地面スレスレの視点、背後から聞こえるエンジン音、そしてMRならではのヒラリと向きを変える感覚。その全てが、効率や速さといった退屈な価値基準を忘れさせ、「ああ、クルマを運転するのって、こんなに楽しかったんだ」という根源的な喜びを思い出させてくれる。 ライバルに勝つためのクルマは他にいくらでもある。だが、自分自身が楽しむためのクルマは、このビートをおいて他にない。首都高の頂点を目指すのではなく、首都高を走るという行為そのものを楽しむ。それこそが、この異端児に許された最大の特権なのだ。