
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | ホンダ |
| 駆動方式 | 4WD (SPORT HYBRID SH-AWD) |
| エンジン | JNC V型6気筒 ツインターボ + 3モーター |
| 総排気量 | 3,492cc |
| 最高出力 | 581ps (システム総合) |
| 最大トルク | 65.9kgf・m (システム総合) |
| 全長×全幅×全高 | 4,490×1,940×1,215mm |
| 車両重量 | 1,780kg |
| トランスミッション | 9速DCT |
| 注:ゲーム内のスペックはエンジン単体の数値を表示している可能性がありますが、本車両は3基のモーターを組み合わせたハイブリッドAWDです。 |
ホンダ NSX(NC1)'17はどんな車か
NC1型NSXは、ホンダが“真面目すぎるくらい真面目”に作ったハイブリッドスーパーカーです。
3.5L V6ツインターボに3モーターを組み合わせ、さらに4WD化までしてしまったあたりに、この車の性格がよく出ています。
要するにこのNSXは、昔ながらの「軽くて、薄くて、操って気持ちいいミッドシップ」ではありません。
電動化・高性能化・安定性・先進性を全部盛りした結果、異常に優等生なスーパーカーになった。それがNC1です。
そのため、単純な速さや全天候での安心感、最先端メカへの魅力で見れば非常に面白い車です。
一方で、スーパーカーに“荒々しさ”や“色気”や“機械をねじ伏せる感覚”を求める人には、少し整いすぎています。
良いところ
1. とにかく速い。それも「誰でも速く走らせやすい」方向で
NC1型NSXの最大の長所は、やはりこの点です。
単にパワーがあるだけではなく、前輪側のモーターまで使って車の向きや駆動を制御するため、コーナーの進入から立ち上がりまで破綻しにくい。普通の高性能FRやMRよりも、かなり電子制御が上手く仕事をします。
昔のスーパーカーのように「油断すると怖い」というより、
高性能なのに妙に理性的。この安心感は、国産スーパーカーとして非常にホンダらしい部分です。
2. 日常で使えるスーパーカーとしてはかなり優秀
見た目は低くて派手でも、実際には欧州スーパーカーの一部より扱いやすいです。
視界、乗りやすさ、エアコンや内装の使い勝手、街中での神経質さの少なさなど、総合的に見ると**“普段使いできるスーパーカー”としての完成度はかなり高い**。
ここは昔からのNSXの伝統でもあります。
初代も「スーパーカーなのに乗りやすい」で評価されましたが、NC1も別の方向性でそれを継承しています。
3. メカニズムそのものに価値がある
この車は、単なる速い車ではありません。
ホンダが本気で“次世代の高性能車とは何か”を形にした技術の塊です。
V6ツインターボ、3モーター、9速DCT、SPORT HYBRID SH-AWD。
ここまで複雑な構成を一台にまとめて、しかも普通に走らせてしまう時点で、開発力としては相当なものです。
好き嫌いはともかく、工業製品として見ればかなり面白い車です。
ダメなところ
1. 重い。スーパーカーとしてはかなり重い
これはもう逃げられません。
ハイブリッド化、4WD化、高機能化の代償として、NC1型NSXは軽快さより重量感が先に来る車になっています。
もちろん、その重さを電子制御とパワーで押さえ込んで速く走らせることはできます。
ですが、初代NSXのような“ヒラヒラ感”や“車と直接つながる感触”を求めると、かなり違います。
速いけれど、軽くはない。
鋭いけれど、身のこなしはデジタル。
ここはNC1最大の賛否ポイントです。
2. 音と感情の盛り上がりが薄い
スペックだけ見れば凄い車です。
ただ、音や高揚感の演出では、欧州のライバルに比べて地味です。
V10のアウディR8のような官能性、フェラーリのような甲高い刺激、あるいは昔のNAエンジンの伸びやかな快感。
そういう“耳と背中に刺さる魅力”を期待すると、NC1は少し理屈っぽい。
速さはある。技術もある。
でも「エンジンを回して気持ちいいか」と聞かれると、そこは人によってかなり評価が割れます。
3. 価格に対して“夢”の押し出しが弱い
NC1型NSXは安い車ではありません。
にもかかわらず、見た目やメカに対して中身が堅実すぎて、価格帯に見合うほどの“特別感の演出”が少し弱いのです。
要するに、ホンダはこの車を真面目に作りすぎました。
もっとバカっぽく、もっと華やかに、もっと“買った人が酔える”方向に振ってもよかった。
ところがNC1は、そこをかなり理性でまとめてしまった。
その結果、すごいけど刺さりにくいという、何とも贅沢な欠点を背負っています。
この車の一番痛い点
NC1型NSXの一番痛いところは、機械的な大故障云々よりも、車名に対する期待とのズレです。
「NSX」という名前を使った時点で、多くの人は初代のイメージを重ねます。
軽量、自然吸気、鋭いレスポンス、低い着座位置、操る気持ちよさ、そしてホンダらしいピュアさ。
しかしNC1がやったことは、その真逆とは言わないまでも、かなり別の方向です。
- ターボ
- ハイブリッド
- 4WD
- DCT
- 重量級
- 電子制御前提
これはもう、**“現代のNSX”というより“ホンダ流の未来型スーパーカー”**です。
そこを受け入れられるかどうかで、この車の評価は決まります。
つまりこの車の欠点は、「出来が悪いこと」ではありません。
出来が良すぎて、NSXに求められていたロマンから少し外れたことです。
そこが実に惜しい。
初代NSXとの比較
初代NSX(NA1/NA2)
初代NSXは、今見ても思想が美しい車です。
軽量ボディ、自然吸気V6、低い視点、素直な操縦性。
フェラーリ的な見た目を持ちながら、中身は驚くほど実用的で、しかも運転するとちゃんとホンダでした。
あの車の魅力は、スペック表では語りきれません。
人間の感覚に直接訴える気持ちよさがありました。
数字以上に記憶に残る車です。
NC1型NSX
それに対してNC1は、感覚よりも制御、軽さよりも総合性能、単純さよりも複雑さを選んだ車です。
言ってしまえば、初代が“名刀”なら、NC1は“高機能戦術兵器”です。
どちらが優れているかは、評価軸で変わります。
純粋な速さ、安定性、全天候性能、最先端技術ならNC1。
操る楽しさ、気持ちよさ、ホンダらしい素直さ、NSXという名にふさわしいピュアさなら初代。
この比較でNC1が不利になりやすいのは当然です。
初代があまりにも美しくまとまりすぎていたからです。
ホンダというメーカーから見たNC1
この車は、ある意味で非常にホンダらしいです。
派手な見た目のわりに、やっていることはひたすら真面目。
ただ速いだけではダメ、環境性能も技術力も実用性も全部入れたい。
その“全部入り”思想がそのまま車になっています。
ただし、スーパーカーにそれをやると、時に毒が抜けます。
ホンダは優等生を作るのが上手い。
でもスーパーカーというジャンルでは、優等生だけでは足りない場面もある。
少しの無駄、少しの狂気、少しの不親切さが魅力になる世界だからです。
NC1型NSXは、そのあたりが少し足りない。
良くも悪くも、あまりにもまともでした。
総評
ホンダ NSX(NC1)'17は、性能・技術・完成度では間違いなく一級品です。
しかし同時に、“NSX”という名前が背負うイメージとのズレが最後まで付きまとう車でもあります。
初代のような軽さや官能性を求めると、かなり違う。
欧州スーパーカーのような露骨な色気や音を求めても、少し違う。
では何があるのかと言えば、ホンダ流に再構築された、未来志向のスーパーカー像です。
そこに魅力を感じるなら、NC1はかなり面白い。
逆に「NSXにそんな未来感はいらない、もっと生っぽい車が良かった」と思う人にとっては、最後まで距離のある1台でしょう。
要するにこの車は、
欠点だらけの失敗作ではない。むしろ出来は良すぎる。
ただし、良くできすぎていて、少し面白みに欠ける。
それがNC1型NSXの、一番贅沢で一番厄介な評価です。
