
SILVER NOBLEMANとは
SILVER NOBLEMAN。
名前は銀の貴族。
なるほど、見た目はたしかに少し上品だ。
ベース車は、見た目からしてマツダRX-7 FD3Sと思われる。
低いノーズ、リトラクタブルライト、丸く張ったフェンダー、薄いキャビン、そしてFRロータリーの匂い。
これはFDで間違いない。
ゲーム内では1,308cc、530ps、61kgm、FR、1,074kg。
13B-REWの排気量をそのままに、高出力ターボと冷却、燃料、軽量化を詰めた仕様と見ていい。
シルバーのボディに、黒系のボンネットグラフィック。
派手すぎない。
でも地味でもない。
FDの綺麗なボディラインを壊さず、少しだけ悪さを足している。
こういうのは良い。
ただし、名前が貴族なら、車の作りも貴族でないと困る。
見た目だけ上品で、中身が雑なら、それは貴族ではなく中古ドレスである。
ベース車としてのFD3S RX-7
FD3S型RX-7は、国産スポーツカーの中でもかなり特殊な存在だ。
マツダは1998年の改良でRX-7に13B-REW型・水冷直列2ローターのロータリーエンジンを搭載し、Type RSとType Rで280PSを達成したと発表している。ターボ効率や冷却性能の向上によって、FDは最終期にさらに研ぎ込まれた。
FDの魅力は、単純な馬力ではない。
軽さ、低さ、回頭性、そしてロータリー特有の回り方。
スープラやGT-Rのように力で押す車ではなく、もっと繊細に速い車だ。
ここがFDの良さであり、同時に面倒なところでもある。
FDは雑に作るとすぐ分かる。
ロータリーは熱にうるさい。
燃料にも油にも敏感。
ボディも古くなっている。
見た目だけ綺麗にしても、踏んだ瞬間に全部バレる。
話し言葉で言えば、
「FDは美人だけど、機嫌を取るのがかなり大変」
という車だ。
見た目はかなり良い。銀のFDは普通に強い
SILVER NOBLEMANの外装は、かなりまとまっている。
シルバーのボディ。
黒系のボンネット。
控えめなグラフィック。
大型すぎないリアウイング。
低めの車高。
FDの上品な形をそこまで壊していない。
これはかなり良い。
FDは元のデザインが完成されている。
だから、外装を盛りすぎると一気に安っぽくなる。
特にFDは、変なラッピングを貼ると車体の曲線が死ぬ。
その点、SILVER NOBLEMANはまだ引き算が効いている。
ボンネットのグラフィックはやや主張するが、全体の色味が落ち着いているので破綻していない。
ただし、辛口で言えば、名前が“貴族”ならもう少し静かでもよかった。
貴族はボンネットで自己紹介しない。
黙っていても金がかかっているのが貴族である。
でも、この仕様は悪くない。
FDの美しさを残したまま、ちゃんとチューニングカーらしい匂いがある。
530psは実車で可能か
13B-REWで530ps。
これは可能な領域だ。
ただし、軽いブーストアップではない。
大容量タービン、燃料系、冷却系、オイル管理、エンジン内部、駆動系、ボディ補強まで全部見る必要がある。
HKSにはFD3S・13B-REW向けのスペシャルセットアップキットがあり、GTIII-4Rを組み合わせる仕様では、Vマウントインタークーラー、オイルクーラー、アルミラジエーターなど冷却系まで含めた本格的なメニューが示されている。FDで高出力を狙うなら、タービンだけではなく冷却までセットで考えるのが前提だ。
ゲーム内の排気量は1,308cc。
つまり20B化や排気量アップではなく、13Bのまま高出力化している設定だ。
ここはかなり良い。
FDのキャラを残すなら、13B-REWのまま仕上げる方が美しい。
ただし、13Bで530psは楽な数字ではない。
ロータリーは軽く回る。
でも、冷却をミスるとすぐ苦しくなる。
燃料が薄ければ怖い。
油温が上がれば怖い。
要するに、FDで530psを名乗るなら、エンジンより先に周辺を作る必要がある。
61kgmはFDにはかなり強い
この車で注目すべきは、530psより61kgmのトルクだ。
FDは軽いFR。
そこに61kgm。
これはかなり刺激が強い。
FRでこのトルクを受けるなら、クラッチ、ミッション、デフ、プロペラシャフト、ドライブシャフト、タイヤ、足回りを全部見たい。
FDは軽い。
だからパワーを入れると速い。
でも、軽いぶん挙動も早い。
リアが出る時も早い。
ミスした時の反応も早い。
つまり、530psのFDは数字だけなら魅力的だが、作りが甘いとただ怖い車になる。
速いFDは美しい。
暴れるFDは、ただの高額な肝試し。
この差は大きい。
実車で作るなら、まず健康診断
FD3Sはもう完全に旧車だ。
いきなりタービン交換ではなく、最初に見るべきは車の状態。
チェックしたい部分は以下。
- エンジン圧縮
- アペックスシールの状態
- タービンの状態
- 冷却水まわり
- ラジエーター
- ウォーターポンプ
- 冷却ホース
- オイル漏れ
- 点火系
- プラグコード
- 燃料ポンプ
- インジェクター
- ECU・センサー類
- クラッチ
- 5速MT
- デフ
- ハブベアリング
- ブッシュ類
- 下回りのサビ
- ボディの歪み
- 修復歴
FDは見た目で判断すると痛い目を見る。
外装が綺麗でも、圧縮が落ちていたら話にならない。
まず健康体に戻す。
そのあとにチューニング。
FDはこの順番を守った方がいい。
見た目だけ銀色に光っていても、中身が疲れていたらただの高そうな置物である。
現実的に作るなら350〜420ps級
実車で長く楽しむなら、まずは350〜420ps級がかなり良い。
必要な内容は以下。
- 吸排気交換
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- ラジエーター強化
- 燃料ポンプ強化
- インジェクター強化
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
- 点火系リフレッシュ
- 強化クラッチ
- スポーツキャタライザー
- マフラー
このくらいでもFDは十分に速い。
むしろFDらしさを残すなら、このあたりがかなり美味しい。
軽くて、曲がって、止まって、熱が安定している。
そのFDは強い。
530psを名乗るより、400ps台でちゃんと踏めるFDの方が速い場面もある。
数字で威張るより、走りで黙らせる方がFDらしい。
SILVER NOBLEMAN再現の530ps仕様
ゲーム内の530psに寄せるなら、本気仕様になる。
必要な内容は以下。
- 13B-REWエンジンOH
- 強化アペックスシール
- サイドシール・コーナーシール管理
- ポート加工
- 大容量シングルタービン
- 強化エキマニ
- 外部ウエストゲート
- 大容量インタークーラー
- Vマウント化
- 大容量オイルクーラー
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- フルコンまたは高性能ECU
- 強化クラッチ
- 機械式LSD
- 冷却系総強化
- 足回り・ブレーキ強化
- ボディ補強
ここまでやるなら、普通のFDではない。
見た目は銀色で上品。
中身は完全に本気のロータリーターボ。
ただし、530psのFDで一番大事なのは、ピークパワーより熱管理。
短時間だけ速いFDなら作れる。
何度も踏めるFDを作るのが難しい。
そこを作れるかどうかで、SILVER NOBLEMANが本物の貴族になるか、ただの見栄っ張りになるかが決まる。
タービン・吸排気
530psを狙うなら、シングルタービン化が自然だ。
必要なパーツは以下。
- 大容量シングルタービン
- 強化エキマニ
- 外部ウエストゲート
- フロントパイプ
- スポーツキャタライザー
- 低排圧マフラー
- 大容量インタークーラー
- サクションパイプ
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
純正シーケンシャルツインターボを活かす方向も面白い。
だが、530ps級を安定して狙うなら、シングル化で構成を整理した方が作りやすい。
ただし、巨大タービンで下がスカスカになるとFDらしさが消える。
FDは軽さとレスポンスが武器だ。
上だけの車にすると、ただ待たされるロータリーになる。
貴族なら余裕が必要だ。
アクセルを踏んでから「少々お待ちください」はいらない。
冷却系
FDで一番大事なのは冷却だ。
必要な内容は以下。
- Vマウントインタークーラー
- 大容量ラジエーター
- ツインオイルクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- 導風板
- ボンネットダクト
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
TRUST/GReddy系のFD3S用Vマウントキットも流通しており、インタークーラーとラジエーターの配置を見直す冷却チューンはFDでは定番的な方向になっている。
SILVER NOBLEMANのフロント開口は、この方向と相性がいい。
飾りではなく、ちゃんと風を当てるために使いたい。
FDは冷却を甘く見ると長く楽しめない。
白や銀のボディは涼しそうに見える。
でも、色で油温は下がらない。
燃料系
530ps級なら燃料系も本気で作る。
必要な内容は以下。
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- セカンダリー側強化
- 燃圧レギュレーター
- 燃料フィルター
- 燃料ライン見直し
- 空燃比管理
- ノック対策
ロータリーで燃料が足りないのはかなり怖い。
薄い燃調で高ブースト。
それはチューニングではなく、エンジンに対する嫌がらせだ。
FDは音が良い。
でも、壊れる音まで聞きたいわけではない。
燃料、点火、ブースト、吸気温。
ここをログで見ながら詰める必要がある。
オイル管理
ロータリーはオイル管理が重要だ。
必要な内容は以下。
- 高性能エンジンオイル
- こまめなオイル交換
- 大容量オイルクーラー
- 油温計
- 油圧計
- オイルライン点検
- メタリングポンプ系の確認
- 必要に応じたプリミックス運用
13Bは気持ちよく回る。
でも、油温と油圧を見ない高出力FDは怖い。
ロータリーは根性で回っているわけではない。
燃料、油、冷却で回っている。
そこを外すと、貴族どころか一気に修理貧乏になる。
駆動系
61kgmをFRで受けるなら、駆動系は必ず見る。
必要な内容は以下。
- ツインプレートクラッチ
- 強化フライホイール
- 機械式LSD
- 強化デフマウント
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- プロペラシャフト点検
- ドライブシャフト点検
- ミッションオイル管理
- デフオイル管理
FDは軽い。
だからパワーを路面に伝えられればかなり速い。
逆に、トラクションが作れていないとただ暴れる。
530psあるのに前に出ない。
それはかなり悲しい。
踏んで前へ出るFD。
これが理想。
踏んで横へ逃げるFDは、見た目は派手でも速さは薄い。
足回り
FDは足回りで大きく変わる。
必要なパーツは以下。
- 全長調整式車高調
- 減衰調整付きダンパー
- ピロアッパー
- 強化スタビライザー
- 調整式アーム
- ピロブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
FDは軽くて反応が速い。
だから硬くしすぎると神経質になる。
狙うべきは、硬い足ではない。
路面を掴む足だ。
フロントが自然に入り、リアが粘り、アクセルを入れた時に車が前へ出る。
この状態ができると、530psの意味が出る。
車高だけ落としたFDはすぐ分かる。
低いだけなら誰でもできる。
踏める低さにするのが難しい。
ブレーキ
FDは軽いが、530ps仕様ならブレーキも本気で作るべきだ。
必要な内容は以下。
- 4pot〜6potフロントキャリパー
- 2pot〜4potリアキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキダクト
速いFDが止まらないのはかなり怖い。
軽い車だからこそ、ブレーキを作ると走りの質がかなり上がる。
ただし、効けばいいわけではない。
タイヤ、ABS、前後バランス、ペダルフィールまで見たい。
上品なFDなら、止まり方も上品であるべきだ。
フルブレーキで車が暴れる貴族など、ただの慌てた金持ちである。
ボディ補強
SILVER NOBLEMANで重要なのがボディ補強だ。
FDは軽い。
だが、530ps、ハイグリップタイヤ、強いブレーキ、大型エアロを入れるなら、ボディ側もきっちり作りたい。
OKUYAMA/CARBINGにはFD3S用のフロント/リアストラットタワーバーが設定されており、左右のストラット上部をつないでボディを補強し、サスペンションを設計通りに動かす狙いのパーツとして説明されている。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- マスターシリンダーストッパー付きタワーバー
- フロントロアアームバー
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントサスペンションブッシュ強化
FDはフロントの入りが命だ。
ここがヨレると、せっかくの軽さがぼやける。
タワーバーだけで別物になるわけではない。
だが、足回りをきちんと動かす土台としては有効だ。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- センターブレース
- トンネル補強
- サイドシル補強
- ジャッキアップポイント確認
- アンダーパネル固定部確認
- スポット増し
- シーム溶接
FDはハッチバック形状で、リア開口部も大きい。
古い個体なら、フロアやサイドシルの状態確認もかなり大事だ。
見えない部分に手が入っているFDは強い。
外装だけ綺麗で床下が疲れているFDは、一気に説得力がなくなる。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- デフマウント強化
- サブフレームブッシュ強化
- リアハッチ開口部まわりの補強
- リアウイング取付部補強
FDはリアの安定感がかなり大事だ。
高出力FRでリアが落ち着かないと、踏めない。
大型ウイングを付けるなら、取付部の補強も必要。
羽だけ立派でボディ側が負けている車は、かなり安く見える。
ロールケージ
本気で走るならロールケージも選択肢に入る。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
街乗り兼用なら4点〜6点。
サーキット寄りなら6点以上。
ただし、FDにケージを入れると乗降性や内装の快適性は落ちる。
そこまでやるなら、車の用途もはっきりさせたい。
貴族でも、戦場に出るなら鎧がいる。
ただし鎧を着たままコンビニへ行くと、かなり面倒だ。
軽量化
ゲーム内の車重は1,074kg。
FDとして見ても、かなり軽い。
近づけるなら以下。
- カーボンボンネット
- カーボンリアゲート
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- 助手席軽量化
- リア内装撤去
- 防音材撤去
- 軽量マフラー
- 鍛造ホイール
- アクリルウインドウ
- エアコン撤去
ただし、街乗りも考えるなら1,074kg狙いはかなり割り切りが必要だ。
FDは元々軽い。
そこからさらに削ると、快適性は一気に落ちる。
現実的には、1,150〜1,200kg台で冷却・駆動系・ブレーキを優先した方がバランスはいい。
軽いだけで踏めない車より、少し重くても安心して踏める車の方が速い。
外装を実車で再現するなら
SILVER NOBLEMAN風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- シルバー系オールペンまたはラッピング
- ブラック系ボンネット
- 控えめなボンネットグラフィック
- 大開口フロントバンパー
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアディフューザー
- リアウイング
- 鍛造ホイール
- ローダウン
この外装は、実車でもかなり良い。
FDの美しい形をそこまで壊していない。
おすすめは、
銀ボディ、黒ボンネット、グラフィックは控えめ、リップとウイングは機能重視、ホイールはシルバーかガンメタ系。
これで十分に強い。
FDは飾りすぎない方が美しい。
本当に“貴族”を名乗るなら、余計な自己紹介はいらない。
辛口総評
SILVER NOBLEMANは、かなり良いFD3S風カスタムだ。
シルバーのボディに黒系のボンネット。
控えめなグラフィック。
FDの美しいボディラインを残しつつ、チューンドカーらしい迫力も出ている。
中身は13B-REW、530ps、61kgm、FR、軽量仕様。
実車で作るなら完全に本気仕様だ。
タービン、燃料、冷却、オイル管理、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強まで全部やる必要がある。
辛口で言えば、FDで530psを名乗るなら冷却を作らないと話にならない。
見た目だけ銀色に輝いていても、水温と油温が苦しければただの短命ロータリーだ。
要するにこの車は、
FDの上品な美しさを残しながら、13Bを530ps級まで仕上げた銀のロータリーチューンドだ。
雑に作れば、銀色の不安なFD。
きっちり作れば、かなり美しい戦闘機になる。
SILVER NOBLEMAN。
名前は上品。
でも中身は530ps。
つまり、紅茶を飲む顔でナイフを隠し持っているタイプのFDである。