
冒頭一言
ベースは名車。
だが、仕上げ方はかなりクセが強い。
このSHADOW EYESは、トヨタ スープラ RZ(JZA80)をベースにしたカスタムカーと思われる。
80スープラRZといえば、3.0L直列6気筒ツインターボの2JZ-GTE、FR、6速MTという、いまだに神格化されている一台だ。
ただし、この仕様はかなり派手だ。
紫のボディ、巨大なグラフィック、大型GTウイング、片目だけ黒く見えるようなフロントまわり。
良く言えば強烈。悪く言えば、ちょっと盛りすぎである。
① ベース車としてのJZA80スープラRZ
80スープラRZは、説明不要に近い存在だ。
2JZ-GTEは耐久性、拡張性、チューニング耐性の高さで有名なエンジン。
純正の時点でかなり余裕があり、吸排気、燃料、冷却、ECU、タービンまで手を入れれば、現代でも十分に戦える。
しかもスープラRZは、ただエンジンが強いだけの車ではない。
ダブルウィッシュボーンの足回り、大柄ながら安定感のあるボディ、FRらしい素直な挙動。
重さはあるが、その重さをパワーと安定感でねじ伏せるタイプの車だ。
いわば、軽快な峠マシンというより、
高速域でドシッと構えて殴ってくる重量級ストリートファイターである。
② 外観の辛口批評
この仕様、まず目に入るのは紫のボディと派手なグラフィックだ。
正直、かなりうるさい。
80スープラは元の造形が強い車なので、本来は余計な装飾を入れなくても十分に存在感がある。
そこへボンネット、サイド、ルーフまわりまでデザインを入れると、車そのものよりラッピングの主張が勝ってしまう。
「俺を見ろ」という圧はある。
ただ、「走りそうだな」より先に「目立ちたいんだな」が来る。
大型GTウイングも、似合わないわけではない。
スープラのボディサイズなら受け止められる。
ただ、この車の場合はグラフィック、カラー、ウイング、ヘッドライト演出の全部が強い。
メインディッシュを4皿同時に出された感じだ。胃が追いつかない。
特に片目だけ黒く見えるフロントまわりは、かなり好みが分かれる。
ダークな雰囲気を出したい狙いは分かるが、80スープラの顔つきを崩している。
この車は左右対称のまとまりがあるからこそ、あの独特の迫力が出る。そこを崩すと、途端に“狙いすぎ感”が出る。
③ 実車で可能なチューニングか?
可能だ。
この仕様は、見た目も中身も実車で十分再現できる。
JZA80用のチューニングパーツは今でも豊富で、タービン、燃料系、冷却系、足回り、ブレーキ、補強パーツまで選択肢がある。
ただし、見た目をそのまま再現するより、実車では少し引き算した方がいい。
このゲーム仕様をそのまま持ってくると、かなりイベント車寄りになる。
街乗りやサーキットを本気で考えるなら、外装は少し抑えて、中身をしっかり作る方が断然いい。
80スープラは、派手にしなくても十分に強い。
むしろ派手にしすぎると、車の格が装飾に食われる。
④ 実車で仕上げるなら何をするべきか
エンジンまわり
狙うなら、まずは450〜550ps級が現実的だ。
2JZ-GTEなら、無理にエンジン内部へ手を入れなくても、補機類と制御を整えればかなり楽しめる。
いきなり大馬力を狙うより、冷却・燃料・ECUを詰めて、壊れにくく速い仕様にした方がいい。
必要なパーツは以下。
- ECU現車セッティング
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 強化燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- ブーストコントローラー
- スポーツキャタライザー
- フロントパイプ
- マフラー
- エアクリーナー
- ブローオフバルブ
- 必要に応じてタービン交換
HKS系のシングルタービン化も王道だが、街乗りを考えるならレスポンスとのバランスが重要。
ピークパワーだけ追うと、ただの扱いにくい置物になる。
スープラは車重もあるので、下からしっかりトルクが出る仕様の方が気持ちいい。
冷却系
JZA80を本気で走らせるなら、冷却はかなり大事だ。
2JZは強いエンジンだが、熱を雑に扱っていいわけではない。
特にタービン交換、ブーストアップ、サーキット走行を考えるなら、冷却系は先に整えるべき。
必要なものは以下。
- アルミラジエーター
- ローテンプサーモ
- 電動ファン制御の見直し
- オイルクーラー
- インタークーラー
- ラジエタークーリングプレート
- 水温・油温・油圧計
水温と油温を見ずにパワーだけ上げるのは、なかなか勇敢だ。
悪い意味で。
駆動系
パワーを上げるなら、駆動系も同時にやるべきだ。
- 強化クラッチ
- 軽量フライホイール
- 機械式LSD
- 強化デフマウント
- 強化ミッションマウント
- プロペラシャフト点検
- ドライブシャフト点検
特にクラッチは大事。
純正感覚のまま大パワー化すると、滑るか、壊れるか、どちらかになりやすい。
2JZのトルクは甘く見ない方がいい。
足回り
外装がここまで攻撃的なら、足回りもそれに見合う内容にしたい。
- 全長調整式車高調
- 減衰調整付きダンパー
- ピロアッパー
- 調整式アーム
- 強化スタビライザー
- アライメント調整
- ハイグリップタイヤ
ただ車高を落とすだけではダメだ。
スープラは重い。重い車を雑に落とすと、動きが鈍くなる。
低くて硬いだけの車は、見た目は速そうでも実際は曲がらない。
狙うべきは、しっかり荷重を受け止めて、リアが踏ん張る足。
FRターボらしく、トラクションを逃がさない方向で作るべきだ。
ブレーキ
80スープラを速くするなら、ブレーキはかなり重要。
必要な内容は以下。
- 4pot〜6potキャリパー
- 大径ローター
- スポーツパッド
- ステンメッシュブレーキホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキダクト
このクラスの車でパワーだけ上げてブレーキが弱いのは、見た目以前の問題だ。
止まれないチューニングカーは、ただの速い粗大ごみである。
⑤ ボディ補強
この仕様で特に重要なのがボディ補強だ。
JZA80は元々しっかりした車だが、年式を考えると補強とリフレッシュはセットで考えたい。
大パワー化、大型ウイング、ハイグリップタイヤを入れるなら、ボディ側にも負担がかかる。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロワアームバー
- フロントメンバー補強
- ステアリングラック周辺の点検
- サスペンションブッシュ交換
フロントはエンジン重量もあるので、補強の効果が出やすい。
ステアリングレスポンスを出したいなら、まずここを締める。
センター・フロアまわり
- メンバーブレース
- フロア補強バー
- サイドシル周辺の補強
- 必要に応じてスポット増し
- シーム溶接
床下の一体感が出ると、足回りの動きがかなり分かりやすくなる。
見えない部分だが、走る車ではここが効く。
リアまわり
- リアストラットタワーバー
- リアメンバー補強
- デフマウント強化
- サブフレームブッシュ交換
- GTウイング取付部の裏板補強
大型ウイングを付けるなら、取付部の補強は必須級だ。
羽だけ立派で、トランクや取付部が負けていたら笑えない。
空力パーツを付けるなら、ボディ側も受け止められるようにするべきだ。
ロールバー
本気で走るならロールバーも選択肢に入る。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
街乗りメインなら4点〜6点あたり。
サーキット寄りなら8点以上もあり。
ただし、内装や乗降性は犠牲になる。そこは覚悟が必要だ。
⑥ 外装を実車で再現するなら
このSHADOW EYES風にするなら、以下のパーツが必要になる。
- フロントバンパー
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアバンパー
- リアディフューザー
- GTウイング
- オーバーフェンダーまたはワイドフェンダー
- 社外ボンネット
- ラッピングまたは全塗装
- ヘッドライト加工
- 鍛造ホイール
ただし、外装はもう少し整理した方がいい。
紫ボディは残してもいい。
GTウイングも似合う。
だが、グラフィックはもっと抑えた方がいい。
この車は、素材が強すぎる。
だから外装で説明しすぎると安っぽくなる。
⑦ 実車で作るならおすすめの方向性
この仕様を現実に落とし込むなら、こうだ。
- ボディカラーは深いパープル系
- グラフィックは最小限
- ヘッドライトは左右統一
- フロントリップは機能重視
- GTウイングは大型でも角度控えめ
- ホイールはシンプルな鍛造
- 車高は落としすぎない
- 中身は450〜550ps級
- 冷却とブレーキを徹底
- ボディ補強をしっかり入れる
見た目は少し引き算。
中身は本気。
これが一番カッコいい。
総評
SHADOW EYESは、見た目のクセがかなり強いJZA80スープラRZ風カスタムだ。
派手な紫ボディ、グラフィック、大型ウイング、黒く沈んだヘッドライトまわり。
一発で覚えられる個性はある。
ただ、80スープラという素材の強さを考えると、少し装飾が勝ちすぎている。
この車は、もっと引き算した方が映える。
80スープラは、黙っていても存在感がある。
そこに本物の足回り、冷却、ブレーキ、補強、2JZのパワーが入れば、それだけで十分に迫力が出る。
結局のところ、この車の問題は性能ではない。
素材が良すぎるのに、服を着せすぎていることだ。
スープラは裸に近いほど強い。
少しだけ飾って、あとは中身で黙らせる。
それがこの車を一番カッコよく見せるやり方だ。