
RECORD:Xとは
RECORD:X。
名前からして、ただの街乗り仕様ではない。
「記録」を名乗るなら、車も数字で黙らせに来る必要がある。
ベース車は、見た目からして三菱 ランサーエボリューション ファイナルエディション(CZ4A)’15と思われる。
赤いボディ、エボXらしい大きなフロント開口部、ワイドなフェンダー、ボンネットダクト、そして4WDターボセダン特有の圧。
これはもう、ランエボ最終形態をさらに荒っぽくチューニングした姿だ。
ゲーム内では2,197cc、923ps、125kgm、4WD、1,295kg。
ノーマルのファイナルエディションとはまったく別物。
4B11を2.2L級に拡大し、大容量タービンで限界方向まで押し込んだ仕様と見るのが自然だ。
正直、これはかなりやっている。
“最後のランエボ”を記念車として大事にするどころか、全力で改造している。
保存派が見たら眉間にシワが寄る。
だが、走り屋目線ではこういう罰当たりな仕様こそ妙に惹かれる。
ベース車としてのランエボ ファイナルエディション
ランサーエボリューション ファイナルエディションは、文字通りランエボの最終モデルだ。
日本仕様では限定1000台として販売され、ランサーエボリューションX GSRの5速MT車をベースに、4B11型2.0L MIVECターボ、S-AWC、BILSTEINショック、Eibachスプリング、bremboブレーキなどを組み合わせた集大成モデルだった。最高出力は313PS、最大トルク43.7kgm。これをもってランサーエボリューションは生産終了となった。
カタログ上でも、ファイナルエディションはCBA-CZ4A、4B11型、1998cc、5速MT、フルタイム4WD、車両重量1530kgという内容。つまり、元の時点でかなり濃い。普通のスポーツセダンではなく、三菱が最後に「これで終わりだ」と置いていった4WDターボの締めの一台である。
この車をベースにする時点で、RECORD:Xは相当贅沢だ。
ファイナルエディションは本来、保存されがちなモデル。
そこへ923ps級のチューニングをぶち込む。
文化財の茶碗でラーメンを食うような行為だが、嫌いではない。
見た目はかなり攻撃的
RECORD:Xの外装は、かなり分かりやすい。
赤いボディ。
黒いフロントマスク。
大きな開口部。
ボンネットダクト。
サイドには炎のようなグラフィック。
派手だが、エボXなら受け止められる。
エボXは元から顔が強い。
優雅なクーペではなく、押し出しの強い4ドアターボセダンだ。
だからこの赤黒の攻撃的な見た目は合う。
ただし、辛口で言えば少し“記録出します感”が前に出すぎている。
実力がある車ほど、外装は少し黙っていた方が怖い。
この車は見た瞬間に「俺、速いです」と言っている。
まあ、名前がRECORD:Xだから仕方ない。
ここまで名乗っておいて純正風では逆に困る。
923psは実車で可能か
4B11で923ps級。
方向性としては成立する。
ただし、完全にフルビルド領域だ。
軽いブーストアップ、吸排気、ECUだけで届く世界ではない。
エンジン内部、タービン、燃料、冷却、駆動系、ボディ、全部やる。
実際、Evo X向けには大容量タービンキットが存在し、ETSのEvo X T4ツインスクロールターボキットでは、PTE 6266、6466、6870、Garrett G35-1050などの大きなタービン選択肢が用意され、同社はEvo Xで806WHPという実績も掲げている。923ps級をエンジン出力換算で狙う土台はある。
ただし、ここで勘違いしてはいけない。
923psは“パーツを買えば出る数字”ではない。
セッティング、燃料、冷却、駆動系、タイヤ、路面、そして壊れた時に泣かない財布。
全部セットだ。
RECORD:Xは、エボXの最終形というより、エボXを使った記録狙いのドラッグ/最高速寄りマシンと見た方がいい。
2.2L化はかなり現実的
ゲーム内の排気量は2,197cc。
これはノーマル4B11の1998ccから、2.2L級へ拡大した仕様と考えられる。
この方向性は現実にもある。JUN AUTOは4B11用の2.2Lカスタムキットを展開しており、ボア87mm、ストローク92mm、排気量2188cc、ピストン・I断面コンロッド・削り出しクランクを含む内容としている。さらに、2.2L化は低中回転域を含めたトルクアップと高出力化を狙えると説明されている。
RECORD:Xの2,197ccという数字は、この2.2Lストローカー方向とかなり近い。
4B11をただ回して使うのではなく、排気量を増やして大タービンを回しやすくする。
これは理にかなっている。
ただ、2.2L化したからといって簡単に923psになるわけではない。
むしろここからが本番だ。
2.2Lは土台。
923psは戦争である。
125kgmはかなり凶悪
この車で一番怖いのは、923psより125kgmのトルクだ。
4WDだから踏める。
だが、踏めるということは負荷が逃げないということでもある。
125kgm級となると、クラッチ、5速MT、センターデフ、トランスファー、前後デフ、ドライブシャフト、ハブ、サスペンションマウント、ボディ全体に強烈な力がかかる。
この仕様で一番ダサいのは、馬力だけ大きくて駆動系が悲鳴を上げること。
エンジンは元気。
でもミッションが限界。
デフが限界。
ドラシャが限界。
それではRECORD:Xではなく、REPAIR:Xである。
4WDのランエボは速い。
ただし、速くするほど周辺部品の現実が出る。
実車で作るなら、まず500〜600ps級
実車でまとまりを作るなら、まずは500〜600ps級がいい。
必要な内容は以下。
- 大容量タービン
- 強化エキマニ
- フロントパイプ
- スポーツキャタライザー
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- ECU現車合わせ
- 強化クラッチ
- LSD見直し
- 車高調
- ブレーキ強化
- ハイグリップタイヤ
このくらいでもエボXはかなり速い。
むしろ、街乗りや高速ステージまで考えるなら、500〜600ps級がかなり美味しい。
HKSもCZ4A/4B11用のGT III SPORTS TURBINE KITを設定しており、同キットではGT III-RSターボ、強化アクチュエーター、F-CON V Pro、EVC、メタルキャタライザー、燃料系・エンジン部品の強化が前提として案内されている。4B11で大きく伸ばすなら、タービンだけではなく周辺一式で作る必要がある。
500ps台でも、ちゃんと作れば十分に速い。
923psは夢がある。
だが、夢には熱と燃料と駆動系の請求書が付いてくる。
RECORD:X再現の923ps仕様
ゲーム内の仕様に寄せるなら、かなり本気の内容になる。
必要な内容は以下。
- 2.2Lストローカー化
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- 削り出しクランクシャフト
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- 強化バルブスプリング
- ハイカム
- 大容量シングルタービン
- 強化エキマニ
- 外部ウエストゲート
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- オイルクーラー
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- フルコン
- 強化クラッチ
- ドグミッションまたは強化ミッション
- 前後LSD
- 駆動系強化
- 足回り・ブレーキ強化
- ボディ補強
- ロールケージ
ここまでやって、ようやくRECORD:Xの数字が見えてくる。
ノーマルベースに少し部品を付けた程度では、この車にはならない。
この仕様は、エボXの形をした競技寄りの怪物だ。
ファイナルエディションをベースにここまでやるのは、かなり贅沢。
だが、最後のランエボを最後らしく大暴れさせるという意味では、むしろ筋が通っている。
タービン・吸排気
923psを狙うなら、タービンはかなり大きいものが必要になる。
必要なパーツは以下。
- 大容量シングルタービン
- ツインスクロールエキマニ
- 外部ウエストゲート
- 大径ダウンパイプ
- 低排圧マフラー
- 大容量インタークーラー
- サージタンク
- ビッグスロットル
- 大容量サクション
- ブーストコントローラー
- フルコン制御
4B11は素性が良い。
ただし、923ps級となると純正タービン位置の延長ではなく、完全に高出力仕様として作る必要がある。
ここで大事なのは、ピークパワーだけを見ないこと。
大タービンで上だけ速くしても、車が重く感じる。
2.2L化した意味は、下からタービンを動かして使える領域を広げることだ。
音だけ太いエボは多い。
本当に怖いエボは、踏んだ瞬間に前へ出る。
冷却系
この仕様で冷却を甘く見るのは、かなりまずい。
必要な内容は以下。
- 大容量アルミラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- パワステクーラー
- ミッションオイルクーラー
- デフオイルクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- 導風板
- ボンネットダクト
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
- 吸気温管理
ファイナルエディションは純正でも、ナトリウム封入エキゾーストバルブを採用して冷却性能を高め、最高出力向上を狙っていた。つまり三菱自身も、4B11を伸ばすには熱対策が大事だと分かっていたわけだ。
923ps級なら、冷却はさらに重要になる。
赤いボディは情熱的だが、水温は情熱で下がらない。
RECORD:Xを作るなら、ボンネットダクトは飾りではなく排熱用に使いたい。
フロント開口部もインタークーラーとラジエーターへきちんと風を送る。
見た目より、風の通り道が大事だ。
燃料系
923ps級なら、燃料系は完全に本気仕様になる。
必要な内容は以下。
- 大容量燃料ポンプ
- ツインポンプ化
- 大容量インジェクター
- 燃料レール
- 燃圧レギュレーター
- 燃料ライン強化
- E85対応も視野
- 空燃比管理
- ノック管理
- フルコン制御
燃料が足りない高出力ターボは、ただの時限爆弾だ。
4B11が強くても、薄い燃調には勝てない。
この領域では、燃料を入れる、冷やす、点火を詰める、ログを見る。
その地味な作業が速さを作る。
外装の炎グラフィックより、燃圧の安定の方が大事。
夢がない?
いや、壊れないことが一番の夢だ。
駆動系
125kgmを4WDで受けるなら、駆動系は最重要項目だ。
必要な内容は以下。
- ツインプレートクラッチ
- トリプルプレートクラッチ
- 強化フライホイール
- 強化ミッション
- ドグミッション
- 強化トランスファー
- 前後LSD
- 強化デフマウント
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- 強化ドライブシャフト
- ハブベアリング強化
- ミッションオイル管理
- デフオイル管理
エボXの5MTは魅力だ。
だが、923ps・125kgm級なら、純正感覚で扱う世界ではない。
4WDは前へ出る。
その代わり、駆動系が全部受ける。
FRのようにタイヤが逃げて終わりではない。
RECORD:Xを名乗るなら、ミッションと駆動系を先に信用できる状態にしたい。
エンジンだけ強くても、つながる部品が負けたら記録どころではない。
足回り
エボXはS-AWCと4WDが強い。
だからこそ、足回りを雑にすると一気に台無しになる。
必要なパーツは以下。
- 全長調整式車高調
- 減衰調整付きダンパー
- ピロアッパー
- 強化スタビライザー
- 調整式アーム
- ピロブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- アライメント調整
- コーナーウェイト調整
ファイナルエディションの純正足まわりは、BILSTEINショックとEibachスプリング、bremboブレーキ、ハイパフォーマンスタイヤを標準装備していた。つまり純正時点でかなり良い部品を持っている。だが、923ps級では純正の延長では足りない。
狙うべきは、ただ硬い足ではない。
4WDで踏める足だ。
フロントが入る。
リアが粘る。
立ち上がりで四輪が路面を掴む。
この状態を作らないと、923psはただの暴力になる。
ブレーキ
RECORD:X級なら、ブレーキも本気で作る必要がある。
必要な内容は以下。
- 6pot級フロントキャリパー
- 4pot級リアキャリパー
- 大径2ピースローター
- 高性能ブレーキパッド
- ステンメッシュホース
- 高沸点ブレーキフルード
- ブレーキダクト
- ABSとの相性確認
純正のファイナルエディションでも、前後足まわりに高性能部品が投入されている。
だが923ps級なら、止まる力も別次元で考える必要がある。
速いエボが止まらないのは本当に笑えない。
4ドアだから油断しがちだが、速度域は完全に競技車両寄りだ。
RECORD:Xは名前からして記録狙い。
記録を出す車は、止まるところまで含めて記録である。
ボディ補強
RECORD:Xでかなり重要なのがボディ補強だ。
エボXは元々、剛性面でもかなりしっかりした車だ。
ファイナルエディションでは、フード、ルーフ、フロントフェンダー、前後バンパービームにアルミを使い、前マクファーソンストラット、後マルチリンクという構成だった。
ただし、923ps、125kgm、ハイグリップタイヤ、強いブレーキを入れるなら、純正ボディだけに任せるのはもったいない。
フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアブレース
- フロントメンバーブレース
- ステアリングラック周辺点検
- フロントサスペンションブッシュ交換
- フロントクロスメンバー周辺補強
エボXはフロントの入りが大事だ。
4WDターボだから、フロントが曖昧だと曲がらない。
曲がらない車に923psを入れても、ただ真っすぐ速いだけになる。
直線だけ速い車は、すぐ飽きる。
記録を狙うなら、曲がって止まるところまでやりたい。
センター・フロアまわり
- フロアブレース
- センターブレース
- サイドシル補強
- トンネル補強
- ジャッキアップポイント確認
- フロアのサビ確認
- スポット増し
- シーム溶接
CUSCOのEvo X用パワーブレースは、フロアセンター、フロアフロント、リアメンバー周辺などに設定され、ボディのねじれを抑えてサスペンションを狙い通りに動かす目的の補強パーツとして販売されている。
見えないところに手が入っているエボは強い。
外装だけ赤くして、床下が純正のまま。
それでは“記録”という名前が少し重い。
リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- デフマウント強化
- サブフレームブッシュ交換
- リアアーム類リフレッシュ
- リアスポイラー取付部補強
4WDターボはリアも重要だ。
立ち上がりでリアが落ち着いていないと、前へ出る力が逃げる。
エボXはS-AWCが優秀だが、制御に頼り切るのは違う。
土台を作って、制御を活かす。
この順番が大事だ。
ロールケージ
923ps級なら、ロールケージもかなり現実的な選択肢になる。
- 4点式
- 6点式
- 8点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- ダッシュ貫通
- スポット増しとの併用
街乗り兼用なら4点〜6点。
サーキットやドラッグ寄りなら6点以上。
本気で記録狙いなら、ケージまで入れた方が車として筋が通る。
ただし、快適性は落ちる。
4ドアセダンの便利さも薄くなる。
そこまでやるなら、RECORD:Xはもう通勤快速ではない。
通勤に使ったら会社の駐車場でかなり浮く。
軽量化
ゲーム内の車重は1,295kg。
ファイナルエディションのカタログ重量1530kgから見ると、かなり軽い。
近づけるなら以下。
- カーボンボンネット
- カーボントランク
- 軽量ドア
- 軽量バッテリー
- フルバケットシート
- リアシート撤去
- 内装撤去
- 防音材撤去
- チタンマフラー
- 鍛造ホイール
- アクリルウインドウ
- エアコン撤去
ただし、1,295kgまで落とすならかなり割り切りが必要だ。
エボXはもともと4WDセダン。
軽さだけで勝つ車ではない。
現実的には、1,400kg台で冷却・駆動系・ブレーキを優先した方がまとまりやすい。
軽いだけで壊れる車より、少し重くても何度も踏める車の方が強い。
RECORD:Xを名乗るなら、一発屋では困る。
外装を実車で再現するなら
RECORD:X風にするなら、必要な外装パーツは以下。
- 赤系オールペンまたはラッピング
- 黒系フロントグリル/バンパー処理
- カーボンボンネット
- ボンネットダクト
- フロントリップ
- カナード
- サイドステップ
- リアディフューザー
- 大型リアスポイラー
- 鍛造ホイール
- ハイグリップタイヤ
- ローダウン
この外装は、エボXには合っている。
赤と黒の組み合わせも分かりやすい。
ただし実車でやるなら、炎っぽいサイドグラフィックは少し抑えてもいい。
おすすめは、
赤ボディ、黒い開口部、カーボンボンネット、控えめなサイドグラフィック、機能重視のリップとウイング。
RECORD:Xは名前が強い。
だから外装まで全部叫ばなくてもいい。
本当に速い車は、少し黙っていた方が怖い。
辛口総評
RECORD:Xは、かなり振り切ったランエボXファイナルエディション風カスタムだ。
ベースは三菱 ランサーエボリューション ファイナルエディション(CZ4A)’15。
ランエボ23年の最後を飾った限定モデルを、2.2L化した4B11と大容量タービンで923ps級まで持ち上げる。
保存派から見れば乱暴。
走り屋目線では、かなり夢がある。
外装は赤黒で攻撃的。
サイドグラフィックも派手。
名前もRECORD:X。
全部が「速い」と言っている。
辛口で言えば、少し自己主張が強い。
だが、923ps級のエボXならこれくらい強くてもいい。
むしろ中途半端に上品な方が名前負けする。
要するにこの車は、
ランエボ最後のファイナルエディションを、記録狙いの4WDターボマシンへ変えたゲーム的完成形だ。
雑に作れば、赤いだけの高出力セダン。
きっちり作れば、かなり恐ろしい4WDミサイルになる。
RECORD:X。
名前は大きい。
だが、2.2L化した4B11、923ps、125kgm級の4WDなら、その名前を背負う資格はある。
問題は、記録を出す前にミッションが先に記録を残さないかどうかだ。