
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | マツダ |
| 駆動方式 | FR |
| エンジン | BP-VE 直列4気筒 NA |
| 総排気量 | 1,839cc |
| 最高出力 | 160ps / 7,000rpm |
| 最大トルク | 17.3kgf・m / 5,500rpm |
| 全長×全幅×全高 | 3,955×1,680×1,235mm |
| 車両重量 | 1,060kg |
| トランスミッション | 6速MT |
NBロードスターは、NAの後継です。
でも、ただの丸目を普通の目に変えた二代目ではありません。
むしろNBの本質は、NAの良さを分かっている人たちが、ちゃんと実用品としてもスポーツカーとしても煮詰めたモデルというところにあります。
NAには、たしかに元祖の偉さがある。
けれど、車として見ると素朴すぎる部分や、時代相応の頼りなさもあった。
そこを少しずつ整えて、でも“ロードスターらしさ”は壊さずにまとめたのがNBです。
そしてRSは、そのNBの中でも**「ちゃんと走るロードスター」**の顔が濃いグレードでした。
この車には、今のスポーツカーみたいな大げさな速さはありません。
高級感もありません。
でも、運転していると
「ああ、日本のメーカーが、日本の道で、日本人向けに小さなスポーツカーを真面目に作るとこうなるんだな」
という感じがする。
そこが本当にいい。
なぜNBが“最後の日本車っぽいロードスター”に見えるのか
ここがこの車の核心です。
NAはまだ“元祖”の匂いが強すぎる。
NCになると、良い車ではあるけれどサイズ感も考え方も少しグローバル寄りになって、ロードスターのキャラが少し変わる。
NDはまた軽さを取り戻した名作ですが、あれはあれでデザインも演出も少し外車っぽい。
色気があって、洒落ていて、見せ方が上手い。
その間にいるNBは、ちょうどいいんです。
古すぎず、新しすぎず、気取りすぎず、でもちゃんとスポーツしている。
内装も、今見ると質素です。
外装も、NAほど愛嬌一本ではなく、かといってNDほど色気に振っていない。
走りも、過激ではない。
でも、その全部が妙にバランスいい。
つまりNB8C RSは、
“世界に見せるロードスター”になる前の、“日本の良心で作ったロードスター”
なんです。
だから日本車っぽく感じる。
この車のいいところは、速さではなく“距離感”です
NB8C RSの魅力は、スペック表の強さではありません。
この車の良さは、人間との距離が近いことです。
ボディサイズが大げさじゃない。
ノーズも見やすい。
車幅感覚もつかみやすい。
操作に対する返事も、変に電子制御を噛ませた感じがない。
全部が少し素朴で、その素朴さが気持ちいい。
今の車は優秀です。
でも優秀すぎて、こっちが車に合わせる前に車が全部うまく処理してしまうことがある。
一方でNBは、こっちの操作がちゃんと結果に出る。
良くも悪くも、ドライバーの雑さがそのまま顔を出す。
でも、それが嫌じゃない。
むしろそれこそが、この車の楽しさです。
RSになると、その“ちゃんと走る感じ”が少し濃くなる。
ロードスターの中でも、より運転が好きな人向けの顔をしている。
ただし、それでも硬派一辺倒ではない。
この“本気だけど深刻じゃない”感じが、本当に上手い。
忖度なしで言えば、古いし、ちょっと安っぽいです
もちろん、褒めるだけなら簡単です。
でもNB8C RSにも、ちゃんと欠点があります。
まず、今の感覚で乗ると質感はかなり昔っぽい。
内装の作りも、スイッチ類も、遮音も、全部が現代車ほど上等ではない。
高級感はありません。
良く言えば実用的、悪く言えば少しチープです。
次に、絶対的な速さを期待すると肩透かしです。
ロードスターは昔からそうですが、NBもやはり**“遅いのに楽しい側”の車**です。
直線だけ見れば、今の何でもないターボ車のほうが簡単に速い。
だから、パワー至上主義の人には多分向きません。
あと、これはNB全体の宿命ですが、今となっては個体差がかなり大きい。
良い個体は本当に気持ちいい。
でも疲れた個体は、ただの古いオープンカーに見えやすい。
つまりこの車は、名前だけで評価すると危ない時期に入っている。
そこは正直に見たほうがいいです。
NAほど神格化されず、NCほど議論もされない。そこが逆にいい
NBの面白いところは、微妙に“主役になりきれない”ところです。
NAは元祖として神格化されやすい。
NCは大きいだの重いだので議論になりやすい。
NDは現行以降の華がある。
その間でNBは、少し地味です。
でも、だからこそいい。
一番ちゃんと車として見てもらえる世代でもあるからです。
元祖補正だけで持ち上げられにくい。
最新デザイン補正でも語られにくい。
だからNBは、最終的に
「乗ってどうか」
で評価されやすい。
そして、その評価に耐えられるだけの中身がちゃんとある。
ここがNBの強さです。
総評
マツダ ロードスター RS(NB8C)'03は、日本車っぽいロードスターとしては最後の完成形です。
NAの親しみやすさを残しつつ、車としてはちゃんと熟成されている。
NCほど大きくなく、NDほど洒落てもいない。
でも、そのぶん**“ちょうどよく日本的なライトウェイトスポーツ”**としての味が濃い。
忖度なしで言えば、
古いです。
質感も少し安っぽいです。
速さで驚かせる車でもありません。
けれど、それでもなお、
小さくて、軽くて、気楽で、ちゃんと楽しい。
この当たり前の良さを、ここまで自然に成立させたことがすごい。
要するにNB8C RSは、
派手な伝説ではないが、長く付き合うとどんどん評価が上がるタイプの名車です。
そしてそういう名車こそ、たぶん本当に“良い車”なんだと思います。
