
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | トヨタ |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジン | 1GR-FE V型6気筒 |
| 総排気量 | 3,955cc |
| 最高出力 | 276ps / 5,600rpm |
| 最大トルク | 38.8kgf・m / 4,400rpm |
| 全長×全幅×全高 | 4,635×1,905×1,840mm |
| 車両重量 | 1,940kg |
| トランスミッション | 5速AT |
レトロ顔の遊び車を、トヨタが本気で量産するとこうなる
FJクルーザーという車は、最初から少し反則です。
だって見た目が強すぎる。
丸目、白いルーフ、立ったフロントガラス、四角い車体。
どう見ても「機能で選ぶ車」ではないのに、トヨタがそれを堂々と量産してしまった。
しかも中身は、ただの雰囲気モノではなく、ちゃんと4WDで、ちゃんと大排気量V6で、ちゃんと悪路も意識している。
要するにこれは、
“見た目だけで売れそうな車に、わざわざ本物の中身まで入れてしまった”
タイプです。
そういう車、嫌いじゃありません。
むしろかなり好きです。
でも、冷静に見るとだいぶ変です。
この車、合理性で選ぶとほぼ負けです
まず最初に言っておきたい。
FJクルーザーは、理屈で選ぶ車ではありません。
燃費が抜群にいいわけでもない。
乗り降りが楽なわけでもない。
後方視界が優れているわけでもない。
車体は大きいし、見切りも特別いいとは言いにくい。
リアドアだって、あの観音開き風の構造は見た目こそ面白いですが、日常で「便利だなあ」と手放しで褒めるものでもない。
つまりこの車、
いちいち少し面倒なんです。
でも、そこがFJクルーザーらしい。
最近のクルマみたいに、誰にでも優しく、どこでも無難に、という顔ではない。
もっとわがままです。
「好きなら付き合え」
という態度が最初から見えている。
この不親切さは、今の時代だと逆にかなり贅沢です。
見た目9割、でも残り1割もちゃんと濃い
FJクルーザーは、どうしてもデザインの話から入ります。
仕方ないです。
これだけ見た目が濃いと、誰だってまずそこを見る。
しかも、このデザインは単なる懐古趣味ではありません。
ランドクルーザー40系あたりを連想させるレトロさを、現代風にかなり強引に料理している。
そのくせ、どこかおもちゃっぽい。
真面目なオフローダーの顔をしているのに、妙に陽気です。
この“本気なのか冗談なのか分からない感じ”が、FJクルーザー最大の魅力でしょう。
皮肉を言えば、
中身を知らなくても欲しくなる、危険な車です。
でも、その危険さをトヨタは分かっていたはずで、だからこそ見た目だけの飾り物にはしなかった。
ちゃんと4.0L V6を積み、ちゃんと悪路も視野に入れ、ちゃんとラダーフレーム系らしいタフさまで持たせた。
そこがこの車の偉いところです。
見た目だけなら、もっと軽薄に作れた。
でもそうしなかった。
だからFJクルーザーは、ファッションSUVでは終わらなかったんです。
4.0L V6という、今となってはかなり気持ちのいい無駄
この車を語るなら、1GR-FEの4.0L V6は外せません。
最近のクルマに慣れていると、この構成はかなり贅沢に見えます。
ダウンサイジングもない。
電動アシストもない。
ただ大きい自然吸気のV6が、どんと積まれている。
これがいい。
ものすごく鋭い加速を見せるタイプではないです。
でも、こういう重くて背の高い車にとって必要なのは、瞬発力より余裕のある押し出しです。
踏んだ時に「ちゃんとまだ余ってるな」と感じる。
それが大排気量NAの価値でしょう。
最近は何でも効率で説明したがりますが、FJクルーザーみたいな車に限って言えば、効率より気分です。
V6の余裕が、この車の“乗っている時の満足感”をかなり底上げしている。
燃費のことを真顔で考え始めた瞬間に、この車との恋はだいたい終わります。
Color Packageという名の、分かってる人向けの美味しい仕様
FJクルーザーは元々キャラクターが濃いですが、Color Packageになると、その濃さが少し洗練されます。
細かい加飾やカラーリングのまとまりで、単なる道具感よりも“ちゃんと選ばれた仕様”に見えてくる。
FJクルーザーって、少し間違えるとワイルドを通り越して雑に見えるんです。
でもColor Packageは、その一歩手前で止めてくれる。
つまり、
FJの陽気さと、トヨタらしい商品としての整え方がちょうど噛み合った仕様
なんです。
このあたり、やっぱりトヨタは上手い。
見た目が強い車ほど、少しの足し算と少しの引き算で印象が大きく変わる。
Color Packageは、その料理の仕方がかなりうまい部類です。
走りは繊細ではない
だが、繊細じゃないことがむしろ正しい
FJクルーザーのハンドリングに、スポーツカー的なものを期待する人は、最初から間違えています。
この車は、コーナーで鼻先がすっと入るとか、ロールを抑えてきれいに曲がるとか、そういう美学の世界ではない。
もっと大味です。
もっと鈍い。
もっと「車体そのものを動かしている」感じが強い。
でも、それが悪いのかと言えば、別にそうでもない。
なぜならこの車は、そもそもそういう繊細さで勝負するつもりがないからです。
FJクルーザーは、
“走っていて気持ちいい”より“乗っていて面白い”
側の車です。
視点が高い。
ボディの存在感が大きい。
V6に余裕がある。
道を選ばなさそうな雰囲気もある。
この“自分が何か大きくて丈夫なものを転がしている感覚”が、この車の走りの魅力です。
上手な車ではない。
でも、ちゃんと楽しい。
そこがFJです。
忖度なしで言うと、不便なところは本当に不便です
ここはちゃんと書いておきたい。
FJクルーザーは、見た目が好きならだいたい半分勝ちなんですが、残り半分は我慢も必要です。
まず後方視界。
これは現代の基準で見れば、かなり気を使う部類です。
ボディ形状と窓の切り方の都合で、すべてが優しいわけではない。
次に乗降性。
見た目優先の部分もあるので、万人に優しい設計ではありません。
さらに、サイズ感と燃費。
ここも当然ながら、軽い気持ちで“普段使い最高です”とは言いにくい。
要するにこの車、
便利なSUVを期待すると、わりとすぐ現実を見せてきます。
でも不思議なことに、FJクルーザーが好きな人は、その現実をあまり気にしていない。
たぶん、この車を好きになる時点で、もう利便性だけの勝負ではないと分かっているんでしょう。
この車の本当の価値は、“ちゃんとトヨタが遊んだこと”にある
FJクルーザーが今も語られるのは、ただ珍しいからではありません。
トヨタが大企業のくせに、こういう少し遊びの強い車を、しかもちゃんと量産車として成立させたからです。
最近の大メーカーは、遊ぶにしても慎重です。
少しスポーティ、少しアウトドア風、少しレトロ。
そのくらいで止めたがる。
でもFJクルーザーは違った。
見た目も中身も、ちゃんと振り切った。
しかも“それっぽいクロスオーバー”ではなく、本当に悪路も視野に入れた道具として出してきた。
ここが偉い。
流行に乗っただけのSUVではない。
雰囲気だけのレトロカーでもない。
FJクルーザーは、ちゃんと遊んで、ちゃんと真面目だった。
だから今でも生き残るんです。
まとめ
トヨタ FJクルーザー Color Package(GSJ15W)'14は、
見た目だけでも欲しくなるのに、中身まで妙に本気だった厄介な車です。
合理性では勝てない。
便利さでも万能ではない。
後方視界も良いとは言いにくい。
燃費だって、今の時代に胸を張れるものではない。
でも、それでもなお、
“この車は好きだ”と言わせるだけのキャラクターがある。
4.0L V6。
レトロな見た目。
ラダーフレーム系のタフさ。
そしてColor Packageの程よい洒落感。
全部が合わさると、FJクルーザーは単なる変わり者ではなく、ちゃんと愛される変わり者になります。
要するにGSJ15WのFJクルーザーは、
便利だから選ぶ車ではなく、理屈に少し負けながら、それでも選びたくなる車です。
こういう車は、だいたい長く記憶に残ります。
