ホンダ

【車両紹介】ホンダ S2000 2.0 TYPE-V (AP1) '03

■ 基本スペック (ノーマル時)

項目スペック
メーカーホンダ
駆動方式FR
エンジンF20C 直列4気筒 NA
総排気量1,997cc
最高出力250ps / 8,300rpm
最大トルク22.2kgf・m / 7,500rpm
全長×全幅×全高4,135×1,750×1,285mm
車両重量1,270kg
トランスミッション6速MT

■ ゲーム内での特性・オススメセッティング

特性: ホンダが満を持して世に送り出したFR(フロントエンジン・リアドライブ)スポーツ。リッターあたり125馬力を発生する超高回転エンジン「F20C」をフロントミッドシップに搭載し、理想的な50:50の前後重量配分を実現している。 その挙動は、これまで紹介してきたFF車とは全くの別物。アクセルでマシンの向きをコントロールする、FRならではのドライビングが楽しめる。特にAP1型は挙動がピーキーで、限界を超えると即スピンに繋がる緊張感を持つ。乗りこなすには相応の技術を要するが、手懐けた時の人馬一体感は、他のマシンでは味わえない格別なものがある。

オススメセッティング(B案):

  • ライトチューン向け (Lv.3程度)
    • 方向性: ピーキーな挙動を抑え、安定性を向上させる。
    • タイヤ: まずはハイグリップタイヤに交換し、絶対的なグリップ量を確保する。
    • 空力: リアウィングを装着することで、高速コーナーでのリアの安定性が劇的に向上する。まずはここから始めたい。
    • サスペンション: リアのトーを少しインに向けることで、唐突なオーバーステアを抑制できる。
  • フルチューン向け (Lv.MAX)
    • 方向性: AP1の鋭さを活かしつつ、コントローラブルなマシンに仕上げる。
    • パワーユニット: F20CはNAチューンの真髄。パワーユニットのレベルを上げ、バランス取りを行うことで、9,500rpmまで一気に吹け上がる珠玉のエンジンが完成する。
    • 駆動系: ヘリカルLSDはノーマルでも優秀だが、よりロック率の高い機械式LSDに交換し、ドリフトアングルを維持しやすくするセッティングも面白い。
    • シャシー: ロールケージ等でボディ剛性を上げることが、精密なコントロールの基礎となる。

■【評価と立ち位置】

  • 国内での評判:『ホンダの魂が宿るピュアスポーツ』 ホンダ創立50周年を記念して作られた、まさにメモリアルな一台。そのストイックな成り立ちから、多くのホンダファンやスポーツカー好きにとって特別な存在となっている。後に登場した、トルクを増して扱いやすくなった後期型(AP2)と比較され、「刺激のAP1、熟成のAP2」として、今なおどちらが優れているかという議論が絶えない。
  • 国外での評判:『エンジンこそが至宝のFRマスターピース』 世界中のメディアやエンスージアストから「エンジンのためにクルマを買う価値がある」とまで言わしめた、歴史的な名車。特に、市販車のNAエンジンとして長年世界一の座に君臨したF20Cの評価は絶大。その一方で、初期型AP1のピーキーなハンドリングも有名で、「乗り手を選ぶマシン」としてのキャラクターが、その伝説性をさらに高めている。
  • ゲーム内での評価:『乗り手を選ぶ超上級者向けマシン』 C1から湾岸線まで、あらゆるステージで高いポテンシャルを発揮するトップクラスのマシン。しかし、その性能を100%引き出すには、FRの挙動を完璧に理解し、繊細なアクセルワークとカウンターステアを駆使する必要がある。ヘビーウェットのC1など、最悪のコンディションでこのマシンを乗りこなすプレイヤーは、周囲から「変態」と畏敬の念を持って呼ばれるだろう。

**■ 辛口コラム:美しき猛獣と、異端のVGS

S2000、特にこのAP1は、美しくも危険な猛獣だ。9,000rpmまで咆哮を上げるエンジン、カミソリのように鋭いハンドリング。その全てが、ドライバーを高揚させる麻薬的な魅力に満ちている。だが、一瞬でも油断すれば、その牙は容赦なく乗り手に襲いかかる。限界領域での唐突なオーバーステアは、数多のドライバーをスピンさせてきた。これは、安楽なだけのスポーツカーに成り下がった現代のクルマでは味わえない、真剣勝負の緊張感だ。 そして、この「Type V」はさらに異端だ。搭載されたVGS(可変ステアリングギアレシオ)は、低速では少なく、高速では大きく切らないと曲がらないという、通常のクルマとは真逆の特性を持つ。慣れれば合理的なのかもしれないが、多くのピュアリストが「機械に介入されているようだ」と違和感を覚えたのも事実。最もピュアであるべきスポーツカーに、最もトリッキーなデバイスを搭載する。この矛盾こそ、良くも悪くも挑戦を続けた、あの時代のホンダらしいのかもしれない。

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