
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | マツダ |
| 駆動方式 | FR |
| エンジン | 13B-T 2ローター ターボ |
| 総排気量 | 1,308cc (654cc × 2) |
| 最高出力 | 215ps / 6,500rpm |
| 最大トルク | 28.0kgf・m / 4,000rpm |
| 全長×全幅×全高 | 4,335×1,690×1,270mm |
| 車両重量 | 1,230kg |
| トランスミッション | 5速MT |
このFC3Sの**「アンフィニ」は、後のFD3Sで使われた販売チャネル名のアンフィニ(εfini)とは、少し文脈が違います。
FC3Sのアンフィニは、1990年6月発売の全国限定600台の特別仕様車で、GAZOOでも“アンフィニの4thバージョン”と説明されており、GT-Xより動力性能と操縦安定性能を高めた仕様とされています。専用装備として、ショックとブッシュの見直し、FR車で日本初のトルセンLSD、専用ピレリP-ZERO、ブレーキ強化、レーシングタイプのフルバケットシートなどが挙げられています。つまりこのFCのアンフィニは、“ブランド名”というより、まずは限定高性能グレード名としてのアンフィニ**です。
一方で、マツダのアンフィニチャネル自体が発足したのは1991年11月で、同年12月に3代目FDが「アンフィニRX-7」として発売されています。なので、FC3Sの“アンフィニ”は、後年の販売ブランドへその名がつながっていく前段階のもの、と見るのが自然です。
そして**「サバンナ」という名前は、RX-7の前身がサバンナGT(輸出名:RX-3)**だったことに由来します。マツダ公式でも、RX-7の前身としてサバンナGTが明記されています。つまり、サバンナRX-7という車名は、ロータリースポーツの系譜を受け継いだ名前ということです。
マツダ サバンナ RX-7 アンフィニ(FC3S)'90はどんな車か
この車を一言で言うと、“FC3Sの熟成版に、さらにメーカーが本気で辛口チューニングを足した限定車”です。
ベースの後期FC3S自体が、1989年の改良で完全独立ツインスクロールターボ化、205ps化、足まわりの見直し、操縦安定性の改善を受けた熟成モデルでした。そこにアンフィニでは、さらにGT-X比で走りを煮詰めてきた。だからこの車は、普通のFCよりも明確に“走り目線”です。
良いところ
1. FC3Sの「ちょうど良い渋さ」が一番濃い
FC3SはFDほど神経質に尖っておらず、SA/FBほど古典味に振り切ってもいません。
その中でアンフィニは、FCのバランスの良さを崩さず、足とLSDとタイヤとブレーキで“走れる純正仕様”に寄せたのが良いところです。派手な魔改造ではなく、分かる人向けにちゃんと効く改良なのが実に渋いです。アンフィニ4ではFR車で日本初のトルセンLSDや専用P-ZEROまで入っており、単なるステッカーチューンではありません。
2. “メーカー純正でここまでやるか”感が強い
今でこそ限定車は珍しくありませんが、FCアンフィニはかなり中身があります。
600台限定で、しかもGT-Xより動力性能・操縦安定性能を高めると明言されていた時点で、売るための限定車というより、作り手の趣味がかなり入った限定車です。こういう車は、数字だけでなく存在そのものが面白いです。
3. FC3Sらしい“広島ポルシェ”的な魅力がある
これは公式資料の表現ではありませんが、FC3S全般にある低く長いノーズと落ち着いたFRスポーツの空気は、今見ても独特です。
FDのような露骨な色気とは違って、FCはもっと理性的で、もっと硬派です。アンフィニはそこに純正で走りの芯を足しているので、見た目だけでなく中身も通っぽい。ここはかなり魅力です。
ダメなところ
1. しょせんFCはFC。古さは隠せない
ここは辛口で言います。
アンフィニだからといって、FCの古さが消えるわけではありません。
設計年次、ボディ剛性の感覚、快適性、安全性、全体の古典感。今の基準で見れば当然かなり昔の車です。後期FCは熟成されていますが、それでも“現代の高性能車”として見ると無理があります。1989年改良で足まわりや操縦安定性は改善されましたが、それはあくまでFCの中での話です。
2. 限定車ゆえに、期待値が上がりすぎる
“アンフィニ”という名前、600台限定、専用装備。
ここまで揃うと、つい「別格の怪物」を想像したくなります。
でも実際には、FC3Sを丁寧に煮詰めた限定仕様であって、突然スーパーカーになるわけではありません。
そこを勘違いすると、「思ったより普通だな」と感じる人も出ます。逆に、この渋さが分かる人にはたまりません。
3. 旧車としての面倒は普通に重い
これはアンフィニに限った話ではありませんが、1990年のFC3S限定車という時点で、今はもう“気軽に乗る昔のスポーツカー”ではないです。
しかも限定仕様なので、部品・状態・オリジナル度まで含めて話がややこしくなりやすい。
つまりこの車は、単に「FCかっこいい」で済ませるには少し重い存在です。
ロマンはありますが、楽な趣味ではありません。
総評
マツダ サバンナ RX-7 アンフィニ(FC3S)'90は、FC3Sの中でもかなり“分かっている人向け”の限定車です。
普通のGT-Xより走りを磨き、限定600台で出し、しかも内容がちゃんと濃い。これは素直に格好いいです。
ただし忖度なしで言えば、
神格化しすぎると危ない車でもあります。
後年のFDほどの圧倒的カリスマはない。
でも、FCらしい理性と渋さの中で、純正が本気を出した感じは非常に強い。
要するにこの車は、
**“派手な伝説”ではなく“通がニヤつく限定車”**です。
そこがアンフィニFCの一番おいしいところでしょう。

