CUSTOMIZED CAR

TAILGUNNERは“赤いFDに431psを叩き込んだ本気ロータリーカスタム”だった

TAILGUNNER

FDを赤くして、431psまで絞り上げた“後ろから撃つロータリー”。見た目は荒いが、中身はかなり本気

TAILGUNNER。
名前がいい。後部銃座。つまり、前に出るというより後ろから撃つ側。
で、ベースは見た目からしてマツダ RX-7 FD3S。低いノーズ、丸いフェンダー、リトラ風のフロントまわり、13Bロータリー。これはもうFDで見ていい。

スペックはRE / ターボ / 1,308cc / 431ps / 49kgm / FR / 1,084kg
かなり攻めている。特に431psと1,084kg。
「軽くて速いFD」の理想形ではあるが、実車でやるなら相当きっちり作らないとただの赤い時限爆弾になる。

FD3Sは実車でも13B-REW型ロータリーターボ、FR、前後ダブルウィッシュボーンという構成で、1997年式タイプRBバサーストでは車重1260kg、最高出力265psというデータがある。つまりTAILGUNNERは、そこから約170ps増し、かつ相当な軽量化を入れた仕様として見るのが自然だ。


見た目はかなり“戦うFD”

赤いボディ。
黒い大型ウイング。
ボンネットには大きなグラフィック。
フロントもかなり低く、エアロは攻めている。

正直、上品ではない。
FDは素のボディラインがきれいだから、あまり貼りすぎると美しさが濁る。
このTAILGUNNERも、ちょっと喋りすぎ。
「速いです」って車体全部で言っている。

ただ、これはFDだから何とか成立している。
FDは小さくて低くて、元からスポーツカーとしての空気が強い。
この手のエアロやウイングを載せても、車が負けない。
むしろ赤ボディと黒ウイングの組み合わせはかなり似合う。

話し言葉で言うなら、
「貼りすぎ。でもFDだからまだ許せる」
そんな感じだ。


431psは実車でも可能。ただし“簡単”ではない

13B-REWで431ps。
これは実車でも可能。
ただし、ライトチューンではない。かなり本気の領域。

FDで350ps前後なら、吸排気、冷却、燃料、ECU、ブースト管理で現実的に狙える。
でも431psまで行くなら、純正ツインターボを活かすより、シングルタービン化+本格的な冷却+燃料+ECUで作るほうが自然だ。

HKSもFD3S向けにGTIII-4Rを組み合わせるスペシャルセットアップキットを出しており、構成例としてVマウント式インタークーラー、オイルクーラー、アルミラジエーター、F-CON V Pro、EVCなどを組み合わせている。要するに、FDで高出力を狙うなら“タービンだけ付けて終わり”ではない。周辺を全部作る必要がある。


49kgmはかなり太い。FDとしては慎重に扱いたい

431psより怖いのは、49kgmのトルク
FDは軽い。FR。ホイールベースも短め。
そこへ太いトルクを入れると、リアがかなり忙しくなる。

アクセルを雑に踏むと、車が前に進む前にリアが仕事を始める。
いい意味でも悪い意味でも、かなり生々しい。

この仕様で一番大事なのは、馬力自慢ではなくトラクション作り
LSD、タイヤ、アライメント、リアサス、デフマウント。
ここを雑にすると、431psはただの煙製造機になる。


1,084kgはかなり攻めた軽量化

ゲーム内の車重は1,084kg。
実車FDとしてはかなり軽い。
FDは元々軽量スポーツだが、1260kg前後の実車からここまで落とすなら、相当やる必要がある。

実車で近づけるなら必要なのはこのあたり。

  • 内装撤去
  • 軽量フルバケットシート
  • リアシート撤去
  • 軽量バッテリー
  • カーボンボンネット
  • FRPまたはカーボンハッチ
  • アクリルウインドウ
  • 軽量マフラー
  • エアコン撤去
  • オーディオ撤去
  • 防音材撤去
  • 軽量ホイール

ただし、街乗りも考えるなら1,084kg狙いはかなり割り切りが必要。
快適装備を削るほど、車は速くなる。
同時に、普段乗りの人権も削れる。


実車で作るなら、まず圧縮測定から

FDで最初にやるべきことは、タービン交換ではない。
圧縮測定だ。

ロータリーはここを見ずに始めると痛い目を見る。
中古FDは年数も経っているし、改造歴もある個体が多い。
いきなり431psを狙うより、まずエンジンが生きているか確認する。

最初に見るべきポイントはこれ。

  • 圧縮測定
  • アペックスシール状態
  • タービン状態
  • 冷却水まわり
  • オイル漏れ
  • 点火系
  • 燃料ポンプ
  • インジェクター
  • ハーネス
  • センサー類
  • ミッション
  • デフ
  • ボディの事故歴
  • 下回りのサビ

ロータリーは面白い。
でも雑な扱いにはかなり厳しい。
FDに「たぶん大丈夫」はあまり効かない。だいたい大丈夫じゃない。


必要なチューニングパーツ

冷却系

ここは最重要。

  • 大容量ラジエーター
  • Vマウント式インタークーラー
  • オイルクーラー
  • 強化ラジエーターホース
  • ローテンプサーモ
  • 水温計
  • 油温計
  • 油圧計
  • 排気温計

FDは熱との戦い。
ボンネットに絵を描いてもエンジンは冷えない。
まず温度を見る。これが礼儀。

タービン・吸排気

431psならこのあたり。

  • シングルタービンキット
  • エキマニ
  • ウエストゲート
  • フロントパイプ
  • メタルキャタライザー
  • スポーツマフラー
  • サクションパイプ
  • ブローオフバルブ

街乗りも考えるなら、巨大タービンで上だけ狙うより、中速から立ち上がるタービンがいい。
FDは軽いから、レスポンスが死ぬと一気につまらなくなる。

燃料・ECU

  • 大容量燃料ポンプ
  • 大容量インジェクター
  • 燃圧レギュレーター
  • 燃料フィルター
  • 現車合わせECU
  • ブーストコントローラー
  • 点火系強化
  • プラグ番手変更

ロータリーで燃料不足は本当にまずい。
燃調が薄いFDは、速い車ではなく高い修理予約だ。

足回り

HKSにはFD3S適合のHIPERMAX系車高調もあり、減衰力30段調整、全長調整式という仕様が確認できる。こういう車高調を入れて、タイヤとアライメントまで詰めるのが現実的だ。

必要なのは、

  • 車高調
  • ピロアッパー
  • 調整式アーム
  • 強化ブッシュ
  • スタビライザー
  • ハイグリップタイヤ
  • LSD
  • アライメント調整

ブレーキ

  • 大径ローター
  • 対向キャリパー
  • スポーツパッド
  • ステンメッシュホース
  • 高性能ブレーキフルード
  • ブレーキ導風板

431psの軽量FDなら、止まる性能はかなり重要。
速いFDがブレーキで負けるのは本当に格好悪い。


ボディ補強はかなり細かくやりたい

FDは軽くてよく曲がる。
その反面、古い個体でパワーを上げるならボディ補強はかなり効く。

1. フロントストラットタワーバー

まず定番。
フロントの入り、ブレーキング時の安定、ステアリング初期の剛性感に効く。

CuscoのFD3S用フロントストラットバーは、軽量アルミのオーバル断面シャフトとスチールブラケットを使うタイプがあり、FD3S 1993〜2002年用として展開されている。

2. リアタワーバー

リアの接地感を作るならリアも必要。
431psのFRなら、リアがどれだけ粘るかが命。
フロントだけ締めると、前だけ立派で後ろが逃げる感じになる。

3. フロア下メンバーブレース

ここはかなり大事。
AutoExeのFD3S用メンバーブレースは、ボディフロア下に3Dトラス構造のスチールフレームを取り付ける構造で、ボディのねじれや歪みを抑え、サスペンションジオメトリー変化を抑える狙いが説明されている。

実車で入れるなら、

  • フロントロアブレース
  • センターフロアブレース
  • リアメンバーブレース
  • フロアクロスバー
  • サブフレーム補強

このあたり。

4. リジカラ・サブフレーム固定

RE雨宮のFD3S用リジッドカラーは、量産車のボディとサブフレームのボルト穴の隙間に着目し、固定部のズレを抑えて直進性や操縦安定性を狙う説明がされている。

431ps仕様ならここはかなり効く。
パワーを入れた瞬間にサブフレームが逃げると、車の反応がワンテンポ遅れる。
FDはそのワンテンポが気持ち悪い。

5. ロールケージ

本気でサーキットに寄せるならロールケージ。
CuscoのFD3S用4点式ロールケージは、クロモリ40mmパイプを使い、軽量化とボディ剛性向上を狙ったパーツとして説明されている。

街乗りなら4点式またはリアのみでもいい。
サーキット本気なら6点、7点、サイドバー追加。
ただし、乗降性と快適性はかなり落ちる。
ここは用途で決めるべき。

6. スポット増し・溶接補強

かなり本気ならここまで。

  • フロントストラット周辺
  • バルクヘッド周辺
  • サイドシル
  • フロアトンネル
  • リアメンバー取付部
  • デフ周辺
  • リアストラット周辺

ただし、スポット増しはやれば何でも良いわけではない。
やりすぎると逃げがなくなり、乗り味が硬くなりすぎる。
FDのしなやかさを残すなら、補強は“必要な場所だけ”がいい。


外装を実車で再現するなら

必要なのはこれ。

  • レッド系オールペンまたはラッピング
  • ボンネットグラフィック
  • サイドグラフィック
  • 大型GTウイング
  • フロントバンパー
  • フロントリップ
  • サイドステップ
  • リアディフューザー
  • 軽量ボンネット
  • 軽量ハッチ
  • 大径ホイール
  • ローダウン

個人的には、実車なら少し引き算したい。
赤ボディと黒ウイングだけでかなり強い。
グラフィックを盛りすぎると、FDの造形が消える。

おすすめは、
赤ボディ+黒エアロ+大型ウイング+控えめデカール
これで十分速そうに見える。
FDは元が美人だから、化粧を濃くしすぎるともったいない。


辛口総評

TAILGUNNERは、かなり良い。
FDベースで431ps、1,084kg級という設定は、ゲーム内カスタムとしてかなり魅力がある。
実車でも、方向性としては作れる。

ただし、実車で再現するなら相当本気。
エンジン、冷却、燃料、ECU、タービン、足、ブレーキ、補強、軽量化。
全部やって初めて成立する。
外装だけ真似すると、ただの赤い派手なFDで終わる。

辛口で言えば、見た目は少しうるさい。
でも中身の方向性はかなり良い。
軽いFDに400psオーバー。
これは危ないくらい楽しい。

要するにこの車は、
見た目は少し騒がしいが、中身はかなり作り込む価値があるFD系チューンドカー
雑に作ると壊れる。
ちゃんと作ると、かなり刺さる。
FDってそういう車だ。

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