
GTOを416psまで締め上げた“重戦闘機系カスタム”。星が死ぬ前に、まず駆動系が泣きそうだ
DYING STAR。
名前はかなり大げさ。死にゆく星。
で、出てきた車は青い三菱GTO系カスタム。ボンネットには詩みたいな英文、大型ウイング、サイドに派手なグラフィック。
正直、ちょっとナルシストだ。
だがGTOという車自体、もともとナルシスト成分が濃い。だから似合ってしまう。
ベースは見た目とスペックからして、三菱 GTO TWIN TURBO(Z16A)系と見ていい。
実車のGTOツインターボは、Z16A型、4WD、6G72型3.0L V6 DOHCターボ、280ps、43.5kgm、車重1710kgという、まさに三菱の重装備GTだった。4WSも標準装備されている。
ゲーム内のDYING STARは、そこから3,269cc、416ps、67kgm、4WDまで盛った仕様。
かなり本気だ。というか、トルク67kgmはなかなか暴力。
この車、名前は星だが、加速の出方はたぶん隕石である。
GTOは軽快なスポーツカーではない
そこを分かっていないと評価を間違える
GTOをFDやNSXみたいな目線で見ると、だいたい話がズレる。
GTOは軽くない。小さくない。ヒラヒラもしない。
当時の三菱が「全部入れたれ」と言って作ったような、かなり重いGTカーだ。
4WD、4WS、ツインターボ、電子制御サス、アクティブエアロ系の装備。
海外名の3000GT VR-4でも、3.0L横置きDOHC 6G72 V6ツインターボを積み、1994年以降は6速MTとなったと整理されている。MotorTrendも、VR-4を“スポーティなライバルより強力で速いグランドツアラー寄り”と見ている。
つまりGTOは、
軽量スポーツではなく、全部盛りの重武装GT。
そこが魅力であり、同時に弱点でもある。
話し言葉で言うなら、
「曲がる前に、まず車がデカい」
という感じ。
でもそのデカさと重さに、三菱らしい頑丈さがある。ここがGTOの妙な魅力だ。
416psは実車でも可能
ただし“ブースト上げました”だけで済む話ではない
6G72ツインターボで416ps。
これは実車でも十分狙える。
ノーマルが280ps級だから、吸排気、ブースト、冷却、燃料、ECUをちゃんと作れば400ps前後は現実的な領域だ。
ただし、このDYING STARは3,269ccになっている。
ノーマルGTOは2,972ccなので、実車再現なら3.2〜3.3L級の排気量アップ仕様として見ることになる。
この場合、単なるタービン交換ではなく、エンジン内部まで手を入れる本気メニューだ。
416psだけなら、3.0Lのままでも狙える。
でも3.3L化して67kgmを出すなら話は変わる。
これは馬力よりトルクで押す仕様。
高速で踏んだ瞬間に、GTOの重い車体をゴリッと前へ押し出すタイプだ。
67kgmはかなり太い
GTOなら受け止められるが、駆動系には優しくない
この車の肝は416psではなく、67kgm。
これは相当太い。
GTOは4WDだから、FR車みたいに簡単には逃げない。
タイヤが滑る前に、ミッション、トランスファー、デフ、ドラシャに力が入る。
4WDは速い。だが、逃げ場が少ない。
そこを勘違いして雑に作ると、車より先に財布が死ぬ。
実車でこの方向を狙うなら、エンジン単体より駆動系を重視したい。
必要なのは、
- 強化クラッチ
- 軽量または強化フライホイール
- トランスファー点検・強化
- センターデフ点検
- フロント/リアデフ点検
- ドライブシャフト点検
- 強化エンジンマウント
- 強化ミッションマウント
- ミッションオイル・デフオイル管理
この車は、パワーより伝える部分が大事。
踏んだら速い。
でも踏むたびに駆動系が「おい、聞いてないぞ」と言い出す仕様は避けたい。
実車で作るなら、最初にやるのは健康診断
GTOは古い。
しかも構造がシンプルな車ではない。
いきなりタービン交換だの3.3L化だの言う前に、まず車両の状態確認が先だ。
見るべきところはこれ。
- エンジン圧縮
- タービンの軸ガタ
- インタークーラー配管の劣化
- 冷却水まわり
- オイル漏れ
- 点火系
- 燃料ポンプ
- インジェクター
- ECU・センサー類
- 6MTのシンクロ
- トランスファー
- デフ
- 4WS系統
- 下回りのサビ
- フレーム修復歴
- 電装系
GTOは“全部入り”だから、壊れる可能性がある場所もちゃんと多い。
贅沢装備は、歳を取ると贅沢な修理項目になる。
ここ、笑えない。
エンジンを作るなら必要なもの
3.0Lのまま400ps級にする現実仕様
一番まとまりがいいのはこれ。
- 吸排気
- ブーストアップ
- 大容量インタークーラー
- 大容量ラジエーター
- 燃料系強化
- 現車合わせECU
- 点火系リフレッシュ
- 強化クラッチ
- ブレーキ・足回り強化
これで400ps前後。
街乗りも高速もかなり速い。
GTOらしさも残る。
変にやりすぎないなら、この仕様が一番うまい。
3.2〜3.3L化の本気仕様
DYING STARの3,269ccに寄せるなら、ここまで必要。
- 鍛造ピストン
- 鍛造コンロッド
- ストローカーキット
- 強化メタル
- 強化ヘッドガスケット
- ヘッドスタッド
- カムシャフト
- バルブスプリング
- 強化オイルポンプ
- エンジンバランス取り
- 現車合わせECU
ここまでやるなら、416psで止めるのは少し贅沢。
でも、あえて馬力を抑えてトルクと耐久性に振るならアリ。
GTOはピーキーな車より、太くて速いGTにしたほうが似合う。
タービン・吸排気
416psなら、巨大タービンはいらない。
狙うべきはレスポンスと中間トルク。
必要候補はこのあたり。
- 純正タービンOH
- 小〜中型ツインタービン
- 強化アクチュエーター
- 大容量インタークーラー
- フロントパイプ
- メタルキャタライザー
- スポーツマフラー
- ブーストコントローラー
- 現車合わせECU
HKSの汎用タービンラインでも、ストリート〜サーキット向けの小〜中出力仕様、高出力サーキット/ドラッグ向けのウエストゲート仕様が分けられている。GTOで400ps台なら、ピーク狙いの巨大タービンより、レスポンスを残す選び方が似合う。
冷却系は絶対にやる
GTOはエンジンルームが広そうに見えて、実際には横置きV6ツインターボで熱がこもりやすい。
400ps超えなら冷却は必須。
必要なのは、
- 大容量ラジエーター
- 大容量インタークーラー
- オイルクーラー
- 強化ラジエーターホース
- ローテンプサーモ
- 水温計
- 油温計
- 油圧計
- 排気温計
この車で熱を甘く見るのはまずい。
青いボディと星のステッカーでは冷えない。
冷えるのは気分だけだ。
燃料系とECU
67kgm級を狙うなら燃料系は強化。
- 大容量燃料ポンプ
- 大容量インジェクター
- 燃圧レギュレーター
- 燃料フィルター
- 燃料ライン点検
- 現車合わせECU
- ノック対策
- 点火系強化
6G72ツインターボは、雑にブーストだけ上げる車ではない。
燃調、点火、ブースト、排気温。
ここをきっちり見ないと、速いGTOではなく壊れるGTOになる。
まあ、壊れたGTOも存在感はある。
存在感だけは。
足回りとブレーキ
GTOは重い。
だから足とブレーキはかなり重要。
必要なのは、
- 車高調
- 強化スタビライザー
- ピロアッパー
- 調整式アーム
- 強化ブッシュ
- ハイグリップタイヤ
- LSD点検・強化
- 大径ブレーキローター
- 対向キャリパー
- スポーツパッド
- ステンメッシュブレーキホース
- 高性能ブレーキフルード
- ブレーキ導風板
ポイントは、ガチガチにしすぎないこと。
GTOは軽量FRではない。
重い4WD GTだ。
だから足は、硬さより荷重を受け止める懐の深さが大事。
硬いだけのGTOは、ただ重くて跳ねる。
それはかなり悲しい。
ボディ補強はかなり細かくやりたい
GTOは元々が頑丈な車だが、古い個体で416ps・67kgm級にするなら補強は効く。
ただし、やみくもに固めればいいわけじゃない。
重い車だから、補強しすぎるとさらに重くなる。
狙うのは“必要なところを締める”こと。
1. フロントまわり
- フロントストラットタワーバー
- フロントロアアームバー
- フロントメンバーブレース
- バルクヘッド周辺の補強
フロントは重量がある。
ここが逃げると、ステアリング初期がだるくなる。
GTOはもともと軽快な車ではないから、フロントの剛性感はかなり大事。
2. リアまわり
- リアタワーバー
- リアメンバーブレース
- リアクロスバー
- デフマウント補強
- サブフレームカラー
CUSCOのZ16A向けリアストラットタワーバーは、リアの上側ストラットマウントをつなぎ、コーナリング時のボディのたわみ低減とステアリング応答・安定性向上を狙うパーツとして販売されている。こういう補強は、重い4WDクーペではかなり効く。
3. ブッシュ類
- フロントロアアームブッシュ
- リアアームブッシュ
- スタビブッシュ
- サブフレームブッシュ
- デフマウントブッシュ
- エンジン/ミッションマウント
SuperProなどから3000GT VR-4向けのポリウレタンブッシュが販売されており、サスペンションまわりのたわみを抑えて操縦精度を上げる方向のパーツとして展開されている。
ただし、ブッシュを全部硬くすると振動は増える。
街乗りもするなら、フルピロ化より強化ゴム・ウレタンを場所ごとに使うほうがいい。
4. ロールケージ
サーキット寄りならロールケージもあり。
- 4点式
- 6点式
- サイドバー追加
- ダッシュ逃げ
- リアクロスバー追加
ただし、普段乗りならかなり割り切りが必要。
乗降性も悪くなるし、内装も犠牲になる。
DYING STARをストリートGTとして作るなら、まずはタワーバー・フロア・メンバー補強まででいい。
サーキット本気ならケージ。
ここは用途で決めるべき。
5. スポット増し・溶接補強
かなり本気なら、
- フロントストラット周辺
- バルクヘッド
- サイドシル
- フロアトンネル
- リアメンバー取付部
- デフ周辺
- リアストラット周辺
ただし、GTOは元々重い。
補強でさらに重くしすぎると、走りの鈍さが増える。
だからスポット増しは、やるなら必要箇所だけ。
“全部盛り”はGTOが一番やりがちな罠だ。
外装を実車で再現するなら
外装は再現可能。
必要なのは、
- ブルー系オールペンまたはラッピング
- ボンネットグラフィック
- サイドグラフィック
- 大型GTウイング
- フロントリップ
- サイドステップ
- リアアンダー
- 大径ホイール
- ローダウン
- 必要ならワイドフェンダー
ただし、実車なら少し整理したい。
青いGTOはかなり強い。
そこへ大型ウイングを付けるだけでも十分に迫力がある。
ボンネットの英文は、正直かなり好みが分かれる。
おすすめは、
ブルー系ボディ+黒エアロ+控えめデカール+大型ウイング。
これくらいでいい。
GTOは車体そのものが濃い。
そこへ言葉まで載せすぎると、車が説教を始める。
辛口総評
DYING STARは、かなりGTOらしいカスタムだ。
重い。派手。強そう。少し大げさ。
でも、そこがいい。
416ps・67kgmの4WDツインターボGTOは、実車でもかなり面白い。
ただし、作るなら相当ちゃんとやる必要がある。
冷却、燃料、ECU、駆動系、足回り、ブレーキ、ボディ補強。
全部セットだ。
辛口で言えば、見た目は少しナルシスト。
ボンネットの英文がもう語りすぎ。
だがGTOはもともと“全部盛りの美学”でできた車だから、これくらい大げさでも似合う。
要するにこの車は、
GTOの重武装感をさらに濃くした、かなり現実味のある400ps級ツインターボカスタム。
雑に作ると重くて壊れやすいだけ。
ちゃんと作ると、今でもかなり怖い高速GTになる。