
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | トヨタ |
| 駆動方式 | FR |
| エンジン | B58 直列6気筒 シングルターボ |
| 総排気量 | 2,997cc |
| 最高出力 | 387ps / 5,800rpm |
| 最大トルク | 51.0kgf・m / 1,800-5,000rpm |
| 全長×全幅×全高 | 4,380×1,865×1,295mm |
| 車両重量 | 1,520kg |
| トランスミッション | 8速AT / 6速MT |
純血のスープラではない。だが、かなり出来のいい現代スポーツカーではある
GRスープラを語る時、どうしても避けて通れないのが
「これはBMW Z4の兄弟車だ」
という話です。
これは事実です。
共同開発で生まれ、基本骨格も、直6エンジンの系譜も、車内の空気も、かなりBMW側の色が濃い。
だからこの車には、昔のトヨタ車にあった
“全部がトヨタの文法でできている感じ”
は薄いです。
しかし、そこで話を止めると、この車の本質は見えません。
GRスープラ RZは、たしかに“純トヨタのスープラ”ではない。
でもその代わり、現代の直6FRスポーツとしてかなり高水準にまとまっている。
ここは冷静に評価すべきです。
要するにこの車は、
血統は少し複雑だが、走りの完成度はかなり高い現代スープラ
です。
この車は“80スープラの生まれ変わり”ではない
まずここをはっきりさせたほうがいいです。
DB06のGRスープラを、80スープラの直接的な続編だと思うと、少し違和感が出ます。
80スープラは、良くも悪くも90年代の国産GTでした。
サイズも大きく、少し重く、直6の存在感も濃く、しかも2JZという“あとから神話になったエンジン”を持っていた。
あの車には、速さだけでなく、チューニングベースとしての無限の余白みたいな魅力がありました。
一方でDB06のGRスープラは、最初からかなり完成されています。
ノーマルの時点で、ボディ、足、電子制御、エンジン、全部が高いレベルでまとまっている。
つまり、
80スープラが“育てる英雄”なら、GRスープラは“最初から仕上がっている現代機”
なんです。
この違いは大きいです。
BMW Z4の兄弟車であることは、弱点でもあり強みでもある
GRスープラの評価が難しいのはここです。
BMW由来であることは、人によっては決定的な減点材料になります。
インテリアの雰囲気、スイッチの感触、エンジンのキャラクター、全体の設計思想。
どう見ても“昔ながらのトヨタ製スポーツ”ではありません。
でも逆に言えば、そのBMW成分があるからこそ、
現代のスポーツカーとしての精密さや質感が高い
とも言えます。
この車は、昔の国産スポーツみたいな荒削りな面白さではなく、
もっときれいに、速く、上手にまとめられたスポーツカーです。
だから、Z4の兄弟車であることを単なる悪口として使うのは違う。
むしろそのおかげで、スープラは現代で通用する直6FRスポーツとして成立したとも言えます。
つまりこの車は、
“BMWだからダメ”ではなく、“BMW成分があるからこそ強い”部分もかなりある。
そこが厄介で、面白い。
良いところは“速さ”より“上手さ”
GRスープラ RZの一番いいところは、たぶんパワーそのものより、走りのまとめ方の上手さです。
直6ターボの力感は十分ある。
しかもそれを、ただの直線番長で終わらせていない。
前後のバランス、ボディのまとまり、コーナーでの姿勢変化、ブレーキの効き方。
全部がかなり高い水準で揃っています。
だからこの車は、
“パワーがあるから速い”ではなく、“車として出来がいいから速い”
と感じやすい。
この点は80スープラとは少し違います。
80はもっと存在感とエンジンの神話が前に出る。
DB06はもっと冷静で、もっと現代的で、もっと上手い。
見た目はかなり上手い。だが、そこにも少し演出がある
GRスープラはスタイルも印象的です。
ロングノーズ、短いキャビン、低い全高。
“いかにもスポーツカー”の記号をかなりうまく料理している。
80スープラが少し大柄でGT的な色気を持っていたのに対し、DB06はもっと凝縮感が強い。
ただし、この見た目もどこか現代的すぎる。
面の張りや抑揚は派手で、少し演出的でもあります。
そこが格好いい人には強く刺さるし、逆に
「もっとスープラらしい大らかさが欲しかった」
と思う人もいるでしょう。
ここは完全に好みです。
忖度なしで言えば、“トヨタの夢”は少し薄い
GRスープラの一番痛いところは、スープラという名前に対して、人が期待する“トヨタの夢”が少し薄いことです。
走りはいい。
出来もいい。
でも、心のどこかで
「これ、かなりBMWだな」
という感覚がついて回る。
それはエンジンルームの話だけではなく、車全体の空気の話です。
80スープラには、トヨタが自分たちの看板GTをどう作るかという物語がありました。
DB06には、それが少し薄い。
代わりにあるのは、
今の時代にどうやって現実的に直6FRスポーツを成立させるか
という、もっと合理的な答えです。
つまりこの車は、
ロマンより完成度を優先したスープラ
とも言える。
ここを受け入れられるかどうかで、評価はかなり変わります。
80スープラとの比較
どちらが上かではなく、“何に価値を感じるか”の違い
80スープラとGRスープラを比べると、単純な優劣では語れません。
80スープラは、
- 2JZという象徴
- 90年代国産GTの濃さ
- チューニング文化との親和性
- “伝説”としての強さ
が魅力です。
つまり、育てて神話になる車です。
一方でGRスープラは、
- 最初から高い完成度
- 現代的な直6FRの気持ちよさ
- 精密さ
- まとまりの良さ
が魅力です。
つまり、最初から上手い車です。
雑に言えば、
- 80スープラは英雄
- GRスープラは秀才
です。
どちらが好きかは、思想の問題でしょう。
総評
トヨタ GRスープラ RZ(DB06)'22は、純血のスープラではない。だが、現代の直6FRスポーツとしてはかなり出来のいい一台です。
BMW Z4の兄弟車であることは否定しようがありません。
そして、それが気に入らない人の気持ちも分かります。
でも同時に、その事実があるからこそ、
今の時代にこのレベルの直6FRスポーツが成立した
とも言えます。
忖度なしで言えば、
80スープラのような神話性や、トヨタの夢の濃さは薄いです。
BMW成分もかなり強い。
でも、それでもなお、
走らせればちゃんと実力で納得させる強さがあります。
要するにこの車は、
“80スープラの再来”ではなく、“BMWの力も借りて現代に蘇った、かなり上手いスープラ”
です。
それを受け入れられるなら、DB06はかなり魅力的な車だと思います。
