
■ 基本スペック (ノーマル時)
| 項目 | スペック |
| メーカー | スバル |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジン | FA24F 水平対向4気筒 ターボ |
| 総排気量 | 2,387cc |
| 最高出力 | 275ps / 5,600rpm |
| 最大トルク | 38.2kgf・m / 2,000-4,800rpm |
| 全長×全幅×全高 | 4,755×1,795×1,500mm |
| 車両重量 | 1,630kg |
| トランスミッション | CVT (スバルパフォーマンストランスミッション) |
もはや“速い実用車”ではない。上質さまで欲張ったスバルの新しい答え
VNH型レヴォーグ STI Sport R EXを見てまず分かるのは、スバルがこの車をただの実用ワゴンとして作っていないことです。
フロントマスクの押し出し、ボンネットのインテーク、STI Sportの名が付くことによる特別感。
見た目の段階で、すでに
「普通のレヴォーグではない」
という顔をしています。
ただし、この車は昔ながらの“やんちゃな快速ワゴン”とも違います。
もっと大人です。
もっと上質です。
もっと電子制御と安全装備に包まれています。
だからVNHは、
走りの強いワゴンというより、速さと快適性と安全性を一台にまとめた現代の高性能ツアラー
として見るのが一番しっくりきます。
STIの名は付くが、昔の“STI車”とはかなり意味が違う
ここはかなり重要です。
この車に“STI Sport”という名前が付いているせいで、人によっては昔のWRX STIのような濃さや、もっと硬派な戦闘感を期待します。
でもVNHはそういう車ではありません。
このSTIは、
“モータースポーツ直結の荒々しいSTI”ではなく、“上質な走りを与えるためのSTI”
です。
つまり、速さのためだけにすべてを尖らせた車ではない。
日常でも使いやすく、長距離でも快適で、そのうえでちゃんと速い。
そこにSTIらしい引き締めを入れたのが、このレヴォーグです。
ここを理解すると、この車の評価はかなり安定します。
WRX STIの代わりを求めると少し違う。
でも、**“高性能なスバル製スポーツワゴンの最新形”**として見ると、かなり納得感がある。
この車の強さは、2.4Lターボの余裕にある
VNH型で一番分かりやすい魅力は、やはり2.4Lターボの存在です。
このエンジンは、ただ数字が大きいだけではありません。
街中でも、高速でも、追い越しでも、上り坂でも、
“余裕がある”
と感じやすいのが大きい。
昔のターボ車みたいなドッカン感ではないです。
もっと滑らかで、もっと太く、もっと現代的。
だから派手さよりも、
「どこから踏んでも十分に前へ出る」
という安心感のほうが強い。
これはワゴンとして非常に相性がいいです。
人も乗せる。
荷物も積む。
長距離も走る。
その全部を前提にした時、この余裕は単なる贅沢ではなく、車の価値そのものになります。
ここがVNHの強みです。
レヴォーグが“レガシィの後継”っぽく見える理由も、この車でよく分かる
初代レヴォーグは、良くも悪くも少し若かった。
速さも見せ方も、もう少し尖っていた。
でもVNHまで来ると、かなり雰囲気が変わります。
サイズ感、室内の印象、装備の考え方、走りの落ち着き。
全部が少し大人になっている。
その結果、この車は
“レヴォーグ”でありながら、“今の日本向けレガシィツーリングワゴン”っぽくも見える。
ここが面白いところです。
要するにVNHは、
若い快速ワゴンではなく、落ち着きと速さを両立した上級ワゴン
なんです。
だから年齢を重ねた車好きほど、この車の良さに納得しやすいかもしれません。
EXが付くことで、この車はさらに“現代の道具”になる
STI Sport Rに“EX”が付く意味も大きいです。
この車は、ただ速いだけで終わっていません。
運転支援、安全装備、表示系、日常での扱いやすさ。
そういう部分まで含めて、かなり現代的に作られています。
昔の快速ワゴンは、速さと引き換えに少し不便だったり、少し神経質だったりしました。
でもVNHは違う。
“速いこと”を特別扱いせず、普段からその性能を使えるようにしている。
ここがEX付きグレードの価値です。
つまりこの車は、
休日だけ楽しい車ではなく、
平日も高速も雨の日も家族移動も、全部まとめて高水準でこなすための車
なんです。
そこに今のスバルらしさがよく出ています。
乗り味はかなり洗練されている
だが、その分“荒々しい楽しさ”は減った
忖度なしで言えば、VNH型レヴォーグ STI Sport R EXはかなり優等生です。
乗り味はしっかりしている。
ボディも安定している。
高速域でも落ち着きがある。
全体に“良い車”です。
でも、だからこそ少し物足りなく感じる人もいます。
たとえば初代VMGの2.0GT-Sみたいな、少しラフで、少し雑味があって、そのぶん機械を操っている感じ。
そういう熱っぽさは、VNHではかなり薄くなっています。
この車は、悪く言えば
上手すぎる。
良く言えば
破綻が少なすぎる。
だから、昔のスバルの“少し不器用だが熱い”感じを求める人には、少し遠く感じるかもしれません。
STI Sport R EXの弱点は、“全部入り”ゆえの重さと距離感
この車の弱点ははっきりしています。
まず、軽快なスポーツワゴンではありません。
車としてはしっかりしていますが、そのぶん軽やかさ一辺倒ではない。
大きさも装備もパワーも全部持っているので、どうしても
どっしりした現代車らしさ
は出ます。
次に、運転の楽しさが少し遠い。
もちろん速いし、優秀です。
でも、ロードスターやBRZみたいに“人の入力がそのまま車の表情になる”楽しさとは違う。
もっと大きく、もっと安定していて、もっと高性能ワゴン的です。
ここをどう見るかで評価はかなり分かれるでしょう。
それと、グレード名の強さに対して、期待する“STI感”が人によってズレやすい。
この車は本物のSTIが作ったラリーベース車ではありません。
その意味で、名前のイメージが少し先行しやすい。
ここは冷静に見たほうがいいです。
VMGとの比較
どちらが好きかは、熱か完成度かの違い
前のVMG型2.0GT-S EyeSightと比べると、VNHはかなり現代的です。
質感も、落ち着きも、安全装備も、全体の完成度も、明らかに上がっている。
しかも2.4Lターボの余裕感もある。
車として優れているのは、たぶんVNHです。
でも、VMGにはVMGの良さがありました。
もう少し機械感が濃くて、もう少し“速いワゴン”感が前に出ていた。
一方でVNHは、
“速い上級ワゴン”
へ寄っています。
雑に言えば、
- VMGは熱い
- VNHは上手い
です。
だから、どちらが好きかはかなり価値観の問題になります。
総評
スバル レヴォーグ STI Sport R EX(VNH)'21は、走り、快適性、安全性、実用性を高い次元でまとめた、かなり完成度の高いスポーツツアラーです。
昔ながらの快速ワゴンの熱だけで語ると少し違う。
でも、現代の日本で使う高性能ワゴンとして見ると、かなり正しい。
忖度なしで言えば、
軽快さより重厚さがある。
STIの名前に対して、想像するほど荒々しくはない。
優等生すぎて少し薄味に感じる人もいる。
でも、それでもなお、
“家族も荷物も積めるのに、ちゃんと速くて、ちゃんと格好いい”
という条件をここまで高いレベルで満たしているのは立派です。
要するにこの車は、
**“昔のスバルらしい熱血ワゴン”ではなく、“現代のスバルが出した上質な快速ワゴンの完成版”**です。
VNHのレヴォーグ STI Sport R EXは、そういう一台だと思います。
