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日産 NISSAN GT-R Premium edition(R35)'14は“完成前夜の怪物”だった

■ 基本スペック (ノーマル時)

項目スペック
メーカー日産
駆動方式4WD (独立型トランスアクスル4WD)
エンジンVR38DETT V型6気筒 ツインターボ
総排気量3,799cc
最高出力550ps / 6,400rpm
最大トルク64.5kgf・m / 3,200-5,800rpm
全長×全幅×全高4,670×1,895×1,370mm
車両重量1,750kg
トランスミッション6速DCT

日産 GT-R Premium edition(R35)'14は、スーパーカー級の性能を持ちながら、洗練された高級GTというより荒々しい高性能兵器に近い一台だ。
後年のR35が少しずつ上質さや乗りやすさを増していったのに対し、この2014年型にはまだ**“速さを最優先した機械の圧”**が色濃く残っている。

だからこの車は、フェラーリやポルシェのような官能的なスーパーカーを期待すると少し違う。
むしろ近いのは、コルベットやカマロのような重量級マッスルGTを、日本が4WDと電子制御で極端に鍛え上げた存在だ。
上品ではない。軽快でもない。
だが、とにかく強い。
その“強さの分かりやすさ”こそが、2014年型R35の本質である。


NISSAN GT-R Premium edition(R35)'14はどんな車か

R35 GT-Rは、R32~R34までのスカイラインGT-Rとは別物だ。
スカイラインの延長線にある市販車ベースの怪物ではなく、最初からGT-Rという高性能モデルとして成立させた専用機に近い。

2014年型のPremium editionは、そのR35の中でも**“快適性も少し持たせた高速戦闘GT”**という立ち位置にある。
Pure editionのような割り切り一辺倒ではなく、かといってラグジュアリーに振り切った車でもない。
速さの暴力を残しながら、乗る満足感もちゃんと持たせたグレードだ。

ただし、この時期のR35はまだ後年のような“丸くなったGT-R”ではない。
今振り返ると、かなり生々しく、硬く、少し雑で、でも異様に速い
その意味で2014年型は、R35の中でも“怪物らしさ”が強い時代の一台と言える。


良いところ

1. とにかく速い。それも理屈抜きで速い

この車の最大の魅力は、やはり速さだ。
アクセルを踏んだ時の加速感、路面へ食い込む4WDのトラクション、そして高い速度域まで鈍らない伸び。
細かな演出ではなく、性能そのもので景色を変えるタイプの速さがある。

しかもR35は、ただのハイパワーFRではない。
4WDと電子制御で、とにかく前へ進ませる能力が高い。
そのため、普通なら神経を使うような出力域でも、意外なほど“踏めてしまう”。
この異常なまでの速さの分かりやすさは、R35ならではの武器だ。

2. 重さを力でねじ伏せる感じが独特

R35は軽快な車ではない。
だが、その重さを否定するのではなく、重いまま速くする方向へ全振りしている。
ここが面白い。

最近のスポーツカーには、軽く見せようとするものも多い。
一方でR35は、そういう美学よりも
「この質量、この駆動、このパワーで、とにかく速ければいい」
という思想が強い。
この豪快さは、たしかにアメ車的でもある。

3. Premium editionは“ただの兵器”で終わらない

2014年型Premium editionは、単なるタイムアタック兵器ではない。
高性能モデルとしての異様な速さを持ちながら、内装や装備、日常での扱いやすさもある程度は考えられている。
つまり、怪物じみた性能を、少しだけGT寄りに整えた仕様だ。

ここがNISMOやサーキット志向のモデルとは違う美点でもある。
あくまで乗用車としての体裁を残したまま、常識外れの速さを持つ。
この“普通じゃない普通さ”が、Premium editionの味だ。

4. 見た目にハッタリではない迫力がある

R35は見た目からして、すでにただ者ではない。
だが、その迫力は単なる派手さではなく、中身の強さとちゃんと一致している。
四角く、低く、押し出しが強く、見るからに重武装。
そして実際に速い。

この**“見た目負けしていない感じ”**はかなり大きい。
性能だけ高いのに外観が地味な車でもなく、逆に外観だけ過激な車でもない。
R35はちゃんと“GT-Rの顔”をしている。


ダメなところ

1. 繊細なスポーツカーではない

R35は速い。
だが、操っていて細やかな手応えを味わうタイプのスポーツカーではない。
ステアリングの応答、荷重移動の繊細な変化、軽い車ならではの身のこなし。
そういった魅力を求めると、この車は少し違う。

要するに、
名刀のようなスポーツカーではなく、重武装の高性能兵器だ。
だからスポーツカーとしての“気持ちよさ”を最優先にすると、思ったほど刺さらない場合がある。

2. 重さは最後まで消えない

どれだけ速くても、この車の質量感そのものは消えていない。
コーナーでも、切り返しでも、ブレーキングでも、どこかに
「大きくて重いものを、とてつもない速度で動かしている」
感覚が残る。

もちろん、それを性能でまとめているからこそR35はすごい。
だが、軽快感や身軽さを求める人には、その重さは最後まで引っかかる。
ここは明確な欠点でもある。

3. 価格帯に対して質感は少し現実的

Premium editionは上級グレードだが、それでも価格帯を考えれば、内装や全体の質感が“圧倒的に特別”とまでは言いにくい。
高性能であることに予算をかなり振っているぶん、夢の濃さやラグジュアリー感では少し物足りなさが残る。

つまり、
スペックは怪物級でも、すべてがスーパーカー級の華やかさとは限らない。
ここはR35らしい現実感が出る部分だ。

4. 2017年型以降ほどの洗練はない

2014年型は、後のR35と比べると少し荒い。
乗り味、内外装、全体の仕立て。
どこかに“未成熟な高性能機械”っぽさが残っている。
それが好きな人にはたまらないが、完成度で見れば後年型のほうが整っているのも事実だ。

要するに2014年型は、
磨き切る前の怪物である。
そこが魅力でもあり、弱点でもある。


この車の一番痛いところ

2014年型R35 Premium editionの一番痛いところは、**“速さと強さは圧倒的なのに、スポーツカーとしての美しさや繊細さでは少し不器用なこと”**だ。

とにかく速い。
安定感も高い。
見た目も強い。
だが、そこへ
「気持ちよく操る」
「軽さに酔う」
「音や感性で惚れる」
といった魅力を求めると、少しズレる。

つまりこの車は、
美しい名車ではなく、恐ろしく強い名車である。
この方向性を受け入れられるかどうかで、評価は大きく変わる。


2017年型との違い

2017年型のR35は、少し丸くなっている。
上質感が増し、GTとしての完成度も上がり、怪物ぶりを少し整えた印象がある。
それに対して2014年型は、もっと硬く、もっと荒く、もっと“機械の圧”が強い

言い換えれば、

  • 2014年型は怪物感が濃い
  • 2017年型は怪物を少し紳士にした

そんな違いがある。
だから2014年型は、完成度では一歩譲っても、R35の“暴力性”を味わうにはかなり魅力的だ。


R32~R34との違い

R32~R34のGT-Rは、まだ“市販車を戦闘化した怪物”だった。
そこには人間臭さがあったし、スカイラインという文脈も残っていた。
一方でR35は、最初から高性能専用機として設計されている。
そのため、同じGT-Rでもロマンの質が違う。

  • R32~R34は戦う市販車
  • R35は勝つための専用兵器

この違いは大きい。
2014年型R35は、その専用兵器ぶりがかなり剥き出しな時代のモデルだ。


日産というメーカーから見た2014年型R35

この車は、日産が
「GT-Rを情緒ではなく性能で世界へ押し出す」
ことを選んだ時代の象徴だ。
その意味で、2014年型R35はかなり成功している。

ただしその代償として、かつてのGT-Rにあった市販車らしい文脈や、人間臭い魅力はだいぶ薄れた。
R35は日産の技術力の象徴ではあるが、日産の情緒まで全部背負った車ではない。
そこがこの車の複雑さでもある。


総評

日産 NISSAN GT-R Premium edition(R35)'14は、繊細なスポーツカーではなく、スーパーカー級の性能を持った日本製マッスルGTだ。
軽快さより重厚さ、官能性より強さ、名刀の美しさより重武装の迫力。
その方向性はかなり明確で、だからこそ刺さる人には強く刺さる。

忖度なしで言えば、
重い。
繊細さは薄い。
価格のわりに質感は絶対的ではない。
そしてスポーツカーとしての美学より、性能の暴力が先に立つ。
だがそれでも、この車にしかない“怪物感”は本物だ。

要するに2014年型R35は、
完成されたGT-Rというより、完成に向かう過程で最も怪物らしかったGT-Rである。
それがこの車の一番の魅力だ。

-日産